ここはいったい…
サナは夢中で携帯のメールを打っていた。
真田宛へのメールだ。
待ち合わせ場所の新宿駅交番の前で、TOTOを待っていたらいきなり電話がかかってきた。当然、TOTOだったわけだが、「アルタ前にきておくれ」と場所を変更させる電話だった。サナは当然そこにTOTOが待っていると思ったし、そのまま真田がついてくるだろうと思っていた。しかし突然車が現れ、後部座席にすこし強引にご招待され今に至る。
前にTOTOに会った時と違うのは、運転しているのは若いガタイのいいおじさんでTOTOは後部座席で、サナの横に座っている。
「すこし遠いので車でいくこといたしましょう」
最初、TOTOはそう言った。サナは、名刺の住所が新宿になっていたことを指摘したがその件についてTOTOは答えなかった。
だがそれ以外は、最初にあったときのまま気のいいやさしいおじいさんそのものだったが、唯一の救いだったが…
(しんちゃん、心配してるだろうな…)
サナはそう思い、「まだ無事」「今は首都高を走ってる」「ついたら場所をしらせる」と次々にメールを送った。一通りメールを送ると窓の外をみる。
首都高の地下道であることは間違えないが、普段運転しないサナにはここがどこか見当もつかなかった。
と、車が首都高の本道から外れ、わき道に入る。通常はこういう道は、首都高の出口へと続く道で、上り坂を進むと料金所があるものだ。が、いつまで進んでも上り坂はなく、そのままトンネルをすすんでいるようだ。
サナは、ますます不安になる。こーれーはー、プチ誘拐かもしれん…と流石に思い始める。その様子を見ていたTOTOは
「ほほほ、そんな怖がらなくても大丈夫じゃ。とって食おうってわけじゃなし」
「普通に怖いんですけど…この状況!」
サナはなんとか声を出し、TOTOに文句を言う。このじいさんだけならなんとかなりそうだが、前の運転手…こいつにはどうあがいても勝てない。とりあえず、今はこの状況に流されるしかない、サナは腹をくくった。
「ところでサナさんや…あなたは私のことを知っていたらしいの…」
突然、TOTOがそう尋ねてきた。サナは答えるのを迷った。日記のこと、真田のことを話していいのかわからない。とりあえず、キャバ嬢の噂のことを話すことにした。
「お店の娘からきいたんです…」
「ほほほ、なんと聞いたんですかな?」
「いえ…その…」
サナは言葉につまる。噂話では、とあるバーに行ってそこで一月、お客の相手をするだけで大金が手に入る…というものだったはずだ。
「一ヶ月、いうことを聞くと大金がもらえるとでも聞いたんかな?ほほほ」
TOTOは逆にいい当てて笑った。いやぁ…全くその通りですと答えたかったが、その「いうことを聞く」の内容がわからない分、ココでそれをわかったふりをするのは危ないとサナはとっさに思った。
「いえ…詳しくはしらないんです…」
「ほほほ、隠さなくてもいいですよ。しかも半分は当たっている。」
TOTOは、顔は笑っていたが今度は目が笑っていない。マジ怖いんですけど…とサナはこころで呟いた。
やがて、車は大きな地下の駐車場のようなところにつき、ようやく止まった。
ずっと地下を通ってきたので、サナにはここがどこだか見当がつかなかった。
「さぁさぁ、降りますぞ。ついてきてくださいね」
TOTOはそう言って車から降りた。サナは仕方なくTOTOに続いた。
その駐車場のような場所の隅に、エレベーターがあった。TOTOは、サナを誘いながらそのエレベーターに乗る。そして4階のボタンをを押した。
サナはそっとスマホをとりだし
「場所はわからないけど、なんかのビルの4階」
と自分でも意味のわからないメールを真田に送った。TOTOは見て見ぬふりをしている…サナはそう思った。
やがてエレベーターが開いた。
「わぁ…」
サナは思わず口をひらいた。
そこには、美しく趣のある煌びやかなBARがあった。




