そういうね…
リカが帰ったあと、真田は橘を席に呼び話し合うことにした。
「すごい収穫ですわ…」
橘はそう呟いた。真田は、その言葉は耳にはいらず彼女から預かった時計をみていた。(どっかでみたんだけどな…)だがやはりどうしても思い出せない。
橘はその様子を見て、悟ったのか
「真田さん、その時計覚えてないんっすか?それ、真田さんが広告作った時計ですよ。ほら、加賀のかんざし職人とコラボだかなんだかで」
と言った。真田はしばらくじっと見ていたがしばらくして「あーーーーーーー」とおもわず叫んでしまった。
そうだ、去年この時計の広告をプロデュースしていたっけ。だから覚えてるのか…橘はその様子を呆れてみていた。
「もう、おじいちゃんっすね。その記憶力…」
「うるさいなぁ。まだ40にもなってないっつうの!」
真田が文句を返す。橘は、大好きなタバコに火をつけながら
「そんなことより、二人の関係わかりましたね。恋人…ってわけじゃないみたいだけど」
「だな…でもさ、TOTOって「人」だったとはな。つうかそいつ何者なんだろうな」
「まぁきな臭い感じっすね。裏の世界でしょ。間違いなく…」
「これさ…サナには手を引かせなきゃな」
真田は急に思い立ったようにサナに電話をかけた。しかし、出ない。やっぱり怒ったのかと直感で思った。メールの返事もない。
なんとなくだが、ユキとさなやんのこともわかったしこれでいいかとも思ったがなんか釈然としない自分がいた。
俺の心が謎を求めている!!とかかっこいいことを思っていると
「はいはい。俺たちは続けましょう…」
橘が若干呆れ気味につぶいた。
真田はそのあと。リカにメールをした。長文メールになってしまったが、話してくれたお礼とユキを見つけたら必ず連絡すると書いた。
あとは、ユキとさなやんのことで知ってることはなんでも教えてほしいと書いた。これが一番知りたかったことだ。
意外にもリカからのメールはすぐ帰ってきた。
ユキとさなやんは、お互いいつも会いたがっていたみたいでした。
さなやんは仕事が終わると朝の2時ごろまで、漫画喫茶で待っていてくれて
キャバを終えたユキを毎日迎えにきてくれたそうです。
そこで、飲み行き、カラオケに行き、ユキを家まで送るという毎日。
二人が男女の関係だったかは定かではありませんが
あの時に戻りたい日もある と言ってました。
彼はおそらく毎日徹夜だったことでしょう
でも。それでも会いたかったんでしょうね…
真田はそのメールを見てふと思った。そういえば、ユキはもちろんだが、この「さなやん」って奴はどこにいるんだろう?今、おそらく同じ目にあおうとしている自分としてはその先輩にぜひあってみたいと思った。
ふと橘を見ると。見たこともないiPodでなにか調べていた。
「それ、買ったのか?」
「そうですねん。しかも、他人名義で。あ、真田さんのも買っておきましたので。これからは俺との連絡の時はこれを使ってください」
と、神妙な面持ちで言い、真田にはiPhoneを渡した。真田はどうした?と問うと
「多分ですけど、この前の真田さんの携帯乗っ取りといい、間違いなくわたしらマークされてますわ。その保険です。」
と、橘は怖いことを言った。真田はそういうの嫌なんだけどと言うと
「もう乗りかかった船っつう奴です。わがまま言わんと諦めてください」
と橘は、呆れ顔で真田にそう言った。