表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Subjects Runes【完全完結版/累計800万PV】~高速詠唱×現代知識で貴族社会を成り上がる戦記ファンタジー~  作者: くまひこ
第2章 真夏のチェスゲーム

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/36

第36話 2年魔法団体戦トーナメント

 第1回戦第一試合、いきなりフリュオリーネの登場だ。


 対戦相手は男子生徒。


 試合開始直後、互いの護衛騎士1人を守りに残したうえで、4人の護衛騎士が相手魔導師の魔法発動を阻止しようと接近を試みるオーソドックスな展開。


 グラウンド中央で騎士同士のつばぜり合いが始まり、その間に術師が詠唱。


 最初に魔法が発動したのは男子生徒の方、火属性初級魔法のファイアーだ。


 護衛騎士が大楯でフリュオリーネを守り、その代償としてシステムからのスタン攻撃がわずかばかり護衛騎士に降り注ぐ。もちろんフリュオリーネはノーダメージだ。


 続いてフリュオリーネが魔法を発動。選んだのは雷属性中級魔法サンダーストーム。


 この魔法は魔法が発動する「作用点」が敵上空になるため、男子生徒の頭上から電撃(の代償のスタン)がヒットする。


 この攻撃に男子生徒の護衛騎士が自分の盾でカバーしきれず、男子生徒にダメージが入る。


 この魔法は「ストーム」というだけあって、電撃は単発ではなく広範囲に連続して発生している。


 いくら逃げても魔法発動範囲が広すぎて、次々に命中する電撃により男子生徒のダメージ蓄積していき、最後は限界を超えて戦闘不能にまで追い込まれた。


 この瞬間、フリュオリーネの勝利が決まった。


「実力に差がありすぎる、まさに余裕の勝利だな」


 俺はそう呟いたが、この試合を見て分かったことがもう一つ。


 フリュオリーネとその取巻きが持っていたあの大きな扇子は、実は魔法の杖の代わりだったのだ。


 しかも口元を覆って詠唱を隠す効果もあり、理にかなった中々の優れ物だ。


「悪役令嬢だから持っているという訳ではなかったのか」


 俺も使おうかと一瞬考えたが、みっともないのでやめておくことにした。




 試合はどんどん進んでいき、1回戦も残すはセレーネの試合のみとなった。


 そのセレーネと対戦するのはフリュオリーネの取り巻きの一人、男爵令嬢ガーベラだ。


 両者試合場に入って試合開始。


 ガーベラ陣営の護衛騎士4人が突撃を開始する。


 だが、セレーネの護衛騎士は誰も突撃しようとせず、セレーネの後に下がって突っ立ったまま。


 セレーネが護衛騎士たちに何か叫んでいるが、遠すぎてここからでは何も聞こえない。


「何かあったのか?」


 ダンが怪訝そうにセレーネたちの方を見ているが、何かトラブルでもあったのだろうか。


 だが動こうとしない味方護衛騎士をあきらめたのか、セレーネは近づいてくる相手護衛騎士に向けてファイアーを放つ。


 ファイアーが命中した騎士はスタン状態で一時的に動けなくなるが、残り3名はそれぞれ別の方向からセレーネに接近を試みる。


 ところでセレーネや俺たちの魔法は、詠唱時間が短いといっても完全な無詠唱というわけではない。次の発動までどうしてもタイムラグが2、3秒かかってしまう。


 だからその場に留まっていては相手騎士を倒しきるより先に捕まってしまうため、セレーネは走りながら相手騎士たちを仕留めていくことになる。


 一方のガーベラの方は今まさに魔法が発動しようとしているところで、魔法陣を見た限り使用するのは水属性中級魔法・アイスジャベリン。


 もちろんセレーネも気づいていて、走りながらファイアーを放って発動直前のアイスジャベリンにぶつけて魔法を消失させた。


 その後再びセレーネと相手護衛騎士との鬼ごっこが始まり、4人すべての護衛騎士を倒し切ったセレーネは、ようやくガーベラの方に向き直ってゆっくりと近づいて行った。


 残るはガーベラと一人の護衛騎士の二人。


 騎士は手に巨大な盾を構え、ガーベラは攻撃魔法を詠唱せず防御魔法を展開している。二重の防御体制。


 こいつら最初から試合に勝つ気がなく、セレーネの魔力を消耗させる作戦か。


 決勝までにできるだけセレーネの魔力を使い果たさせておきたいのだろう。


 そんなガーベラにセレーネが放った魔法は火属性中級魔法フレアだ。


 この魔法は先ほどフリュオリーネが使ったサンダーストームと同じく敵頭上で魔法が発動し、高熱状態がしばらく持続する範囲魔法である。


 セレーネのフレアは、しかし彼女たちの盾と魔法の二重の防御をも突き破る強力な威力を持っており、ガーベラたち二人のダメージがどんどん蓄積していき、最初に護衛騎士が戦闘不能となった。


 どうやら彼女たちにとっても想定外の破壊力だったのか、フレアが消失して辛うじて耐えきったガーベラは悔しそうにセレーネを睨みつける。


 そんな彼女に、セレーネはすかさずファイアーを放ってそれが命中。


 ガーベラが強烈なスタン攻撃に曝され戦闘不能となり、セレーネの勝利が決まった。


「わああああっ!」


 終わってみれば圧勝であり、観客席の大多数を占める下級貴族たちからは盛大な拍手と歓声が沸き起こった。


 しかし一部の中上級貴族の生徒たちは、不満そうにその様子を見ていた。




 俺は試合が終わったばかりのセレーネに駆け寄り、なぜ味方の護衛騎士が戦いに参加しなかったのか理由を聞いた。


 酷い話だった。


 シャウプ先生の言いようも酷いが、セレーネのチームを解体させて、代わりに強制的にあてがった上級クラスの護衛騎士による露骨な戦闘拒否。


 あのシャウプという教師、とてもまともな教育者とは思えない。


「奴らの戦闘拒否も、シャウプ先生の指示なのか?」


「はっきりとはわからないけど、あの5人は去年ダンジョン部に一緒に入部してきて私にアプローチをかけてきていた人たちなの。逆恨みもあるのかも・・・」


「・・・・・」


「おかげで魔力をだいぶ消費しちゃったな」


 マジックポーションなんて、1日にそんなに何本も飲めるものではないし、今回のような連戦の場合は魔法をなるべく節約して、後半の強敵に残しておくのがセオリーだ。


 まるで勝つ気のなかったガーベラに、戦闘拒否の味方護衛騎士。


 これがフリュオリーネの仕掛けた罠だとしたら、彼女には最初からセレーネと真面目に試合する気はなく、この機会に確実に潰しに来たというところか。


「酷すぎてこれ以上は見てられん。けがをさせられないうちに途中棄権した方がいい」


「うん・・・でも」


 今の快勝に沸き立つ観客席を見て、セレーネは複雑な表情で言葉を濁した。




 セレーネの試合を除けば、魔法団体戦2回戦はどれも見ごたえのある戦いだった。その中でもフリュオリーネはやはり頭一つ抜けて強い。別格だ。


 さすが4属性持ちというか、相手の属性に合わせて最も効果のある属性魔法を選択して効率よく勝ち進んでいる。


 相手との実力差がありすぎて本当の実力を図り知ることはできないが、セレーネに勝るとも劣らない強者であることは間違いない。


 そして2回戦最後の試合、セレーネの対戦相手は2人目の取り巻きの男爵令嬢マーベルである。


 試合開始直後に相手護衛騎士が散開するのは先ほどの試合と同じだが、異なるのはセレーネがマーベルに向けて開幕ブッパのフレアを放ったことだ。


 ただ相手側もそれを読んでいたのか、護衛騎士が自分の体と大楯でマーベルを包み込み、自らを犠牲にしてマーベルを守り切った。


 散会中の騎士たちも少なからずフレアのダメージに巻き込まれたが、すぐさま護衛騎士の一人がマーベルの下に戻って彼女の護衛に付き、残りの護衛騎士3人がセレーネに向かって再び走り出すという見事な連携だった。


 序盤から面白い展開になってきたな。


 ここからさっきと同じ鬼ごっこのような展開を俺は予想したが、直後思いもよらない展開が待っていた。


 セレーネが走り出そうとした瞬間、彼女の両足は空中に投げだされてうつ伏せの状態で地面に叩きつけられたのだ。


「きゃあああっ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ