#46 ここから離れろ!
よろしくお願いします。
ようやく、彼を復活出来ました!
いよいよ旅に出ます!
といっても、1週間ほどだし、街からはポータルで帰ってこれるけど。
でも、ちょっとワクワクする。
なんてたって……ナティと2人っきりなんですよ!!
今までも何回かあったけど、ここまで長い期間は初めてなんですよ!!
楽しみです!!
と、いうことで!
「「行ってきますにゃ~!」」
「いってらっしゃ~い~!」
「気を付けるんだよ!」
「変なことして怪我しないでねん!お魚はほどほどにねん!」
シィナさん、エリマさん、ナラルスさん、タマ師匠、ジェジェン先生に手を振って挨拶する。
ただナラルスさん。変なことって何さ!
そんなにして……るかも?
「きゅあ~~~!」
僕の頭の上でリフォンも鳴く。
うん。してるね。
気を付けます!!
猫2匹と子グリフォン1匹は、機嫌良く道を歩く。
天気も良く、風も心地いい。
周りを見ると、魔物の姿は少なく、チラチラと初心者っぽい冒険者の姿がある。
しかし、この街では他にケット・シーは現れなかったなぁ。
そんなに出ないのかな?
トコトコと歩く。
朝に出て、そろそろお昼。
結構歩いたな。
川辺を見つけたので、ここで昼食を摂ることにする。
「歩き続けたけど大丈夫にゃ?」
「全然大丈夫ですにゃ」
「きゅあ!」
「リフォンは飛ぶか僕の頭だにゃ」
「きゅ~」
リフォンが少し項垂れた様子に笑う僕達。
地面にシートを敷いて、ナラルスさんが作ってくれた弁当を開ける。
「わぁ!可愛いですにゃ!」
「サンドイッチにタコさんウィンニャー、白身さかにゃのすり身で作った雪だるま団子に色々あるにゃ!」
「…次は料理人…でも、細工職人か裁縫職人もしたいにゃあ」
「きゅあ!きゅあ!」
豪華だな!……お子様ランチっぽいな。
…まぁ、いっか!
ウマー!!
おいしく食べ終わって、お茶を飲んで少しホッとする僕達。
地図を広げて場所を確認する。
「う~ん。思ったより来てにゃいにゃ」
「エリマさんは、夕方には最初のキャンプ地までは着けるって言ってたにゃ?」
「……まだ半分も来てにゃいにゃ」
なんで?
休まずに歩いてきたのにな。
流石にこれ以上早く歩くのはきついよなぁ。
「あ」
「どうしたにゃ?ニャティ」
「……私達の足は他の種族より短いし、遅いの忘れてたにゃ」
「あ」
そうだった。
最近は皆が合わせてくれてるし、抱えられたりしてるから忘れてた!
「ということは、予定が大分狂うにゃ」
「下手したら2週間かかりますにゃ」
「……仕方にゃいにゃ!早歩きしたって大して変わらにゃいにゃ!」
諦めることにする。
だって、どうしようもないんだもの!
夜通し歩くわけにもいかん!
「とりあえず、キャンプ地まで行けるだけ行くにゃ!」
「はいですにゃ!」
出発する僕達。
やや前途多難である。
その後も特に魔獣の襲撃もなく歩き続ける。
空がオレンジになって、小さく星が輝き始めたのが見える。
困ったな。キャンプ地まではまだ2時間はかかりそうだ。
その頃には真っ暗だな。まぁ、暗視があるけど。
「どうしますかにゃ?」
「にゃ~。ここでテント張るのは危にゃいかにゃあ」
「じゃあ、行きますにゃ!キャンプ地には誰かいるかもしれにゃいですにゃ」
「そうだにゃ!」
「きゅあ!」
頑張って歩くことにする。
リフォンは夜目が効かないので、飛ばさずに大人しく頭の上にいさせる。
2時間ほど歩くと、遠くに明かりが見えた。
お!焚火かな?
ということは誰かいるってことだな!
「もうちょっとだにゃ」
「はいにゃ」
30分程歩いて、やっとキャンプ地に着く。
キャンプ地は森の手前で獣除けの結界を施された柵に囲まれていた。
そこには3組ほど冒険者がキャンプをしていた。
「お?こんな時間に着いたのか。大丈夫だったか?」
「にゃにかありましたかにゃ?」
「聞いてねぇのか?最近、夜になると近くで大きな魔獣が目撃されるんだ。俺達はそれの調査と討伐依頼でここにいる」
聞いてないです!エリマさん!?
危なかった。あそこでキャンプしてたら襲われてたな。
「何もなかったらいいんだ。ここは結界張ってるから大丈夫だと思うけど注意しろよ。見張りまでは手伝えねぇ」
「分かりましたにゃ。ありがとうございますにゃ」
礼を言うと、冒険者は仲間達の元に戻る。
「危にゃかったにゃ」
「やっぱりキャンプ地で寝れるように移動しにゃいとダメですにゃね」
「そうだにゃあ。とりあえず、テント張って、ご飯食べてから考えるにゃ」
「はいにゃ」
ナティと2人でテントを張る。
練習したので、特に問題はない。
最初は難しかったけどね!だって、上手く持てなかったんだもん!
続いて、焚火を起こす。
ここに来るまでに薪になりそうなものを集めながら歩いていた。
川辺で集めていた石を並べて、薪と紙を重ねる。
そこにマッチで火を付けて、風をフゥーフゥーと送る。
上手く付いた!
ってあっちぃ!髭がちょっと焦げた!!
「にゃ!?【ヒール】!」
ナティが慌てて回復してくれる。
ありがとう!
街で買った魚3匹を串焼きにする。
果物もリンゴを1つずつ。
「きゅ!きゅあ!」
おまえの分も作ってるから待ちなさい。
皿を一枚取り出して、焼いた魚を置く。
そして、リフォンがそれに飛び付き食べ始める。
ちぇい!いただきますしなさい!
「きゅ~。きゅきゅあ!」
「「いただきますにゃ」」
リフォンが少し反省して、それっぽく鳴いて食べ始める。
僕達もそれに続く。塩焼きでウマー。
「「にゃっふ~ん」」
少し幸せ。……グルメになったもんだな。
果物も甘くて美味しい。うん。満足。
「見張りはしますかにゃ?」
「にゃ~。エリマさんはキャンプ地にゃら別にいいって言ってたにゃ」
でも、なんか強い奴いるみたいだしなぁ。
「エリマさんにもらった砂時計が落ちるまでは2人で一緒に起きとくにゃ。その後は2人で寝るにゃ」
「分かりましたにゃ」
しばらく焚火の前でしっぽりと2人で過ごす。
リフォン?もうテントの中で寝てるよ。
お茶を飲みながら2人で星を見上げる。
尻尾で繋がっています。幸せ。
「明日は森にゃ。頑張って抜けにゃいとテント張れにゃいにゃ」
「この森って抜けるの時間かかりますかにゃ?」
「エリマさんは『早ければ夕暮れ前には』って言ってたにゃ。だから、僕達だと今日とおにゃじくらいの時間かもしれにゃいにゃ」
「にゃ~。でも森は抜けにゃいといけにゃいですにゃ。頑張りますにゃ!」
ふんす!と気合を入れるナティ。
うん。かわゆすぎる。
ということで眠ることにする。
毛布を敷いて横になり、もう一枚を掛ける。
余裕で2人でも問題なく寝れる。
枕も買っておいてよかった。
うん?もちろん大きめの枕で2人で1つですよ。……いいじゃないか!
気づくと朝。疲れは感じない。
ナティはまだ寝ている。時間は朝6時。
う~ん。早いかもだけど、起きて準備しよう。
「ニャティ」
「にゃう?……んにゃん~」
ナティを起こす。寝起きでぼんやりしているナティは僕に抱き着く。
そして、顔を僕の胸に擦り付けてくる。
か……かわゆすぎるやろーーーー!!
あと数時間はこのままでいたい!
でも、心を鬼に…嫌!鬼神にしてナティを正気にする。
「ニャティ!朝だにゃ」
「にゃん?……うにゃ~。…おはようにゃニャニャキ」
「おはようにゃ」
コシコシと目を擦って唸り、パチッと目を開けて挨拶するナティ。
さっきまでの行動は覚えてない様だ。
そこもかわゆい。
外に出て、朝ご飯を食べる。
リフォンには干し肉をあげる。
他の冒険者達は出かけているようでいない。
テントを仕舞って、石を回収する。石はまだ使えるからね。
さて、出発!
森に進んでいく。森の中は拓けた道があるが、ここは馬車が通ることがあるので歩きの者は森の中を進む。
森の中の道は多くの人が歩いているので、獣道のようになっていて歩きやすい。
しばらく歩く。
「途中で池があるにゃ。そこでお昼ご飯にするにゃ」
「はいにゃ」
地図を見ながら予定を立てる。
エリマさんとシィナさんから滅茶苦茶細かく書かれている地図をもらった。
いいのかと聞くと、
『本当はダメだねぇ』
『でもナナキちゃん達は~もうケット・シーの国の庇護下に近いから~これくらいしても怒られないわ~』
と言われた。
なんか僕達の知らないところで凄いことになってる!?
その時の僕は驚愕を抑えられなかった。
もうすぐ池に着くというところで、
「にゃ?」
「どうしましたにゃ?……にゃ?」
「にゃんか匂うにゃ」
僕達の鼻にいい匂いが届いてきた。
すっごく気になるな~。
僕達はふらふら~とその匂いに引っ張られていった。
道から外れて少しした所に、その匂いの元はあった。
「これだにゃ~」
「いい匂いだにゃ~」
もう2人にはその匂いのことしか頭になかった。
「にゃ~」
「にゃあ」
2人は急にふらふらっと足取りがおぼつかなくなって、座り込んでしまう。
ナティはナナキに抱き着いてくる。
ナナキもナティに抱き着く。
「うにゃ~」
「にゃあん」
互いに匂いを嗅ぐようにゴロゴロと喉を鳴らしながら絡みつく。
なんか気持ちいい~。
すると、突如ナナキとナティは首元を何者かに掴み上げられる。
「「にゃあ!?にゃああーー!!」」
「落ち着け」
嫌だーー!!
ここにいるーーー!
ナティと共に暴れる。
「精神不安定と認識。拠点に帰還する」
やだやだやだやだ~!!
「「にゃあにゃあにゃあにゃあにゃあ!!」」
僕達は抵抗してガリガリと引っ掻くが、全く効かない。
離せーーー!!
ここから!これから離れるなんて!?
嫌だーー!!
「ローラー展開。フルスロットル。ゴー」
「「にゃああああ!?」」
急に体に物凄い衝撃と圧が掛かる。
そして、匂いから離れていくのを感じる。
あぁ!?そんな!?いやーー!?
僕達は気づくと、キャンプ地にいた。
なんでここにいるの?
あれ?ここって森を抜けた所?なんで?
ナティも不思議そうに周りを見て隣にいた。
空はそろそろ夕方ってところだ。
そこに近づいてくる者がいた。
「起きたわね。大丈夫?」
声を掛けてきたのは、茶髪で草臥れた白衣を着ている女性。
髪も少しボサボサしており、眼鏡の下には隈が出来ている。
「私はミクス。科学者をしているわ」
「ニャニャキですにゃ」
「ニャティですにゃ」
「ケット・シーだから、ナナキにナティね。気分はどう?薬は抜けてると思うけど」
「「薬?」」
僕達は首を傾げる。
それを見て、ミクスさんは少しめんどくさそうに髪を掻きながら話す。
「あぁ~覚えてないのね。あなた達【酩酊】と【魅了】状態だったのよ。多分【マタタビ】でも嗅いだのね。いい匂いがしなかった?」
「「え!?」」
マジで!?
あ。でも確かにした!
え!?あれマタタビなの!?
「しましたにゃ」
「ケット・シーはマタタビ嗅ぐと酔っぱらうのよ。そこから離そうとすると暴れるらしいわ。実際、かなり暴れてたわよ?連れてきた奴はひっかき傷だらけだったわ。魔力が使えないからスキルや魔法は使わなかったみたいだけど」
マジで!?ってさっきも言ったな。
そんなに引っ掻いたの!?
「その人は大丈夫ですかにゃ!?」
「あぁ、大丈夫よ。血なんか出ないから」
「え?」
「本当に覚えてないのね。すぐそこにいるわ。体が問題ないなら付いてきなさい」
そう言って歩き出すミクスさん。
僕達は慌てて付いて行く。
少し歩いた先に何人か人が集まっており、ミクスさんはそこに声を開ける。
「マキナー。2人が起きたわよ」
「了解」
呼びかけに反応したのは、全身白銀の鎧の様なものを着た者だった。
「……ロボット?」
「正確には【オートマタ】ね」
「イエス。私は【オートマタ】。個体名マキナー」
「ニャニャキですにゃ。ご迷惑おかけしましたにゃ」
「ニャティですにゃ。ごめんにゃさいにゃ」
「ナナキとナティね」
「了解。礼、謝罪不要」
マキナーも独特な喋り方をするようだ。
「私はプレイヤー。連絡先の交換を提案」
「構いませんにゃ」
「はいにゃ」
フレンド登録する。
すると、マキナーからメールが届く。
なんで?目の前にいるのに?
『よろしゅうに!いやー、森探索しとったら服着た猫がニャンニャンと盛っとってビビったわ~』
ポカンとして、メールを見て、マキナーを見る。
マキナーは頷く。
再度メールが届く。
『すまんなぁ~。まだ種族レベルが低いんか、まともにしゃべられへんねん(/ω\)。βの時は普通にしゃべれたんやけどな~(-"-)。今はミクスはんとベッコンはんっちゅう発明家のNPCに協力しながら改造依頼しとんねん。まぁ、何や変な方向に行き始めとるけど』
あぁ。なるほど。
βと同じように選んだらそうなったのか。
チルッチが発明家だったのは少しでも自分で弄るためか。
大変だな。
『ちなみに自分らが酔っ払っとったんはキウイやで。あれもマタタビやからな。気ぃ付けや。あ、呼び捨てでもええで?こんなナリやしな~』
キウイかい!?
あれってそういえばマタタビ科だな!
おぉう。リアルに戻ったら調べとこ。
「話は終わったかしら?」
ミクスさんが声を掛けてくる。
あぁ、NPCはメール機能は持ってないんだよな。
「お待たせしましたにゃ」
「謝罪する」
「いいわよ別に」
「はにゃし方って直ぐににゃおせにゃいんですかにゃ?」
「直せるわよ?でも、変な喋り方だったら嫌じゃない。だから、このままでいいわよ」
直せるんかい!?
すると、マキナーからメールが届く。
『(´-ω-`)』
あぁ。もう断られたのね。
返信する。
『(ToT)/~~~』
『(◞‸◟)』
これはこれで面白いな。
「この後、ちょっとした実験するの。2人も少し手伝ってくれないかしら」
「かまいませんにゃ」
「はいにゃ」
「感謝する」
『おおきに!』
ということでお手伝いすることになった。
今日の教訓は、『マタタビには気を付けよう!』そして『ロボット系プレイヤーは独特な人が多い』
忘れません。
ありがとうございました。
面白い、頑張って書けと思ってくださる方は、下の評価をクリックして頂けると励みになります。




