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#27 トンテンカンとサバイバル

気づけば5万PVを超えてました!

ありがとうございます!


よろしくお願いします。


 カン!カン!カン!キン!カン!


 鉄を打つ音が響く。

 しかし、その音にはバラつきがある。


「叩くところがずれてるよ!まだ始めて10分だよ!この程度でずれるなら、諦めちまいな!」

「にゃ!にゃ!にゃ!にゃ!にゃあ!」


 怒号が飛ぶ。

 鉄を叩く音すらもかき消す。

 それに答えているのがナティである。


 ここは鍛冶屋【婦窟(ふくつ)】。

 商業ギルドに紹介されたナティの修行場である。

 ここの親方を始めとする鍛冶師は、全員が女性。しかもエルフである。

 

 親方はフォンフォという赤髪短髪のエルフだ。

 筋肉はエルフにしてはあるが、それでもヒューマンの男性と比べたら同等以下である。


「もっと魔力を腕に回しな!あんたはただでさえ、あたしらよりも筋力は低い!けど、魔力はあたしらより多い!その無駄な魔力を全部使いな!」

「にゃあ!にゃあ!にゃあ!にゃあ!にゃあ!!」


 ナティは言われるがままに、全力で魔力を回し、全力で槌を振るう。

 汗が止まらない。

 それに気づく余裕は無い。


「今日はここまでかね」

「はぁ。はぁ。はぁ」


 ナティは座り込んでいる。

 フォンフォはタオルを投げつけながら話す。


「ま、始めて一週間にしてはまぁまぁだね。でも、まだ駆け出しでもないよ」 


 その言葉にナティは頷く。疲れ切っているが眼には力がある。

 フォンフォはそれを見て笑う。


「はっはっはっはっ!!いいねぇ!その眼は嫌いじゃあないよ。旦那のためにも頑張りな」


 ナティは顔を赤らめる。

 フォンフォはニヤニヤと笑う。


「若いねぇ」




「ニャティ。お疲れ様にゃ~」


 ナティが汗を拭い、着替えを済ました頃にナナキが迎えに来る。

 ナティはナナキの声を聴いて、笑顔になる。

 それをフォンフォがニヤニヤと見ていることに気づいて、恥ずかしがるもナナキの元に向かう。


「ありがとうにゃ。ニャニャキ」

「にゃ~」


 ナナキも笑顔で迎える。

 2人はフォンフォに礼を言い、街に出る。



 僕達は手を繋いで、街を歩く。

 住人はそれを温かく見守る。

 襲撃の傷跡はいまだ残るが、それを癒してくれるような気持ちになる。

 

「あら。ナナキ様ではありませんか」

「白蓮さん」


 歩いていたら白蓮さんと会った。


「ふふふ。本日もお迎えですか?ナティ様は幸せ者ですわね」

「はいにゃ」


 白蓮の言葉に、ナティは笑顔で頷く。

 うん。かわゆい。

 白蓮も依頼を終えて、宿へ戻るとのことなので一緒に向かう。


「そういえば、土曜日のアップデートとイベントはご存知ですか?」

「はいにゃ。サバイバルですにゃね」 


 今週の土曜日にアップデートが行われ、イベントが開催される。

 初めてのイベントだ。

 内容は定番のサバイバルイベントだ。

 今回は街ごとに特別エリアを作り、そこで宝探しや魔獣退治を行い、競うものだ。

 詳しい内容は参加しないと分からない。

 もちろん【眠猫庵】の面々も参加する予定だった。

 楽しみだよね!


「よかったですわ。やっぱりみんなで楽しいみたいですので」

「まぁ、順位とかあるみたいですが、流石に厳しいですにゃ」

「今回はあくまでクランの交流会でよろしいかと」


 白蓮さんもトップを目指しているわけではないようだ。


 歩いていると、工事をしている建物が多くある。

 中には、冒険者が先導している建物も見られる。

 すごいなぁ。どんどん風景が変わっていく。


「クランホーム買える人達って多いんですにゃあ」

「そうですわね」


 僕は少し前に話したことを思い出す。


_________________________________________

 クランを作って、数日後に宿で皆が集まっていた。


「クランホームですかにゃ?」

「そうだ」


 ディノさんが僕達に話を始める。

 

「絶対ではないけどな。けど、何かあるたびに集まる場所がないのも困るだろ?この宿だって、全員が泊まれるわけじゃねぇし」

「さすがにそれは困るわねん」


 ディノさんの懸念をナラルスさんが後押しする。

 まぁ、確かにここを会議室にするのは無理だよね。

 白蓮さんが疑問を呈する。


「しかし、クランホームは高いのでは?」

「そうなんだよなぁ」


 ディノさんが眉を顰める。

 そこに蘭羅さんが口を開く。


「規模、というかどういうものを作るかによる」

「どういう意味だい?」


 ラドンナが聞く。


「普通のクランホームではメンバーの宿を兼ねる」

「そうですわね」

「だったら、宿なんて作らなければいい」

「つまり、集会所だけ作るということじゃな?」


 アガタさんの言葉に蘭羅が頷く。

 ディノさん達がその提案に考える。

 なるほど。それもありだな。


「集会所だけか。確かにそうすると安くはなるか」

「けど、それだとせっかくのクランが台無しじゃない?別に常に全員で行動しなくてもいいっていうのが信条だとしてもさ」


 ファナさんが不満を言う。

 それも確かに。

 それには全員が同意する。


「じゃあ、きちんとしたホームを作るとしてだ。どういうホームにする?ってとこだな」


 全員が頷く。


「名前に合うものにしたいね」

「だったら、ほぼ間違いなく食堂になる」


 ニュウさんが言う。


「食堂か。悪くはねぇが」

「ここに料理人もおらんのぅ」


 アガタさんが問題点を挙げる。

 料理人か。欲しいよね。


「ま、食堂をするかどうかはともかく、それを基本構想に建てるでいいんじゃないかい?出来てすぐに始める必要もないだろう」


 ラドンナが言う。


「じゃ、しばらくは資金集めをメインとして、暇があれば料理人を探すか」

___________________________________


「けど、まさかあんにゃに高いとは」

「そうですわねぇ。土地も合わせてとなると2Mエンですものねぇ」


 ちなみに僕の所持金は20000エン程だ。

 頑張って、魔獣退治をしてこの額だ。

 装備の修繕も金がかかるため、中々一定額から貯まらない。


「まぁ、きにゃがにやりますにゃ」

「ですわね」




 そして土曜日。

 アップデートも終わり、ログインしてイベントまで待機する。

 イベント参加は運営にメールすればいいだけだ。

 その後はパーティーを組んで待つ。

 僕達のパーティーは、ナティ・ニナ・ラドンナ・オグマ・チルッチだ。


「そろそろだね」

「楽しみですにゃ」


 ナティもワクワクしている。

 ナティとキャンプできるなんて嬉しいね!

 すると、


『ただいまよりサバイバル・イベントを開始します。転送を開始します』


 ログが流れると、周りの景色が歪む。

 ちょっと気持ち悪い。

 そして気づくと、森の中にいた。


「にゃあ、ここがイベント用のフィールドかにゃ」

「そうだな。森の他に山、湖、荒野、海があるみたいだ」

 

 オグマがマップを見て答える。

 結構広そうだな。

 するとナティが気づく。


「はにゃ?ディノさん達がいませんにゃ」


 え!?

 さっきまで一緒にいたディノさん達がいなかった。

 コールしてみるも、コールが繋がらなかった。


「どういうことなんだろうね」


 すると、


『ようこそ。不思議な孤島へ。ここでは皆様にこれから6日間過ごしていただきます』


『この島ではパーティーを基準に活動していただきます。そのため、パーティー単位で各地に転送しています。現在、コール機能はパーティー内のみで可能です。他の方とのコールは島内で実際にお会いして、登録していただく必要があります』


『この島内で死に戻りした場合、島内のあるエリアにて幽閉。他のプレイヤーが助けに来るまで復帰は出来ませんので、ご注意ください』


『それでは、良き冒険を!』


 インフォメーションが終わる。


「クランでの戦力差を少しでも埋めるためのものか」

「だねぇ。さて、どうしようか」


 ラドンナが方針を考える。

 いきなり予定が狂ってしまった。


「まずは周りを探索して、ここにキャンプを作るにゃ」

「そうだな。食料も何があるか分からんし、魔獣もレベルを把握したい」


 僕とオグマの提案に全員が同意する。


 とりあえず、全員で行動を開始する。

 鑑定をしていくと、意外と毒が含まれている果物が多かった。

 魔獣もそこまで強くなく、肉も簡単に手に入った。

 料理人はいないけどね!

 ただの串焼きしか出来ません!


 ある程度、食料も集まり、2時間ほど探索を続けていると。


「洞窟ですにゃ」

「そうね」


 目の前には洞窟があった。

 どうやらダンジョンのようだ。


「どうする?昼時だから時間はあるよ」

「ここでイーティングして、ゴーすればいいと思うデス!」


 とりあえず、果物を食べて、腹を膨らませる。

 肉も簡単に焼いて食べる。


「………味気ないね」

「料理人は意外と必須だねぇ」


 塩を振って食べるも、微妙な味だった。



 洞窟内は、定番のダンジョンだった。

 歩いていると出てきたのはコボルトだった。


「【爪技《閃》】!」


 僕の爪がコボルトを切り裂く。


「【スナイプ・シュート】」

「『ピポパポ』【ファイヤー・ショット】」


 ラドンナとチルッチが、矢と魔法で攻撃する。


 チルッチは【電子音詠唱】というスキルがあり、短い電子音で詠唱の代わりとなるものだ。

 その代わり、絶対に無詠唱で魔法が使えなくなるデメリットもある。


 何回かコボルトの襲撃を返り討ちにしていくと、終点にたどり着いた。


「もう着いたのかい?ボスもいないのに?」


 ラドンナは首を傾げる。

 僕達も周辺を見渡すも、特に怪しいところはない。


「つまり、ここはただのコボルトの巣だった?」


 ニナが結論を出す。


「みたいだにゃ」


 ナティも同意する。

 ……つまらん。


 壁などを調べても結局何も出ず、僕達は引き返すことになった。


 コボルトの巣を出て、再び探索を続ける。

 果物や弱い魔獣の肉を集めていくと、あるものに出会う。


「子馬?」


 そこにいたのは子馬だった。

 黒い毛並みをしている。

 馬は僕達を警戒しているが、攻撃してくる気配はない。


「ノンアクティブみたいだね」

「まぁ、食料もあるし無理しなくていいんじゃないかい?」


 僕達は子馬を見逃し、その場を去る。

 子馬はしばらく僕達をじっと見ていた。


 僕達は最初の場所に戻り、キャンプの準備をした。


「掲示板すら見れないとは。徹底しているな」


 オグマはウィンドウを開いてボヤく。

 どうやらイベントに関する掲示板は使えないようだった。


「明日はどうしますにゃ?」

「そうだねぇ。山の方でも目指すかい?」

「鉱石探したいデス!」


 ラドンナの提案にチルッチが希望を述べる。


「じゃあ、山に行きますにゃ」 


 僕達は食事をする。


「やっぱり、料理人は意外と需要あるねぇ。今後、他の連中も探すだろうね」

「ですにゃあ」

「トゥモローはマウンテンを目指しながら、クックがいるパーティーをシークするデス?」

「「「そうしよう」」」


 全員の気持ちは、一つになった。

 食事は大事、絶対。


 

今回は主人公目線でのみお送りします。


ありがとうございました。


新しい小説が書きたくなりますな。

まったく余裕ないですが(笑)

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