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新宿交番前


「今日、夜の7時に新宿駅で会うことになった」


真田の元へサナからそうメールが入ったのは、お昼過ぎだった。TOTOは駅までサナ迎えに来てくれるという。待ち合わせ場所は新宿駅建物内にある交番にしたらしかった。サナにしては考えたなと思った。交番は歌舞伎町へ向かう出口のそばでロータリーになっている。人は多いが遮るものがないので離れたところからでも見渡すことができた。


真田はすぐに、iPhoneからその旨を橘にメールした。ただ、その日の夜は橘は用があるらしく真田一人で新宿へいくしかない。

橘が午前中、あの名刺にかいてあった住所を探してくれたらしいが予想通りというかその場所にTOTOという店はなかったという。不安は募るがサナが見た例の「日記」によれば、ユキは何度もTOTOのお店にいっていることから初回でいきなり行方不明的なことにはならないだろうと真田は踏んでいた。


サナがTOTOに会い、話をきけばいろいろ謎が解明できそうな気はする


サナがそのことをまるっと話してくれる保証はないが、彼女は嘘がつくのが相当下手なのですぐにわかることだろう。よくキャバ嬢やってるなと思うくらい顔や態度に出てしまうのだ。

午後3時頃、真田はサナに電話をしてみた。


「もしもし、どうしたの?」


電話に出たサナは少し緊張してるようだった。


「いや…緊張しすぎて、おしっこチビってるんじゃないかと思って」


「アホか!そんな子供じゃないわ!」


そういうと、サナは真田とともに思わず笑ってしまった。しばらく取り留めのない話をしていたが


「やっぱり…やめるか?」と真田はふときいた。なんとなく怖がっているだろうなと思ったからだ。サナはしばらく黙っていたが


「大丈夫だよ。ありがとう。それに、しんちゃんも新宿にいてくれるんでしょう?だったら大丈夫!」


と、言った。真田は「ああ、ちゃんといるから」とだけ応えた。


その後、サナと誕生日の話をした。もうすぐサナの誕生日だ。行ってみたい場所や欲しいプレゼントなど真田はわざと楽しい話をして、毒舌は封印した。

だが、真田はサナが一人で戦わなくてはいけない場面は必ずあるとも確信している。日記では…サナがたった一枚だけ見せてくれたユキの文章では、結局さなやんはユキに騙されていると思われるクダリがあるからだ。日記の内容に対してサナが真田に対して秘密にしていることは必ずあると真田は確信している。それに対しては真田は口をはさまないと決めていた。


サナとの電話が終わったあと、真田は一足先に新宿へ向かった。とりあえず場所を確認し、自分が隠れている場所を確認するためだった。

新宿駅とその周辺はとにかく人が多い。人ごみに紛れられることは利点だが、サナを見失うことも十分ありえた。


「まさか自分が探偵の真似事をするとはな」真田は、なんかワクワクはしたがこちらはズブの素人である。ルパン三世の道具ややドラえもんでもいればさぞやラクだが勿論そんなものはない。だとすれば、準備だけは怠れないのだと周りの建物や店もかるく見て回った。



iPhoneのマップ検索で、TOTOの名刺に記載してあった場所にいくとそこは、居酒屋やクラブがはいっているビルだった。駅近くなので綺麗なビルではある。橘が話していた通り看板や店舗表示には「TOTO」とおぼしき店はなかった。


そして、時計はTOTOが現れる7時になろうとしていた。














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