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プロローグ

 アクセスありがとうございます。

 とびっきり素敵なものを作ろう、と思った。

 きっとあいつを幸せにするのだ、と思った。それができるのは、きっと自分だけなのだから。

 いつか世界で一番美しいものは何かと問われて、かつて生きていた彼の母親は、その回答に酷く困っていたように思う。困ってはいたが、誤魔化すことはせず、あくまでも真剣に考えてくれる母が、彼は好きだった。

 『花火、かな』

 母は確か、そう答えてくれたように思う。それから母は、頬を赤らめながら、今では知り合いの名前を呆然と羅列することしかしなくなった旦那との馴れ初めを語ってくれた。その時の記憶があるから、彼は父親のことを一度として殴ったことがない。

 『ひまわりの花火って、あるのかな?』

 あいつは確かその時、そう言っていた。

 ある訳ないじゃん、と母親はそう言って笑っていた。あいつは花を含めて、この世に存在することごとくのものを好きである。けれど、その名称を知っているひまわりだけは、そんな彼女にも特別な花だった。

 そんな訳で、彼はひまわりの花火を作ることに決めた。

 作り始めたのが五月の頭で、様々な試行錯誤をして出来上がったのが九月である。その間中、学校には月に十回もいかなかったけれど、父親はとんちんかんだったし、母親はもういなかったので、それを咎める者は彼の嫌いな教師しかいなかった。

 そして彼は、ひまわりの花火を打ち上げた。

 ひまわりの造花の傍で、家の庭から。黒い屋根を飛び越して空中で破裂した花火は、もしかしたらひまわりに見えなくもなかったかもしれない。

 彼はすぐに、二階の彼女の部屋に飛び込んだ。

 九月なのに偉く肌寒い部屋で震える彼女は、感動と興奮をちりばめた表情で、今の何、と言った。

 『ひまわりの花火だよ。お兄ちゃんが作ったんだ』

 彼が言うと、すごいね、と彼女は答えた。

 『良いか。お母さんは死んで、お父さんはもうダメだ。おまえを幸せにするのは、僕だ。だからおまえは、僕の言うことだけを聞いて、良い子でいるんだよ』

 分かった、と彼女は言った。

 良い子にしてたら、またあれを見せてくれる? と彼女は尋ねた。

 『もちろんさ』

 彼は答えた。彼が、小学五年生の頃の話である。

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