変態少女
「んっ…」
眼を開くと見たことない光景。
あれ…、俺確か…。
あぁ、ストーカーにつれていかれたんだ。
「あの野郎…」
俺はチッ、と舌打ちをして部屋を見渡した。
意外に普通の家だった。キッチンやテレビ、ソファー、机、椅子…。なんか、友達ん家に泊まったときの感覚だ。
「由香里~、起きてる~?」
少しばかり低い声が聞こえる。
「ハーイ、ママ!」
女性特有の高い声が俺の耳に響いた。
しかも、すぐ隣から…
「おま…誰だよ」
俺は少し距離をおいて''由香里''と呼ばれた少女を思い切り睨み付けた。ふわっとした焦げ茶の長い髪、白くて雪のような肌、ぱっちりとした瞳に桃色の唇―――…
世間一般ではコレを''可愛い''というのだろうが今の俺には恐怖の対象でしかない。
「私?
昨日、キミのあとをつけてたストーカーだよ」
やっぱりコイツだったのか。
俺は先程まで寝ていた白いソファーに顔を埋めた。
「私は山仲由香里。中学二年生」
そして彼女、由香里はにこっと笑った。
って…俺よりも年下!?
「さっきのは私のママよ。驚かせちゃったかな…?」
驚いたもなにも、気味が悪い。最近の中学生って怖いな。
「あ、ちなみにここは私の家。これから竜貴くんにはここに住んでもらうから」
「ふ、ふざけんなっ!!誰の許可とってンなことやってるんだよ!!」
そう叫んで訴えれば由香里はふふっと微笑んだ。
「許可?好きなひとを監禁するのに許可なんているのかしら?」
「ってめえ…!」
「あなたはこの家に監禁されたの。この私に、ね?そのことをよーく頭に刻み込んどきなさい」
有り得ない、有り得ない。
なんでわざわざ監禁場所を自分の家にしたんだ。親だっているのに。
それを聞けば由香里は「親はあなたを私の彼氏だと思ってるわ」 そう答えた。ふざけてる。
「おい、ガキ。今この家から出してくれんなら警察には言わねーし、親にも言わねえ。」
「……なぁに?それで主導権を握ったつもり?
残念ながら今捕まってるあんたには警察に言うこともできない。ましてや親なんかはそんな話信じるわけないでしょ。彼氏を監禁、なんてねえ。」
「…………狂ってんだろ。」
見た目は可愛い可愛い中学生。学校ではさぞかしモテるだろう。だが中身は悪魔…そう、悪魔の様な……。
「ふふっ…いい?
あなたは絶対私を好きになる…分かったかしら」
「…ははっ……残念ながらガキなんか好きになんねぇよ」
「ふぅん…まぁいいわ。これからよろしく。私のことは由香里ってよんで」
「……嫌だね。監禁なんてまっぴらごめんだ。」
「…………あらそう。でも、逃がすわけにはいかないの。逃げられるもんなら、逃げてみなさい。」
そう言って由香里は螺旋階段を登って二階に行ってしまった。「逃げられるもんなら、逃げてみなさい。」?上等だ。俺はソファーから身体を起こして逃げる策を考えはじめた。
「|(そういや、何で手枷とかなかったんだろ…)」