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幸せ猫が通ります~キャット驚くOnline~  作者: 岡の夢
4章 ツヴァートと闘技大会
85/121

#77 闘技大会!開会式

よろしくお願いしますにゃ(=^・・^=)

 大会2日目!

 何もしていないのに、予選突破した僕達は純粋に出店を回ってお祭りを楽しんでいた。

 綿飴ウマー。

 今日も正午までは暇。

 なので、今も出店を回っている。


「この体だと食べ物大きいから得した気分だにゃ」

「にゃあ」

「でも、ここの出店どれもリアルより大盛」

「だにゃ」

「むぅ……お腹がすぐ一杯になる」

「リアルじゃ見にゃい食べ物も多いですにゃ」

「にゃあ。でもポーチに入れとくのもにゃあ」


 僕はナティとニュウの3人で回っている。

 ラビット・バーガー、リザード・ホットドッグ、バイオレンス・ポップコーンとかリアルではありえない食材を使った食べ物が多い。しかもどれも器から溢れそうなほどの大盛。

 僕達だと1/3も回れなかった。

 お腹一杯!

 今は公園のベンチで座って、ピリンゴ飴っていうものを舐めながら休憩中。

 舐めるとピリピリするの。不思議~。


「おっ!ナナキ達じゃねぇか」

「フルレッドさん」

「いきなりやりやがったなぁ」

「タマ師匠に言ってにゃ」


 フルレッドさんも片手に焼きそばのようなものを持っていた。

 ちなみに【赤月旅団】も予選突破した。

 僕の知り合いはほぼ全員突破したのかな?


「まぁ、ああいう人脈を作っておくのも重要だって教えるための予選なんだろうな」

「だにゃあ」

「クラン作ったばっかりの奴らやクエストばっかしてた連中は苦労してんな」

「にゃあ。フルレッドさん、バサラさんやマヤウェルさん、バルダエアさんとかのクランはネームバリューもあるしにゃあ」

「そうだな。赤コインはそこらへんが左右してそうだ」


 地面に座り込んでズゾゾゾ~っと焼きそばを啜るフルレッドさん。

 美味そう。お腹一杯だけど。


「ところでよ」

「にゃ?」

「なんか変な仮面付けた女がよ、ナナキとナティにそっくりで真っ黒なケット・シー連れて歩いてるのが目撃されてんだけど、知り合いか?」

「「にゃ!?」」

「こんな奴だ」


 フルレッドさんがスクリーンを開いて、僕達に見せてくれた。

 写ってたのは、ピエロみたいな仮面を被って黒いローブを着た赤髪ポニーテールの少女。その左右には真っ黒で目がないケット・シー2匹が籠を掲げて、出店の食べ物を溜め込んでいた。

 何してん……神様よ。ツインテールじゃなければ隠せると思ってるのか。怪しすぎるやないか!


「「……」」

「間違いなくナナキとナティ」

「だろ?知り合いだったらいいんだが、知り合いじゃなかったら問題だろ?で、どうなんだ?」

「……知り合いと言えば……知り合いですにゃ」

「あ?どういうことだ?」

「遊戯神プレイグ様にゃ」

「「……」」


 今度はフルレッドさんとニュウが黙った。

 気持ちは分かるさ。

 何してんの?人前に出さないって言ったやん。めっちゃ人前出てるやん。

 タマ師匠にバレたら面倒事になりそう。


「……どうすんだよ」

「どうしようもにゃいですにゃ。もうかにゃり見られてますにゃ?」

「そうだな」

「神様だにゃんてバラせにゃいし、諦めますにゃ」

「にゃ~」

「……そうか。でも、なんで遊戯神がここにいるんだ?」

「知らにゃいにゃ」


 闘技大会関連の可能性はあるけどね。

 祭りは単純に楽しそうだったからだろうなぁ。寂しいって言ってたし。

 そこらへん知ってるから直接苦情は言い辛いんだよなぁ。


「とりあえずルナイラ達には知り合いだって言っとくぞ?」

「お願いしますにゃ」


 多分メンバー達も知ってるよねぇ。

 伝えておくべきか?


「お兄さん見っけ!」

「にゃ?」


 マオと抱っこされたナウラがやって来た。

 ナウラ。それでいいのか?


「どうしたにゃ?」

「お兄さんの偽物連れた怪しい人捕まえたの!知り合いだって言うから来てほしくて」

「「「「……」」」」


 遅かったか。捕まらないでよ。

 ……仕方ない。


「宿かにゃ?」

「うん!」

「にゃ~……行くにゃ。ニャティ、ニュウ」

「にゃあ」

「うん」

「頑張れよ」

「にゃ」


 フルレッドさんに別れを告げ、僕達は宿に向かって駆け足。

 僕は単独、ナティはニュウに抱っこ、ナウラはずっとマオに抱っこ。

 そして宿に駆け込むと、


『なんだよぉ!可愛い子達を連れて何が悪いんだよぉ!』

「本人達の了承無しなのが問題だと言っているのですわ」

『だから2人とも知ってるって言ってるじゃないかぁ!』

「だったらお名前を教えてくださいまし」

『なんでお前なんかに私の名前を教えないといけないんだ!』

「はぁ。話が進みませんわ」


 すでにクランメンバーが揃っていて、白蓮に尋問されとる!?

 なんで喧嘩腰なんや!……神様だからか!


「遅くにゃったにゃ」

『あ!ナナキだ!』

「申し訳ありませんわ。ナナキ様、ナティ様」

「全く話が通じなくてねぇ」

「大丈夫にゃ。知り合いだにゃ」

「にゃあ」

「本当にか?」


 全員が胡散臭い目でプレイグ様を見ている。

 まぁ、見た目がなぁ。


「……にゃんでそんにゃ怪しさしかにゃい格好で出歩いてるんですかにゃ?プレイグ様」

「「「「……え?」」」」

『だってお祭りじゃん!楽しそうじゃん!なんだよぉ!私は楽しんじゃダメだって言うの!?』

「そうじゃにゃくて、格好が問題にゃんですにゃ」

『仕方ないじゃん!顔晒せないし!これじゃないと神気隠せないんだもん!』


 あぁ~……そういう理由が。

 まぁ、それはいい。


『良くないよ!』

「それは神様の問題ですにゃ。問題は人前に出さにゃいというはにゃしだったその子達のはにゃしにゃ」

「にゃ!」

『仕方ないじゃないか!この子達しか連れ回せる子いないんだもん!』

「他の姿は駄目だったんですにゃ?」

『なんでそこまで我慢しないといけないんだ!』

「「……にゃ~」」


 それを言われたら何にも言えん。

 神様のやることに文句なんて本来言えないしね。

 プレイグ様の横で黒ナナキ達も頬を膨らませて抗議している。

 どうしたものか。


「ナ、ナナキ様?」

「にゃ?」

「この方が……遊戯神なんですの?」

「「にゃ」」


 認め辛いかもしれんが。


『なんだとぉ!』

「そういうところですにゃ」

「「「「……」」」」


 全員が顔を顰めてプレイグ様と僕達を見比べる。

 

『そんなことよりさ!その格好もいいね!』

「ありがとうございますにゃ」

『帰ったらその姿の2人も作る!』

「「にゃ!?」」


 なんでやねん!そこの2人着替えさせたらええやん!


『やだ!色んな2人が欲しい!』

「「……」」

「気に入られてるねぇ」

「神様に気に入られてるから良い事のはずなんだけどね」

「なんか哀れだな」

「ナウラは大丈夫なの?」

「しっ!今隠してるの」

『バレてるからね!』

「え!」

「にゃ!?」


 神様達は思考を読めるからね。隠し事なんて出来ないよ。

 ナウラはどうなの?


『う~ん……もうちょっと見てから決める!』

「……いいことにゃんでしょうかにゃ?」

「あの2人を見て楽しそうならいいんじゃない?」

「……しばらくはいいですにゃ」


 ズルいぞ!

 まぁ、もういいか。

 それで?今回の闘技大会はプレイグ様も?


『うん!私とバットルの2人が主神だぞ!楽しみにしてろ!』


 楽しみでもある。でも、怖くもある。

 バットル様は来ないの?


『もうすぐ来ると思うよ。バットルもナナキ達の試合楽しみにしてるから頑張れ!』

「「「「……」」」」


 バットル様や……猫に何を期待している?

 タマ師匠と神様。両方の期待が重いです。


『じゃ!また後でね!』


 シュピン!と消えたプレイグ様と黒ナナキ達。

 残った僕達には微妙な空気が流れていた。


「戦神はもう関わるのは確定だな」

「ですわねぇ」

「それにしても、こんなにありがたくない神様との会い方はないわね」

「でもにゃ、あの方が一番プレイヤーに関わることを考えてくれる神様だにゃ。楽しそうにしてくれるにゃら、それはいいことだにゃ」

「遊戯神……なるほど、ゲームには欠かせない存在、か」

「にゃ。ただ……プレイグ様が関わるにゃら、大会の試合にゃい容がちょっと怖いにゃ」

「にゃ~」

「確かにのぉ」


 嫌な予感がする。

 この大会……荒れるぞ!


「そして、その原因はナナキとナティであると」

「「……にゃ~」」


 ナダが止めを射ってきた。

 否定できない悲しさ。


キィーーーン


「お。終わったか?」

「みたいね。12時だわ」


 リリリが時計を確認して頷く。


『グーッド・アフタヌーーーン!!エブリバディ!!』


「復活したのか」

「でも、このノリなのね」

「グーッド・アフタヌーーーン!!」

「答えなくていいよ。チルッチ」

「うるさい」

「ノォーーーウ!」


 おかえりなさい!名前も顔も知らないけど。


『ジャストナウ!を持ってぇ予選はフィニィーーッシュ!!!バット!しかぁーーし!!な、な、なんとぉ!!予選突破したのは39組!!1組足らねぇじゃねぇかこのすっとこどっこい!!』


 足らないんかい。でも時間まで終わらなかったってことはそう言うことか。

 40組出たら、もっと前にこの放送あったよね。


『おかげで!!どうすればいいのかパニックナウ。だ!!この野郎!!1000組以上もいて、何でコイン1枚もらえねぇんだ!!最後の赤コインなんて【教会で炊き出しを手伝う】だけだったんだぞ!!てめぇらには血も涙もないのでしょうか!!あったらもらえてるよねこの偽善者共!!』


 なんて悲しい残った1枚。言葉が胸に刺さります。

 マヤウェルさんがやってそうだけどなぁ。他の赤コインを先に手に入れてたのかな?


『13時に開会式を行う!!本選出場者は闘技場内に来いやぁ!!負け犬どもは炊き出し手伝うか、出店の呼子やるか、闘技場の事務員するか、図々しく観客席に来るか選びやがれ!!給料?出るわけねぇだろ私だってボランティアだって言ってんだろ馬鹿野ぼべあぶ!?』


 またか!何があった!?大丈夫ですか!しっかりしろ!


『開会式は遅刻厳禁です。遅刻した場合、大会には出場できませんのでご注意ください』


 またあなたか!まさか……あなたが彼女を!?


『では、集合』


ゴォオオオン!!


 どんな締め方だ!


「まさかの予選突破チームが足りないとはねぇ」

「マヤウェルがやってそうだけどなぁ」

「行けば分かるんじゃねぇか?」

「早く移動しよう」

「そうね」


 というわけで、闘技場へ移動。

 途中でタマ師匠達に出会ったので、開会式中はマオとナウラを預ける。

 お願いします!

 そして闘技場内に集まる。

 人の数がすげぇ。


「クランで登録してるところは多いだろうからねぇ」

「観客席も埋まってんなぁ」

「そりゃこれだけのイベントだもの」


 中に入って、しばらく待機。

 観客席の一角には司会席、貴賓席、そして豪華な椅子が2つ天辺近くに設置されている。

 あの椅子はなんだ?王様でも来るのか?

 貴賓席と思われる場所には豪華な服を着た人達が座っている。貴族だろうなぁ。


キィーーーン


 ハウリングと共に司会席に2人の人影が現れる。

 

『さぁさぁさぁ!!やってまいりました!!ただいまより【ツヴァート・闘技大会】開会式を行います!!』


 あ。さっきのお姉さん!大丈夫……そうじゃないね!?

 

 お姉さんはピンクショートヘアと兎耳の女性。

 快活そうで美人なんだろうけど……左頬が腫れ上がってて痛々しい!!


 その隣の席に青いショートヘアのエルフの女性が無表情で座っている。

 多分、交代後の声はあの人だろうなぁ。


『申し遅れました!!今大会の進行・司会は私!ピョン・クレイムと!!』

『シャラプ・エルフノが担当します』


 名前!!適当過ぎるでしょ!!


『もちろん偽名です!!追っかけすんなヨビュ!?』

『余計な言葉はいりません』


 ピョンさんの腫れ上がった左頬に、シャラプさんの右肘が突き刺さる。

 無表情で肘を構えるシャラプさんに恐怖を感じる!!


『まずは正午に野兎が話した足りない1組の問題についてです』


 野兎て。


『今回は緊急処置としてギルド職員より選別し、参加することになりました』


 シャラプさんが手で示す方向を見る。

 え?エリマさん?シィナさん?ボアンさん?


『エアスト・ツヴァート両ギルドのベテラン3名です。ハンデとして3名のみの参加となります』


 勝てるわけねぇ!ハンデになってねぇ!

 もうヤダよぉ~!!この大会怖いよぉ~!


「落ち着けナナキ。まだあの3人と戦うかどうかは分からないんだ」

「そうですわ!流石に他にもハンデはあるはずですわ!」

「だから泣かない」

「ほ~ら。ナティだよぉ~ってナティも泣かないの!」

「ニィ~……!」


 あの3人が簡単に負けるわけないじゃん!ジェジェン先生達と友人なんだぞぉ!

 優勝するためにはあの3人を倒さないといけないじゃないかぁ!

 それで、負けたら山籠もりぃ?試練しかないやないかぁ~!


「……流石に可哀想だねぇ」

「勝つも地獄、負けるも地獄」


 ラドンナと蘭羅の言葉に頷きながら僕達に憐みの目を向けるメンバー達。

 うわ~ん!


『本選はトーナメントで行います。試合形式・参加人数は試合直前にルーレットで決定します。なお、このルーレットに関しては幸運値に左右されることはありません』


 僕達対策ですね。分かってます。


『そして今大会には戦神バットル様、遊戯神プレイグ様が観戦なされます』

 

 シャラプさんは上の2つの椅子を指し示す。

 

 すると、空から光の柱が2本降り注ぎ、椅子がある場所に当たり、さらに強く輝く。

 光が晴れると、椅子には2人の人物が座っていた。

 1人はもちろんプレイグ様。髪型もツインテールに戻しており、黒ナティを抱っこしている。


 そしてもう1人。

 赤茶のコーンロウに褐色肌の女性……なのだろう。プレイグ様と比べると身長は3m近くあるように見え、腕や脚の太さはプレイグ様の腰位はある。オグマとラドンナを掛け合わせた感じ?

 真っ赤なストラップレスクロップトップでバキバキの腹筋が見え、下はピチピチの黒ズボン。見える肌のあちこちには傷跡がたくさんある。

 目つきも鋭く、左目には眼帯もしている。

 

 あの人がバットル様なんだろうなぁ。

 肘掛けに頬杖しながらもたれ掛かっていて、かなり威厳がある。

 さらにね、


「あの子、震えてないかい?」

「僕もああされたらおにゃじようににゃると確信できるにゃ」


 バットル様の脚の上にね、黒ナナキが鎮座してるんです。正座で。

 その頭をバットル様が大きな手で撫でている。

 どう見ても捕獲されたペット。

 おかしいなぁ。あの子ってプレイグ様が操っているはずなのに、どう見ても怯えてプルプル震えながら冷や汗流してるように見える。

 うん。僕も全く同じ姿になるのが想像できる。

 それをプレイグ様が呆れたように見ている。


「ラドンナとオグマのお母さんじゃないよね?」

「「んなわけあるか!」」


 リヴァランが思わず質問する。もちろんオグマとラドンナは否定する。

 でも、そう思いたくなるほど似てるんですよ。


『今大会の試合におきましては、戦神様の神使様方に審判をして頂きます』


 ですよね。

 

『以上にて、開会式を終わります。この後、トーナメント表を開示します。15:30より第1試合を開始します。第1試合出場の選手方は準備し、10分前には受付をし、控室に待機するようにお願いします。では、解散してください』


 今日は第1試合のみ。エキジビションマッチみたいなものだな。

 でも、この試合でこの大会の試合の雰囲気が分かるから見て行かないとな。


「お。トーナメント表がメールで届いてるぞ」


 ディノの言葉に全員がメールを開く。

 僕達は……あった!

 お?シード枠だ!


「予選1位突破したからでしょう」

「う~んとぉ?……だいぶ先だね。20試合目だ」

「良い事じゃない。いろんな試合を見れるわ」

「そうだな」

「第1試合は……【ギルド連合】と【暗黒騎士団】だな」

「いきなりエリマさん達?相手は……ベルヒムって奴だね」


 おぉう。どっちも知ってる。ベルヒム……そのまんま過ぎる。

 とりあえず移動して、マオ達を探そうと会場を歩く。

 そこに黒ナナキと黒ナティが走って、こっちに向かってくるのが見えた。


「……なんか来てるわよ?」

「……どうする?」

「……逃げるにゃ!」

「にゃ!」

『どこに行く?』

「「にゃにゃあ!?」」


 ナティと愛の逃避行をしようとすると、後ろから頭を鷲掴みされて持ち上げられる僕達。

 グリン!と後ろに向き直されると、そこにはバットル様の顔があった。

 えぇ!?

 メンバー達や周囲もいきなりの事で目を見開いて固まっている。


「バ、バ、バットル様でございますでしょうかにゃ?」

『そうだ』

「にゃ、にゃに用でございますでしょうかにゃ?」

『興味があったからに決まってるだろうが』


 こ、怖い!

 ふと足元を見ると、黒ナナキ達がバットル様の脚を引っ張って移動させようとしていた。

 あぁ……君達はバットル様を止めに来てくれていたんだね。

 もう少しだけ早く来て欲しかった。

 そしてバットル様……ちょっとこの持ち方は握り潰されそうで怖いです!

 せ、せめてナティは放して頂けないでしょうか!?


『いいだろう』


 バットル様はナティをポンと自分の肩に乗せた。

 そ、そこで御座いますか!?

 ナティはピシッ!と氷漬けにされたように背筋を伸ばして座っている。眼がプルプルと震えている。

 

『試合まで暇だ。話し相手になれ』

「「にゃ!?」」

『そこの【ハーフジャイアント】と【アマゾン】も来い』


 そう言って歩き出すバットル様。

 僕?鷲掴みのまま。


「……マジかい」

「……ナナキ達だけには出来ない」

「だよねぇ……はぁ~」

「行ってくる」


 ラドンナとオグマも諦めて渋々と付いてくる。

 メンバー達は憐れんだ目で僕達を見送る。

 なんでこうなるの?

 

 


 バットル様はかなり豪華な扉をした部屋に入る。

 そこにはプレイグ様もいた。豪華なソファに座っている。

 僕達の姿を見て、ジト目でバットル様を見る。


『いきなりそれはどうなの?』

『この辺りには私の迷宮やら神域はない。大会が終わるまで待つなど面倒だ』

 

 そう言いながら僕とナティをポイッ!と投げる。

 えぇ!?

 僕は体勢を整えて着地し、ナティをキャッチする。


「ありがとうにゃ」

「にゃ」

『適当に座れ』


 バットル様はプレイグ様の向かいにあるデッカイソファにドカッ!と座る。

 僕とナティは黒ナナキ達にポンポンと示された席に、ラドンナとオグマは空いているソファに座る。


「……なんであたしとオグマまで?」

『私は【ハーフジャイアント】と【アマゾン】の始祖で守護神でもある。子孫を呼ぶのはおかしいか?』

「……なるほどねぇ」

「本当に2人のお母様だったのかにゃ」

『で?なんでわざわざナナキ達を呼んだの?』

『言っただろう。単純な興味だ。3柱から加護を貰い、竜に気に入られた奴を間近で見たかったのだ』


 果物を齧りながら理由を話すバットル様。

 

『それに神使にもこいつらを気に入ってる奴らも出てきているしな』

『でも、下手したらルール違反だよ?試練も何もしてないのに』

『何を言っている?お前がクリアさせただろうが』

『はぁ?』


 え?僕何かバットル様関係でやったっけ?プレイグ様も関わっている?


『【神と戦う】。これだけで私の試練の条件は満たしている』

『あ!』

「「にゃにゃにゃ!?」」


 マジで!?直接戦ったわけじゃないけど?


『神が御使いを操って戦う。それだけで十分試練だろう?こいつらはルナマリアの迷宮も突破しているしな』

『えぇ~。そんなんでいいのぉ?でも、そこの2人は戦ってないよ?』

『そいつらは戦神ではなく、守護神として話しているからな』

『ズル~い』


 結構緩いんですね!神様のルールって!


『お前には期待しているぞ?ナナキ。お前が介入すると戦いの流れが読めなくなる』

「にゃ?」

『まぁ、正確に言えば【ケット・シー】の幸運なのだろうがな。月女神の迷宮、魔神軍の侵攻、ゴブリンキング。それらはな、お前達がいなければ間違いなく敗北しているはずだった』

「「にゃ!?」」


 バットル様の言葉に僕達やオグマ、ラドンナも目を見開く。

 そんな大層な存在じゃないぞ!!


『しかしお前達という、特にナナキが組み込まれると途端に場が読めなくなる。それは戦神としては()()()()()()()()。先が読めぬ戦いだからこそ楽しめる』


 バトルジャンキー……!戦神ですもんね!

 すると、バットル様は僕に右手を向ける。直後、僕の体が淡く輝く。

 え。これって。


『ああ。私の加護だ』

「にゃあ!?」

『私の加護を得た以上、そう簡単に負けるのは許さんぞ?山籠もりなど怖くなくなるような試練を与えてやろう』

「にゃえ!?」


 さらに重くなった!?

 

『そこの2人には守護神としての加護をやろう』

「……どうも」


 嬉しくないよね!あの言われようの後だとさ!

 その後、プレイグ様の助けで退室を許された。お礼として新しい僕達の偽物を作ることを許可させられたけど。

 もう好きなだけ作ってくれ。

 バットル様の試練の恐怖に比べれば可愛いものだ。


「……心が折れそうだにゃ」

「ニャニャキ……」

「にゃ~」

「あたし達も腑抜けた戦い出来なくなったねぇ」

「……バットル様の試練は俺達にも及ぶ可能性があるか」

「……というかにゃ」

「「ん?」」

「……その時はもうクランのみんにゃで試練受けるようにお願いしてやるにゃ」

「……そうだねぇ。あたし達だけって言うのは違うよねぇ」


 山籠もりは受け入れよう。【ケット・シー】関連だからね。

 でもバットル様の試練は違くない?僕達だけって違くない?クランで大会出てるもんね。


『私はそれで構わんぞ』


 バットル様の声が頭に響く。

 ……ここからでも心を読めるのですね。

 しかし!お許しは出た!!


「みんにゃで!!頑張るにゃ!」

「にゃ!」

「おう!」

「だねぇ」


 ぐへへへへ……!

 もっとだ!もっと皆を巻き込んでやるぞ!


 やけくそだぁ!


ありがとうございましたにゃ(=^T ω T^=)

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