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#36 猫を怒らせてはいけない

寝落ちしました。

すいません。


よろしくお願いします。


 魔獣を倒し、胴上げも終わる。

 魔獣のドロップは全員同じものだった。


 周りを見ると、玉座の後ろに道が出来ていた。

 進むと、宮殿の裏に出たようで、そこは庭園になっていた。


 庭園を進むと、奥に宝箱が2つあった。

 1つは鍵付きの宝箱のようで、僕は人形部屋で見つけた鍵を取り出す。

 まずは、鍵が付いていないものを開けると、中には人数分の蘇生薬があった。

 蘇生薬はまだ製法が分かっておらず、ドロップもランダムらしく、いつ手に入るか分からないらしい。


 鍵付きの方を次に開ける。

 中にあったのは、弓だった。

___________________________________________

名前:月乙女の狩弓

Rank:A

効果:射A、スキル【アルテミス・ミーティア】付与

月の女神の加護が宿り、女神の眷属が使用したとされる弓。

魔力を込めると、矢を生み出し、放つことが出来る。

___________________________________________

 これはラドンナだろう。


「ラドンニャ。どうぞにゃ」

「いいのかい?」

「弓使えるのラドンニャだけにゃ」

「それもそうか。ありがたく使わせてもらうよ」

 

 他も見て回るが、特に何もない。

 庭園にあった魔法陣に乗ると、元の神殿に戻ってきた。


「外はどうなってるんでしょうか」

「確認してくるで御座る」


 青影さん達が外に出る。

 僕達は一度長椅子に座って落ち着く。


「外はまだ暗いですわね。結構ダンジョンにいた気がしますけど」

「特別なエリアじゃったからな。時間の進み方が違ったのかもしれぬ」

「というか、そろそろ休みたいわね」


 流石にダンジョンアタックで疲れている。

 ふにゃ~。

 蘭羅は舟をこいでいた。


「正直、魔神軍に関しては他の奴らに任せて、少し休んでもいいんじゃないかい?」

「そうだな。ある程度このイベントはナナキによって攻略されたしな」


 僕も眠くなってきてポヤポヤしていた。

 ナティもその横で僕の肩に頭を乗せて、ポヤポヤしていた。


「まぁ、この子らも大変だったからねぇ」


 ラドンナは苦笑する。


「そういえばチルッチってどこにいったの?」


 リヴァランがチルッチの事を思い出す。


「確か、死に戻りが集まるエリアがあるんだよね?」

「そうですわね。後で情報を集めますか」

「そうじゃな。まだ眠らずに行ける者が残り、他の者は一度ベッドで眠ればよかろう」


 アガタの提案で、ナナキのパーティと蘭羅が寝ることになった。


 ナナキとナティは寝ぼけており、フラ~っと昨日寝た部屋に入り、周りの目も気にせず2人で同じベッドに入って眠る。

 その様子にラドンナ達はナナキ達がどう過ごしていたのか、簡単に把握できた。

 顔を見合わせて苦笑し、2人の部屋を後にする。

 すると白蓮が【使用中♡】の札をナナキ達の部屋のドアノブにかける。


「ふふ♪ネタアイテムなのですが、役に立つものですわね」

「あんたが何に使う気だったのか、凄く気になるねぇ」 


 白蓮は笑顔で言い、ラドンナが突っ込むが白蓮は笑って躱す。

 残りのメンバーも随時部屋に入り、横になる。


 

 白蓮達は長椅子に座って休んでいると、青影が戻ってきた。


「む?」

「あぁ。他のメンバーは休んでますわ」

「了解で御座る。で、ダンジョンに入ってからはそんなに時間は経っていないようで御座った。一応、他の島の者達には、侵攻があることは伝えているで御座る。そして、この島は女神の言う通り、ゆっくり下降しているで御座るな。明日の昼には、海に着水すると考えられるで御座る」

「微妙な時間ですわねぇ」


 青影の言葉に、白蓮達は顔を顰める。

 

「そういえば、死に戻りがどこにいるかは分かるかの?」

「最初の島で湖があったのは知っているで御座るか?」


 白蓮達は頷く。


「その湖の真ん中に島があるで御座る。そこの地下に牢獄があるで御座る」

「門番がボス?」

「おそらく」

「おそらく?」


 その言葉に首を傾げる。


「誰も助けに行ってないからで御座る。全滅したパーティーはもちろん、半壊したパーティーも手が出せない。かといって、1人が減ったくらいなら無理に助ける必要もない。って感じで御座る」


 その言葉に白蓮達は納得するも、情報なしで助けに行くのは怖いものがあるため悩む。


「しかし、チルッチは我らには必要な火力じゃ。それに防衛に人手は多い方がいいじゃろ」


 と言う言葉によって、白蓮達はチルッチ救出を提案することを決めた。

 白蓮達も部屋を決め、休むことにした。



 朝日を感じて、ナティは目を覚ます。


「んにゃぁ」


 くしくし、と目をこすり、改めて目を開ける。

 目の前に、ナナキの顔があった。


「っ!!!!!」


 ナティは硬直し、状況に思い当たり顔を真っ赤にしていく。

 しかし、ナティはナナキから離れない。

 昨日の戦いとは違って、気持ちよさそうに寝ている顔。

 かっこいいとは無縁の顔。

 なのに心臓は高鳴り、ずっと見ていたいとすら思っている。

 ナティはどんどんナナキが好きになっていく。


(現実のあなたは、どんな人なのでしょう。高校生?大学生?)


 社会人ではないと思う。

 向こうでも、この人を好きになれるだろうか。

 好きになってもいいだろうか。

 ナティは幸せそうに、けれども寂しそうに、ナナキを見つめ続ける。



 僕が目を覚ますと、ナティも起きたようで体を起こしていた。


「にゃ~。ん、ぎゅう。…おはようにゃ。ニャティ」

「おはようにゃ。ニャニャキ」


 起き上がり、伸びをして恋人に挨拶する。

 それに笑顔で挨拶を返してくれる恋人。

 僕は今日も幸せな朝だと感謝する。


 僕は卵を取り出す。

 ポーチに入れてる間は孵化は進まないみたいだ。

 ナティと一緒に卵をナデナデする。

 僕が卵を抱えて、廊下に出る。

 そこにはニナやラドンナ達が揃っていた。


「おはようにゃ」

「おはようさん」


 僕達は食堂に移動する。

 後ろではニナがナティに何か話しかけている。

 ナティの顔が徐々に赤くなっていく。

 ニナはニヤニヤとそれを見ていた。


 

「というわけで、チルッチさんの救出に向かいたいと思いますわ」

「そうだねぇ。あの子がいないと、魔法の手数が一気に減るからねぇ」

「問題にゃいですにゃ」


 特に反論もなく、チルッチ救出が決まる。  

 朝ご飯を食べていると、ナティの隣に座っていたラドンナがニヤニヤしながらナティを見る。


「そういえば、昨日2人は随分すんなりと一緒のベッドに入ってたねぇ。一昨日もそうだったのかい?」


 その言葉に僕達は顔を赤らめてラドンナから目を逸らす。

 いいじゃないですか……。


 その様子にオグマは他人事のように、


(そういえば、毛で覆われているのに顔色が分かるのは何故だろうな)


 とどうでもいいことを考えていた。


「野宿でもくっついて寝てたしねぇ。宿でも一緒に寝てるんだっけ?」


 ナティは顔を埋めて、プルプルと震えだす。

 その後もラドンナはナティをからかう。


「ラ、ラドンナ~。そろそろやめた方がい、いいかなぁ~って思うよ~」


 ニナが顔を引きつらせながら言う。

 それに、ラドンナが首を傾げる。


「……………悪かったですにゃ」

「ん?」


 ナティが静かに呟く。

 ラドンナがナティに目を向ける。


 ナティが薄ら笑いしながら、ラドンナを見る。


「好きにゃ人と一緒にいて楽しく過ごしてごめんにゃさいにゃ。ラドンニャさんは独り身にゃのに。それを気にせず浮かれて楽しく過ごすにゃんて酷かったですにゃ。ラドンニャさんは独り身にゃのに。でもニャニャキといると嬉しくてたまらにゃくて止まらにゃいにゃ。ラドンニャさんは独り身だけど。この島に来たときはニャニャキと2人だけでしたしここは幽霊屋敷みたいで怖かったですにゃ。だからニャニャキが傍にいてくれたのがいつも以上に嬉しかったんですにゃ。ラドンニャさんは独り身だから分からにゃいかもしれにゃいけど」

「ナ……ナティ…さん?」


 ナティは一気に話す。

 独り身であることを妙に強調しながら。

 ラドンナはその様子に顔を引きつらせている。

 周りも固まっている。

 ニナだけが「あ~あ」という顔をしている。


「けどラドンニャさん。好きにゃ人と一緒にいて楽しくにゃってはダメですかにゃ?嬉しくにゃってはダメですかにゃ?怖かった時に頼ってはダメですかにゃ?私は楽しくいたいですにゃ。嬉しくにゃりたいですにゃ。頼りたいですにゃ」

「わ……分かったよ。私が悪かったよ」


 ラドンナは顔を青くしてナティから目を逸らす。

 しかし、


「ラドンニャさん。まだおはにゃし中ですにゃ。眼を合わせるですにゃ」


 ナティがラドンナの膝の上に立って目の前に移動し、無理矢理に顔を合わせる。

 ラドンナはナティの顔を見てしまう。


「(^ↀ ω ↀ^)」


 獲物を狙う目をしていた。

 ラドンナはナティから顔を逸らすと、頬にナティの手が置かれて無理矢理に前を向かせる


「(^ↀ ω ↀ^)」


 まだ狙われていた。

 気のせいか徐々に両手に力が入ってきており、爪も伸びてきて頬に刺さってきている気がする。

 ラドンナは目尻に涙が溜まってきた。 



「だからやめたほうがいいって言ったのに……」

「ナティもキレたら、ああなるのか」 

「ああなったら、逆に止めてやらないのよねぇ」

「本当に似た者同士、なのだな。……ナナキと一緒に怒らせない様にしよう」


 ニナとオグマが呆れたように話している。


 僕は見なかったことにして卵を撫でている。

 怒りながらも惚気てくれたナティがちょっと可愛くて嬉しかったりしている僕だった。

 


 こうしてメンバー内で、『猫夫婦は怒らせてはいけない』という暗黙のルールが出来上がった。


 ナティは正気に戻った後、ベッドに包まって出てこなくなる事態になったが僕とニナが説得して、僕の背中に張り付いた状態で移動を開始した。

 

 ラドンナは両頬に爪痕が大きく残っており、目が死んでいたが誰も話しかけることなく、そっとされていた。



ありがとうございました。


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