#49 定番!ゴブリン大侵攻!
よろしくお願いします。
キャンプ地に到着した。
他にも迷宮に挑む冒険者もいるようで、そこそこテントが張ってある。
「俺達のテントはあそこ」
カオルさんが指した先には2ルームテントの横に2人用のテントが設置されている。
おぉ!かっこいいな!
僕達だとめちゃくちゃ豪邸に見える。
あの2人用テントより小さいもんね。
しかし、気になることも1つ。
「ベリスケさんだとどっちにも入れにゃいのでは?」
「うん。入れんね」
淡々と頷くベリスケさん。
え?どうしてるの?
その後ろでラーンさんが顔を顰めて、ウニャミスさんが苦笑する。
「大きいの買おうって言ってるんだけどね」
「なのに金がもったいないと断るんだ。寝袋と入り口部分があればいいとな」
寝袋と入り口だけ?どう寝てるの?
「こんな感じ」
2ルームテントは1室が寝床で、もう1室がスクリーンタープリビングだ。
ベリスケさんは体をリビングに、頭だけをテントの中に入れた形で横になる。
いやいやいや!悲しいよ!!
「でも俺、縦にも横にもデカいからね。4人用のテントでも半分以上占拠するんよね」
あぁ~。確かに今でもタープ部分占拠しちゃってるなぁ。
オグマ達も大変そうだなぁ。
「で、俺1人用のテント買うなら別にこれで十分だし、俺も入れるテント買うと金額半端ないやん?ただでさえ俺ら死に戻り多いし」
「ぐふっ!?」
ウニャミスさんが崩れ去った。
あぁ。そう言えば初対面の時、死に戻りし過ぎて金がないって言ってたなぁ。
ラーンさんは未だに納得出来ていないようで腕を組んで顔を顰めている。
僕達はその近くにテントを設置する。
すると、そこにフルレッドさん達が現れた。
「おう。ナナキ」
「あれ?どうしたんですかにゃ?」
「ギルドからゴブリンが群れを作ってるって聞かされてな。潰しに来た」
「にゃるほど」
その言葉に僕はウニャミスさん達を見る。
ウニャミスさん達には別の冒険者が声を掛けていた。
「おう。来たぞ熊公」
「グラトルさん!?なんで!?」
「エアストの方にも連絡来たんだよ。で、お前の名前が出たから見に来てやった。レレアからも頼まれたしな!がはははは!!」
頼りがいがある冒険者のようだ。
「あぁ!!てめぇ!クソ猫!!」
「うそ!?うわああぁぁ!?」
「待ちやがれてめぇ!!」
ウニャミスさんはアルファレアさんに見つかって、また追いかけられて踏みつけられた。
飽きないね。お互いに。
ということは【獲流朽例】も来てるのか。
ラーンさんと見分けがつきにくい。
「あんな粗忽者と一緒にしないでくれ」
あぁ。嫌ってるのね。了解です。
「ナナキ達はどうすんだ?」
「そうですにゃあ。……手伝いますにゃ」
「はいにゃ」
「助かるぜ。お前達がいると運がいいからな」
そうだろうか。
僕達は首を傾げる。
それを見てフルレッドさんは苦笑する。
前回のイベントでナナキ達と協力した途端に聖杯が見つかって、神から加護をもらって、迷宮攻略も出来た。
十分幸運だろう。
「まぁ、あの黒猫に取られない様にしねぇといけねぇけどな」
「有名にゃんですか?ウニャミスさん」
「そりゃあ、あんだけやらかしたらな。おかげでお前さん達が目立たなくなったんだぜ?遠くから感謝しときな」
それはありがたい。
言われた通りに遠くから感謝しとこう。
「いたああぁい!!ごふっ!?」
「血ぃ吐いて誤魔化すんじゃねぇぞ!!」
あ。血吐いてる。がんば!
ナティと食事を摂る。
リフォンも再召喚して食べさせる。
「あ。ナナキ君達も契約したんだ?」
「にゃ。グリフォンのリフォンだにゃ」
「きゅあ!」
リフォンは元気よく挨拶する。
「うちはラーンが契約したね」
「あぁ。この子だ」
ラーンさんが召喚したのは、子熊だった。
子熊はテ○ィベアのように抱っこされる。
おぉ。可愛いな。
ってかベリスケさんと並ぶと親子にしか見えん。ベリスケパパさん!!
「可愛いだろう!ベリスケにもそっくりでな!懐いてるんだ!!コベリという女の子だ!」
もうベリスケさん大好きやないか。
これはリアルの部屋でも熊の人形に溢れていると見た!!
リフォンとコベリは顔を見合わせて、しばらく見つめ合う。
「きゅあ!」
「くあ!」
そして、楽しそうにじゃれ合い始める。
よかったな。友達が出来て。
それを見ていたフルレッドさんが声を掛けてくる。隣ではルナイラさんが羨ましそうに2匹や僕達を見る。
僕達も小動物枠ですか?いや、コベリちゃんは僕達と大きさ変わらないから仕方ないのか?
「そういやぁあの卵はどうした?」
「寝る前に出して、にゃでたりはしてますにゃ。でも、まだまだですにゃ」
「あぁ~。街中でもなけりゃ出せねぇか」
「にゃ」
竜の卵は毎日寝る前に出して、ナデナデしている。しかし、盗まれたり襲われたりしたら大変だからポーチに戻してから寝ている。
ポーチに入れてる間は孵化は進まないからね。
「でだ。飯食い終わったらテントはしまっとけ。多分、もうすぐここらへんゴブリンで溢れるぜ」
「もうですかにゃ?」
「さっき連絡が来てな。ここに来る途中の連中が20匹ほどのゴブリンに襲われたらしい。向こうはもう森の中では賄えねぇ」
おぉう。ギリギリだったのね。
言われた通りにご飯を食べたら、テントを仕舞う。
ベリスケさん達もテントを片付けていた。
武器の準備をしていると、森の近くで冒険者達が肉を大量に焼いて、風魔法で匂いを森に送っていた。
誘い出すようだ。
「連中は飢えてる。この匂いに逆らえるわけはねぇ。大物が引っかかれば群れもこっちに来るだろうよ」
フルレッドさんがニヤニヤと笑って武器を担ぎながら話す。
楽しみそうですな。
そこにルナイラさんが声を掛けてきた。
「ナナキ達はツヴァートでクラスアップするの?」
「「にゃ?」」
「……知らなかったのね。ツヴァートでメイン職業をクラスアップ出来るのよ。まぁ、レアやオリジナル目指して転職する人もいるけど」
へぇ。そんなこと出来るんだ。
「僕はまだレベルがカンストしてにゃいですにゃ」
「私もですにゃ」
「あら。そうなの。まぁ、ここで上がり切るかもね」
「来たぞ!!」
「「「!?」」」
森の目の前にいた冒険者が声を挙げる。
一気に緊張感が高まる。
肉を焼いていた面子が後ろに下がり、戦線を整える。
森の中から斥候をしていた冒険者達が出てくる。
「来るぞ!数は200以上!!ゴブリンジェネラルと思われる個体を複数見た!キングに注意しろ!」
「200にジェネラルか。ライダーもいるはずだ!!最悪、森も焼いちまえ!!」
かなりの軍隊だったようだ。
これはきついことになりそうだな。
さらに緊張感が高まる。
そして、ゴブリン達が森から津波のように現れた。
「行くぜぇーーー!!」
「「「「【タウンティング・ハウル】!!」」」」
雄叫びが冒険者達から響き渡る。
「行くぜよーーー!!!」
おぉ!?環久さん!?あぁ、最初から眼鏡外してるのね。
まぁ、また爆発は嫌だしな。
「【ウインド・ピラー】!!」
「『貫け』【ロック・ランス】!」
「『燃やせ』【ファイヤー・ランス】!」
「「「【レイン・アロー】!」」」
魔法や矢が大量にゴブリン達に降り注ぐ。
かなりの数が倒れたはずだが、全然減った気がしない。
「おらぁ!」
「ふん!」
「いい気になんなぁ!!ゴブリンが!」
「おらおら!!」
前衛組もどんどん倒していく。
僕も剣を振って戦う。
「にゃ!【フォース・セイバー】!」
ゴブリンを斬り倒す。
「群れが減らねぇし、まだ上位種が出ねぇ!無理に前に出るなよ!交代しながらでも、休める時は休め!1人でも死んだら負けると思え!」
ベリスケさんに話しかけていたグラトルさんが声を挙げる。
確かにまだ普通のゴブリンばっかりだ。
体力や魔力は温存していくべきだろう。
数でも負けてる。穴が出来たら一気に瓦解する可能性もある。
「熊公!てめぇに言ってんだぞ!暴れ出すなよ!」
「分かってます!よ!!」
ベリスケさんは盾でゴブリンを押し返して、斧で叩き潰す。
その隙にラーンさんが前に出て、さらに牽制する。
さらにその後ろから地正さんとウニャミスさんが飛び出して、ヒット&アウェイでスキルを放つ。
「矢行くよー。【バースト・スナイプ】!」
ウニャミスさん達が下がった所にカオルさんが破裂する矢を撃ちこむ。
そこに環久さんが魔法で追撃する。
いい感じでフォーメーションが完成したようだ。
「にゃ!にゃあ!にゃにゃ!」
僕は高速で縦横無尽に駆け回り、ゴブリンを翻弄し、周りの冒険者達のために隙を作る。
ナティは僕から目を離さずに、回復や盾を生み出して援護する。
その連携に周りはケット・シーの評価を上げる。
どんなもんだい!
「ライダーだぁ!!」
そこに狼や猪に乗ったゴブリン達が現れる。
それを見て、前衛が盾を構える。
「「【ピット・フォール】!!」」
すると、猪の何匹かが2つの落とし穴に落ちたり、脚を取られて転ぶ。
それにポカンとする前衛組。
その脇を小さい影が走り抜ける。
ナナキだ。
ナナキは斥候役ですら目を見開くほどの速さで駆ける。
そして、狼に近づき、横を通り抜けながら体に触れる。
「【スリップ】!」
「ぎゃうん!?」
狼は脚を付いた途端滑って転倒する。しかし、それでも止まらずに滑り続け、冒険者に剣を突き刺されて消える。
ナナキは今度は反転し、陣地に戻りながらも他の狼に追いついて、また体に触れる。
「【フロート】!!」
今度は狼の体がフワッと浮き始める。
狼は慌てて暴れ出し、ゴブリンを地面に落とす。
そこに魔法や矢が飛んできて倒される。
ナナキは一気に陣地に戻る。
「ははは!流石だぜナナキ!」
「負けられないわ!」
フルレッドやルナイラがナナキの行動に笑いながら、ゴブリン達を倒していく。
しかし、ゴブリンライダー達の数は多く、勢いよく冒険者達に迫る。
狼達が飛び上がり、上から噛みつこうとする。下からは猪が突っ込んでくる。
それを見て、どちらを防ぐべきかと慌てる前衛組。
「【シールド・フェアリーズ】!」
上空に小さい盾が大量に浮かび上がり、狼達を弾き飛ばす。
前衛組はすぐさま猪に向かって盾を構えてスキルを使いながら踏ん張る。
盾の魔法はナティだ。
「にゃあ!【シューティングスター・フェアリーズ】!」
ナティは続けて魔法を使う。
小さい盾から光線が放たれ、ゴブリン達を貫いていく。
ナティが生み出した自流魔法【シューティングスター・フェアリーズ】。【シールド・フェアリーズ】と【ライト・レーザー】の合体魔法だ。
光線を放つと盾は砕けてしまったが、少なくともその近くのゴブリンライダー達は全滅した。
意外なほどの猫カップルの活躍に周りも引っ張られる。
本当に誰も欠けることなく、ゴブリン達を撃退していく。
そのせいか冒険者達に少し油断が生まれてしまった。
目の前のゴブリン達ばかり気を取られた冒険者に向かって、森から何かが高速で飛び出してくる。
「な!?しまっ!?ごぉああ!?」
その冒険者の胸に太い杭のような物が突き刺さり、消滅する。
それを皮切りに森から大量の杭が飛んでくる。
うぇ!?なになに!?
「「リ!?【リフレクト・ウォール】!!」」
何人かが光の壁を生み出して、杭を弾く。
しかし、何本かは間に合わずすり抜けて、冒険者達に襲い掛かる。
「うわぁ!?」
「きゃあああ!?」
「ちぃ!!来たぞ!!上位種だ!!」
森から現れたのはトロールやオーク達だった。
その中にはホブゴブリンと思われる屈強な戦士を思わせるゴブリンもいる。
「……雰囲気が全然ちげぇな」
「猛者のようね」
その集団の後ろからトロールにも負けないほどの体を持ち、所々砕けた鎧を着ているゴブリンが2体現れた。
ゴブリンナイトだ。
「ジェネラルは出てこねぇな」
「ジェネラルはキングの護衛だ。キングがヤバくならねぇと出て来ねぇよ」
フルレッドさんの呟きにグラトルさんが答える。
2人の顔は苦い顔で敵を見る。
ゴブオオオオ!!
ナイトが吼える。
それに合わせて他の魔獣達も吼える。
魔獣達の力が上がったように感じる。
「おいおい。ここでバフかよ」
「ちょっと不味くない?」
「かもな。でもよ。今更逃げれるかよ!!」
フルレッドさんが真っ先に飛び込んでホブゴブリンを吹き飛ばす。
それを皮切りにぶつかり合う冒険者と魔獣達。
しかし、ゴブリンで消耗している冒険者達が少しずつ押されていく。
「くそ!?」
「このままじゃ!?」
「にゃあ!!」
「え!?」
冒険者達が限界に近づくと、僕はホブゴブリンの懐に飛び込む。
そして、体に触れる。
「【リバース】!」
「!?」
僕が唱えると、ホブゴブリンが膝から崩れ落ちる。持っている武器も手放してしまう。
ホブゴブリンは何が起こったか分からずに混乱している。
「今だにゃ!」
「お、おう!」
「この野郎!!」
僕の声に冒険者達は攻撃する。
ホブゴブリンは簡単に倒れてしまう。
妖精魔法【リバース】。触れた相手の強化効果を裏返して、弱体化させる。
「よし!効くにゃ!」
「ナナキ!それはどれくらい使える!?」
「悪いけどクールタイムは2分にゃ。それに相手に触れにゃいとダメにゃ」
「マジかよ!?くそ!?数が多すぎるか!」
フルレッドさんが勝機を見出すも、流石に都合良くは行かなかった。
僕はそれを聞いて、覚悟を決める。
「仕方にゃいにゃ」
僕はポーチから瓶を出して、その中身を飲む。
【クールキャンセラー・ポーション】というクールタイムを即時終了させる薬。
もしもの時のためと1本だけ買った薬だ。
青汁のような苦みが襲う。
「うにゃあ。まずいにゃ~。……よし!ニャティ!『あれ』を使うにゃ!」
「にゃ!?そんにゃニャニャキ!?あれをここで使んですかにゃ!?」
「そうにゃ!」
なんか死亡フラグ立てた気がする。
なんだなんだ?と様子を窺いながら戦う冒険者達。
「ニャティ!あいつらを!」
「分かりましたにゃ!!【リフレクト・ウォール】!」
「みんにゃ!耳を塞ぐにゃあ!!」
ナティの魔法で魔獣達が弾かれて、後ろに下がる。
そこに僕の声が聞こえ、全員ではないが言われた通りに耳を塞ぐ。
すると、
「フニャ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン」
『は?』
ナナキが変な声を出して鳴き始める。
それをポカンと見つける冒険者達。
「な?なんだぁ?これぇ?」
「力がぁぬぅけぇるぅ~」
「ふやああ~~~」
すると、耳を塞がなかった冒険者達が急に武器を手放し、座り込んでしまう。
それを見たフルレッドさんはゴブリン達を見ると、ゴブリン達も武器を手放して、膝を着いたり、座り込んでいる者がいる。
「これは……?さっきのスキルか!?でも、触れないと使えねぇって……」
そして、僕は鳴くのを止める。
「今ですにゃ!!」
「っ!えぇい!!後で聞かせろよ!!」
「チャンスを逃すなぁ!!」
「厳しい奴は腑抜けた連中下げさせろ!!」
僕の声にフルレッドさん達はチャンスを逃すまいと突撃する。
武器が壊れたりした冒険者達は座り込んでいる奴らを引きずって後ろに下がる。
僕も座り込む。
「にゃあ~」
「大丈夫ですかにゃ?」
「にゃあ。やっぱり【フニャン】は僕にも影響出るし、魔力もすっからかんににゃるにゃ~」
先ほどのスキルは【フニャン】と言って、【リバース】と【ニャニャニャ】を掛け合わせた自流である。『フニャ~~ン』と鳴いて、周囲の者を『フニャン』とさして、ステータスを下げる技だ。
ただし、声なので自分にも影響が出る自爆技になってしまったのだ。
しかし、その効果は絶大である。
「なんだこりゃ!?硬かった敵にすんなりと攻撃が通るぞ!?」
「おらぁ!!今のうちにボコボコにしていくんで夜露死苦ぅ!!」
『夜露死苦ぅ!!』
「これはすごいわね!」
このスキルは基本一律【-D】ほどの低下だ。しかし、そこからさらに『強化を解除して、強化していた値に比例して、ステータスを下げる。』のだ。
つまり、スキルで筋力を【+A】していれば、それを打ち消して【-A】を与えるのだ。それに【-D】も加わる。バフ強化に頼れば頼るほど地獄を見るのだ。
ゴブリンナイトによって強化されていたトロールやホブゴブリン達は見事にそれが余計な重りとなってしまったのだ。
僕の捨て身のスキルで、その後は破竹の勢いでゴブリンを倒していく冒険者達。
そして、ついにゴブリンナイト2体のみになる。
「おらぁ!!【ボンバー・スイング】!!」
「【バイパー・ランス】!しぃ!」
「特攻だぁ!!【スパイラル・スラスト】でぇ夜露死苦ぅ!!!しゃあ!止めぇだぁ!?」
「やあああ!!【跳飛破蹴】!!って!?待って待って!?あぁ!?」
フルレッドさんとルナイラさんのスキルが1体のゴブリンナイトを撃破する。
そして、もう1体のゴブリンナイトにアルファレアさんが攻撃し怯んだところに追撃して止めを刺そうとしたところに、ウニャミスさんが飛び蹴りを放って飛んできて、アルファレアさんごとゴブリンナイトをふっ飛ばして倒してしまう。
「あ~あ、またやったよ。なんで俺らもカバーできる状態じゃないのに1人で突っ込むの?馬鹿なの?あ、馬鹿か」
「近かったからでしょ。馬鹿だから」
「せめて、スキルを使わなければいいのに。馬鹿なんだから」
「欲張るからだな。馬鹿が」
呆れた目をしながらカオルさん、地正さん、ベリスケさん、ラーンさんの順にウニャミスさんを貶す。
「てんめぇえええ!!あたしにどんだけ恨みあんだぁ!?クソ猫がぁああ!!」
「いやああああ!?わざとじゃないんです!?事故なんです!?やめてぇーー!!」
「それで済むならポリ公は働いてねぇんだよぉ!!保健所に行ってこいやああ!!クソ『ピー』猫がぁ!!」
「あぎゃああああ!?」
恨みはあると思うけどね。あんだけ踏まれれば。
まぁ、それを晴らしたかのような行動だったよね。南無~。
しかし、なんでよりによってアルファレアさんの時に起こるのだろうか。
「おいナナキ!なんださっきのスキルは!?そんなんあるなら最初から使えや!!」
「っていうか大丈夫?」
フルレッドさんとルナイラさんがやってくる。
僕は【フニャン】について簡単に説明する。
それを聞いて、納得する2人。
「なるほどな。自爆技なのか。しかも声だからなぁ。誰にどこまで影響あるのか分からねぇのか」
「にゃ」
「これってどれくらいの効果時間なの?」
「10分にゃ」
「マジかよ。……敵にケット・シーいたら逃げることにするわ」
「本当ね」
流石に自流であることは伝えないよ?
タマ師匠やジェジェン先生は知ってるけど。
だって2人の前で作ったからね!
でも、タマ師匠には意味がなかったけどね。少し下げたくらいじゃ座り込みもしない。僕も弱くなったから無抵抗にボコボコにされた。
【フニャン】の攻略法って意外と簡単。
再度強化するか、【ディスペル】を使うか。
実は【フニャン】は魔法効果なので【ディスペル】で解除できるんだよね。
後は精神力が強ければ、弾くこともできる。
「まぁ、助かったぜ」
「でも、これからが本番ね」
ルナイラさんが目を鋭くして、森を睨む。
「ケーン!戦力はどうだ?」
「厳しいですね。後衛陣の魔力は全員が残り1/3程度。魔力ポーション酔いも起こしそうです。前衛もほとんどの者が同じくポーション酔い1歩手前で、武器も破損直前です」
ポーションは1時間以内に5本飲むと『ポーション酔い』という中毒症状を起こす。
この状態になると、ポーションの効果は無くなり動きが緩慢になる。
その言葉に顔を顰めるフルレッドさん。
「数が少ないことを祈るか」
「ナナキ。ナティ。祈って」
「「にゃにゃにゃにゃにゃ」」
言われた通りに手を合わせて祈ってみる。
ゴブアアアアアアアア!!
「「にゃ!?」」
「さて、どうかね?」
森から雄叫びが聞こえ、ドスドスドスっと足音が聞こえてくる。
現れた影は3つ。
2匹はゴブリンナイトと同じように鎧を着こんでいるが、大きさは一回り大きい。
あれがゴブリンジェネラル…!
そして、その後ろにいるのがゴブリンキングだ。
キングだが、大きさはジェネラルより一回り大きい。頭には王冠を被っており、杖代わりなのか豪華な斧を地面に着いている。マントを羽織っており、その圧力はまさしく王だ。
トロールじゃないの?あれ、ゴブリンなの?
「3匹か……。まぁ、当たりだな」
「よくやったわ!」
「「にゃ!」」
とりあえず喜んどく。
僕はまだ戦えません!
「さて、どうすっかね」
「キングを足止めしねぇとダメだ。ジェネラルと組まれると手に負えん」
「けど、キングを止めるには戦力がなぁ」
「あぁ。足りん」
もちろんキングだって強さはジェネラルに劣らない。
「俺がキングとやりますよ」
ベリスケさんが名乗りを上げる。
それをフルレッドさんとグラトルさんは顔を顰める。
ただし、顰めた意味は違う。
「てめぇが?出来んのかよ?」
フルレッドさんは疑問だったから。
グラトルさんは、
「……そうだな。可能性はあるだろうがよ。……それが嫌だから来てんだぜ?俺は」
「それは嬉しいです。でも、ここは何が何でも勝たないと」
ベリスケさんは苦笑して話す。
カオルさんや地正さんも腕を組んで考え込んでいる。
ラーンさんが声を挙げる。
「何を言ってるんだ!?いくら何でも無理に決まっているだろう!?」
「……おい。言ってねぇのかよ」
「……すんません」
「ちっ。だから、てめぇは馬鹿だっつうんだよ」
「何を言ってるんだ!?」
「そうだぜ。そいつに何が出来んだよ」
ラーンさんとフルレッドさんが詰め寄る。
本当に何をする気だ?ベリスケさんは。
「先輩方。ジェネラルは任せますよ。さっさと倒してきてくださいね」
「お前が先にキング倒してくれると嬉しいかなー」
「まぁ、頑張るわ」
「あの猫呼んできます」
「よろ」
カオルさんはウニャミスさんを迎えに行く。
手にはポーションが数本。
本当になにするの?
くそう!?あと5分もこのままだ!
カオルさんがバシャンとポーションをウニャミスさんにかける。
「ぷあ!?なに!?」
「さっさと起きて準備してくださいよ。本気で行きますよ」
「え?え?」
「いいから。ほら」
「う、うん」
カオルさんは少し機嫌が悪そうだ。
これからすることに関係あるのか?
「おい。お前さん達はジェネラル1匹だ」
「……行けんだろうな?」
「ダメだったら熊公が死ぬだけだ」
「……分かったよ」
フルレッドさん達は納得しきれてないが、渋々従う。
ラーンさんは納得できていないようだが、カオルさん達は無視して準備を始める。
環久さんは眼鏡をかけていて少しオロオロしている。
それぞれが配置に着く。
ベリスケさんは盾を背中に戻す。
「行きます」
すると、ベリスケさんの体が膨れ上がり始める。
ビキビキビキッ!!
茶色の毛が黒く染まっていき、両目が赤く輝き始める。
なに?あれ。
「ベ、ベリスケ……!?」
「おいおいおい。そう言うことかよ……!?」
「バーサーカー!?」
あれが!?バーサーカー!?
グガアアアアアアア!!!
ベリスケさんが吼える。
その声に間違いなく理性はなかった。
「チクショウが!行けええええ!!熊公!!!」
「ベ、ベリスケ……!」
ラーンさんの声かけにも答えず、ベリスケさんは飛び出して、斧を振り上げながら物凄い勢いでキングに迫る。
ジェネラル達が動こうとするが、フルレッドさん達やウニャミスさん達が攻撃して止める。
キングも斧を構えて迎え撃つ。
グアアアアアア!!
ゴブアアアアア!!
そして、互いの斧がぶつかり合う。
決戦が始まった。
ありがとうございました。
面白い、頑張って書けと思ってくださる方は、下の評価をクリックして頂けると励みになります。




