表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/190

誘拐かよ

真田が新宿交番近くについた時、ちょうど7時だった。


外はすっかり日が落ちていて空は暗かったが、駅と交番の光によりサナの姿はしっかりと確認できた。

黒ではなく珍しいベージュのハーフコートを着ていたので暗めの場所でもはっきりとわかるのも助かる。これをわかっててやっているなら大したもんだが…おそらく偶然だろう。


真田は15mほど離れた歩道でサナを見守ることにした。

彼女は時間が来ても、いつものようにスマホをいじっている。なんだよ、以外と肝がすわっていて余裕だなぁと真田が思っていると、ふとメールが鳴った。


「あのおじいちゃん来ないんだけど、なんで?」


(知らないよ)と思わず笑いながら突っ込んでしまう。俺がもし知っていたらそれはそれで面白いが…と真田はほくそ笑む。


「しんちゃん、私、見えてる?」


「やっぱ怖いんだけど」


「つーか、本当にいる?」


連続してくるメールにはサナの不安や緊張が伝わって来る。

(そりゃそうだろうな…)真田は、逆にチカラがはいる。守ってやるなんておこがましいことは言えないが、とりあえず見失わないようにはするつもりだった。



と、サナは急にスマホを耳に当てた。

真田は、電話がかかってきたんだなとすぐに気づいた。真田も少し緊張したのか手にチカラがはいる。すると、サナが電話をしながらスタジオアルタの方へ向かっていく。この時間でサナが電話に出たということは、相手は間違いなくTOTOだ。おそらく、TOTOから場所の指示をされているのだろう。


(そうか…しまったな…)


真田は、TOTOがサナを迎えに来て一緒に謎のバー「TOTO」にいくものだと思っていた。

サナは、ズンズンと進んで行く。真田も距離を保ちつつサナの後を追う。

探偵…というよりはストーカーになった気分だった。


と、横断舗道の信号が赤になった。


「やばっ!」と真田は思ったが、サナは気を使ったのか無理に信号を渡らず手前で止まった。

よかった…と思ったのもつかの間、急に信号待ちをしているサナの前に黒い車が横付けされる。すぐに後部座席のドアが開いて

一言か二言話すように見えたがサナは車の中にはいってしまった。こちらを振り返ったように見えたが、暗くてよくわからない。


そしてタイヤを鳴らしその車は猛スピードで走り去っていく。


一瞬の出来事だった。


真田が大慌てで車道にでたが、もはやその車はナンバーが確認できないほど遠くへ行ってしまっていた。


ドラマのように走って追いかけてみる…が、現実はその車が遠くに遠くに行くだけだった。テレビの中の刑事たちはどんだけ早いか思い知る。オリンピックに出たら金メダル間違いなしだ。


「やられた…つーか、どういうことだ!?」


真田は一瞬、頭に血が上った。が、タクシーを見て冷静になった。そうだ、もうひとつドラマでつかうお手軽な手があった!と真田は、すぐにその場でタクシーを拾い刑事ドラマのように


「あの黒い…ん〜ベンツかな?あのあとを追ってください。」


と言った。一度言ってみたかったセリフではあったがさすがにこんな事態で遊んでいる余裕はない。


「はぁ…あの車ですね…」


ふと運転手をみると、真田にもう一つ不幸がきた。そのタクシー運転手はよぼよぼのおじいちゃんタクシーだったのだ。

「あああ…」この時点で真田はさらなる作戦変更を頭の中で描くはめになってしまった。




















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ