橘
次の日の朝、橘は自分のiPodに真田からメールがきていることを確認した。
「おっと!!」
そこには、TOTOの名刺の写真が添付されている。真田と同じように、名前と店の両方がTOTOだったことに驚いたがこれは大きな収穫だった。ただ、その情報の見返りはかなりサナの身が危なくなったと、メールには書いてあった。そのことについては真田に頑張ってもらうしかないが、橘としてもこの事案に関してもはや自分と真田だけではとても手に負えないことを薄々感じていた。
(いよいよ、あいつに相談いなきゃいけない日がくるとは…な)
橘が新たに相談しようと頭に浮かんだ人物は、山本といった。
山本はいわゆる東大出のエリート中のエリートで現在、警視庁に所属している。大学生の頃にバイト先で知り合ったのだが、なぜか二人はウマがあった。もともと山本は明るい性格で誰とでもうまく付き合うが、橘にいたってはとある話題で考え方が一致していたため、週に2回ほど飲んでいる間柄だ。だがここ2年くらいで山本は猛烈に仕事が忙しくなり、なかなか会うことが難しくなっていた。
橘は、とりあえず山本にメールを入れた。
特に内容は、久しぶりに飲もうとだけ書いた。本当はTOTOや謎の「R.E」のことを書きたかったがなにか嫌な予感がしたためやめておいた。橘のこういうカンは、よく当たる。
「返事は…気長に待つか…」
橘は、とりあえず真田からもらった情報…その名刺の住所に行ってみることにした。大急ぎでシャワーを浴び着替え、赤坂見附の駅へむかう。
最近は、事務所に泊まり込む日々が続いている。家は、横浜にあるが最近は帰ってしない。事務所はアパートタイプなので生活には困らないが、さすがに家が恋しくなってきた。今週の土日は帰ろうと決めている。
橘がここまで真田に協力するのにはいろいろ訳がある。もちろん、仕事でお世話になっていることもあるが、なにより「R.E」のリアル・アイというワードが橘をひきつける。もちろん未だ、それがなんなのか見当もつかないが「アイ」がもし「EYE」なら日本語に直すと「目」となる。
リアル・アイがもし「目」を意味付けられていたなら、それは長年、橘が調べてきたものに…山本と大学時代に話していたことが現実に現れてきたことになる。
「全てを見通す、目」
橘は小さく呟いた。
20分ほどで、橘は新宿についた。さっそく、人をかき分けながら東口へと進む。ここは駅ビル内で、大学生とおぼしき多くの若者が往来している。
橘は地図に沿って、東口地下改札を出てまっすぐ進み、階段をのぼって地上に出る。左にいくとスタジオアルタがあるがそこを右に行き、突き当りがその名刺の住所だった。
かるく見渡したり、看板を確認したが「TOTO」というは予想どおり見当たらない。仕方なく橘は、じっくり調べることにした。




