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環状に鳴く、夜鳥 — 羽ばたく夜 —
峠を攻める日々が続いた。
何度走っただろう。
いつしか、カプチーノと息が合う気がした。
感覚を忘れないように、何度も走った。
昼も夜も関係なかった。
夜露がフロントを濡らし、昼の日差しがボンネットを熱した。
タイヤが減れば、古豪の工場へ行った。
足を固め、角度を調整した。
「軽さは武器だ。」
古豪が短く告げた言葉が、胸に残った。
何も持っていない自分と、
余計なものをそぎ落としたカプチーノの軽さが、
どこかで重なった気がした。
小さな心臓は、日を追うごとに熱を増した。
アクセルを開ける時間が長くなる。
ピヨの世界は、確かに速さを手にしていた。
狭いコーナーを切り裂くとき、
路面に羽音を残すたび、燕のように自由だった。
——飛べている。
そう思えた。
十分だった。
そう思えたころ、ふと親鳥の顔が浮かんだ。
見せたいと思った。
ただそれだけだった。
譲り受けた小さな羽根は、もう誰のものでもない。
ピヨの身体の一部だった。
夜明け前、くたびれたアパートにたどり着いた。
路地に止まるカプチーノの羽音が途切れる。
見慣れた階段の前に、見慣れない影があった。
夜気に潜む、大きな鳥の気配。
ピヨはドアを見上げた。
胸の奥の小さな翼が、また強く脈を打った。
——親鳥の、新しい翼。
夜風が小さく鳴いた




