#44 戻った日常
本日2話目です!
よろしくお願いします。
イベントを終えて、ゲーム内で数日が経った。
僕達はしばらくは個々で活動することにした。
ちなみに、入賞景品はパーティー用のものだった。
馬車、大型テント、限定装備、パーティー共有倉庫、そしてホーム建設権、ホーム増設権などだ。
僕のパーティーがホーム建設権を。
白蓮のパーティーがホーム増設権を選んだ。
これでホーム問題が一気に解決した。
と言っても、まだ建設中だけどね。
内装などは白蓮やディノ達に任せた。
僕は建築に興味ないし、クランホームに関してもそんなに知識はないからだ。
随分と盛り上がっていたから、良い物が出来るだろう。
あと、ナダとモーカも僕達のクランに入った。
「君達といると面白そうだ」
「それにリーダーが付き合ってるしね。私達は目立たないだろうし」
料理人が入ったため、ホームには調理場が出来る。
モーカも矢やアイテムを錬成してくれて、補充がしやすくなってラドンナ筆頭に喜んでいる。
ナティはあれから鍛冶の練習を頑張っている。
親方のフォンフォからは「もう少しで下級は卒業だね」と言っていた。
ナティは気合を入れて、今日も鉄を打っている。
流石に前使っていた剣はまだ無理ということで、カラナさんにお願いした。
「久しぶり?になるのかな。入賞おめでとう」
「そっちも10位でしたにゃ?」
「私達は生産で稼いだからね。あんまり攻略は出来てないよ」
カラナさん達は他のプレイヤー達の装備の修繕などに時間を費やしたそうだ。
その代わりにアイテムなどをもらって、地味にウハウハだったらしい。
ナティを迎えに行く途中では、ウニャミスさん達に会った。
「あっ!ナナキ君だ!」
「こんにちわにゃ。2位って凄かったですにゃ」
「あぁ~あれね。偶然なんだよね」
「偶然?」
ベリスケさんの言葉に僕は首を傾げる。
それをカオルさんや地正さんが説明してくれる。
「最初の島で戦ってたんだけどね。そこにあの72柱って奴が2体来たんだよ」
「で、他のパーティと一緒に戦ってたんだけど、そのラストアタックをこの猫が2体とも取っちゃったんだよね」
「しかも、その取り方がさぁ。1体目は一番攻めてたパーティーの攻撃に先輩が巻き込まれて吹き飛ばされて、吹き飛んだ先にそいつがいて頭突きしたら死んで、2体目は先輩がそのパーティーにキレられて追いかけられてたところに、今度は敵の方が飛ばされてきて、先輩がスキルで防いだらそれが止めになって死んじゃったって感じなんだよね」
「おぉう」
そうか。
あの悪魔は倒した人の総取りだったのか。
それは……暴動怒るよね。
「別にわざとじゃないのに~」
「だから今こうして無事に過ごしてるんじゃないですか」
「時々睨まれるんだもん!」
「まぁ、【盗運黒猫】って呼ばれてますもんね」
盗運黒猫って。
黒猫も相まって、人の運を吸い取って自分が幸運になる奴ってことか。
……嫌われてるね!
「大丈夫にゃんですか?」
「個人で組むのはいいんだけどさ。パーティー同士でってなると露骨に避けられる」
「おぉう」
「とりあえず『黒猫踏んで恨み晴らせ』って企画を真剣に考え始めてる」
「えぇ!?やめてよ!?」
「この人さ、自分達にとっては役に立たないレアアイテムとか隠しイベントをガンガン引き当てるんだよね。なのに、本当に欲しい奴を全く呼び込まないんだよ」
カオルさんが冗談なのか本気なのか分からない企画名を言う。
それに慌てるウニャミスさん。
ベリスケさんがうんざりしたように愚痴をこぼす。
あぁ、ひねくれた幸運の持ち主と。
うわぁ。誰も喜ばないね。
「今回は入賞アイテムがあったからまだよかったけどね。これでなかったら企画は実行してたね」
「頑張ってくださいにゃ」
「ありがとう。まぁ、やっと掴まえたメンバーに逃げられない様にしないとね」
「増えたんですにゃ?」
「やっとね。今度会えたら紹介するよ。1人は地さんの恋人になったし」
おぉ!それはめでたい。
そこに声が響く。
「あ!てめぇ黒猫!!」
「あの人は!?」
「待ちやがれてめぇ!」
「うわぁぁぁ!?」
ウニャミスさんが走り出す。
それを追いかけて行ったのは、騎士の格好をしたエルフの女性、アルファレアさん。
話し方は全く騎士じゃなかったけど。
女性の後ろをついていく女性達もエルフだった。
「あぁ~。また追いかけられてる。あの人も飽きないですね」
「ホントにな。惚れてるんじゃね?」
ベリスケさんとカオルさんはそれに慌てることもなく見送る。
地正さんは腹を抱えて笑っていた。
どうやらよく見る光景のようだ。
「あっ!……え!?待って待って!いたぁぁぁぁい!?」
「おらおらおらおらぁ!!」
黒猫が転んだようだ。
女性にボコボコに踏まれて、グリグリされている黒猫が見える。
大丈夫だろうか。
「大丈夫大丈夫。多分心の中では喜んでるから」
「そうそう。美人に踏まれて喜べるから。あの人」
そうか。Mなのか。
うん……ナティ達には近づけない様にしよう。
「今度いっしょにクエストでも行こう。あの人除けて」
「そうですにゃ。お願いしますにゃ」
まだ踏まれていた黒猫を横目に約束する僕達だった。
ギルドに寄ると、タマ師匠に捕まって模擬戦になった。
「そろそろ教えることもにゃくにゃってきたにゃ!いっちょ本気でやってみるにゃ!」
仁王立ちで言ってくるタマ師匠。
訓練場の端にはジェジェン先生、エリマさん、シィナさんが見学していた。
ナティには連絡は入れてるよ、もちろん。
「来いにゃ!!」
その言葉に一気に走り出す僕。
一瞬で距離を詰めたことに少し目を見開くタマ師匠。
「にゃ!にゃあ!」
爪を振るう僕。
それは簡単に避けられてしまう。
タマ師匠が拳を握る。
「【ミラージュサイン】!」
僕はフェイントを掛ける。
しかし、タマ師匠の目は騙されなかった。
タマ師匠の拳が放たれる。
「!?【スイッチ】!」
ミラージュサインを使った時に投げといた石と入れ替わる。
タマ師匠の後ろに飛ぶと、タマ師匠はすでにこっちを見ていた。
僕は目を見開く。
「おりゃあ!」
タマ師匠の拳を紙一重で避ける。
その腕に掴み掛る。
「あめぇにゃ!」
タマ師匠の腕の筋肉が震えて、弾かれてしまう。
「っ!?【月爪乱舞】!」
「【空震肉球】!」
何枚も放たれた斬撃の爪が、タマ師匠の肉球から放たれた衝撃波に砕かれる。
「にゃあ!?」
「おらおらぁ!」
タマ師匠は連続で拳蹴を放ってくる。
僕はなんとか避けていくが、一撃当たってしまう。
「にゃぐ!」
「目を瞑るにゃ!」
「にゃあ!」
痛みに目を瞑ってしまう僕。
そこに容赦なく攻撃するタマ師匠。
僕は吹き飛ばされてしまう。
「そこまで!」
エリマさんが終了を告げる。
くそ!あれから強くなってると思うんだけどなぁ。
「速いだけじゃ俺は倒せねぇにゃ!」
「しかし、十分ではにゃいですかにゃ?」
「まぁにゃ!でも、もっともっと強くしてやるにゃ!」
タマ師匠は笑う。
ジェジェン先生はそれにため息を吐く。
「そろそろ怒られるのでは?」
「だったら誰か来るだろにゃ。まだいるにゃ!」
タマ師匠はまだまだここに居座るようだ。
ありがたい。
絶対に一撃入れてやるぞ!
ナティが迎えに来て、2人は手を繋いで歩く。
ナナキの頭にはリフォンがいる。
「鍛冶の修行が落ち着いたら、第2の街に行ってみるにゃ」
「にゃにがありますにゃ?」
「近くにダンジョンがあったり、綺麗にゃ滝とかがあるらしいにゃ」
「綺麗にゃ滝ですかにゃ!」
「それにケット・シーの国にも近づくにゃ」
2人はこれからの予定を話し合う。
見てみたい所、やってみたいこと、それを話していく。
「旅をするにゃ!」
「旅をしますにゃ!」
2人が一番楽しみなことは、恋人と何処かに行くということ。
その選択肢を増やしていく。
それだけでも楽しい2人。
「楽しみですにゃ!」
「きっと楽しいにゃ!」
2人は笑いながら歩いていく。
それを見送る住民達は、その光景がもう日常になってしまっていた。
ありがとうございました。
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