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第70話 南の大森林
王都を出て。
俺たちは南へ向かった。
深い森。
木々は空を覆い。
昼間でも暗い。
「……静かすぎる」
エリシアが言った。
「確かに」
俺も違和感を覚えていた。
魔物が一匹もいない。
「これは――」
アリシアが立ち止まる。
「何?」
「魔物が逃げている」
「何から?」
答えは。
すぐに分かった。
――ドン。
地面が揺れる。
木々が倒れる。
そして。
森の奥から。
巨大な白い狼が現れた。
「魔物……?」
リーゼが杖を構える。
だが。
アクアが震えた。
「違う」
「え?」
「この子、怖がってる」
白狼は。
俺たちを襲わなかった。
ただ。
森の奥を見る。
「案内してる?」
俺が聞く。
白狼は頷いたように見えた。
「行ってみよう」
森を進む。
やがて。
巨大な湖に出た。
湖の中央。
水面に。
巨大な神殿が沈んでいた。
「……水の中?」
リーゼが目を輝かせる。
「すごい……!」
俺は鑑定する。
【第三封印】
【状態:破損】
【危険度:測定不能】
「破損してる……?」
その瞬間。
湖の底から。
巨大な影が浮かび上がった。
「何……?」
水面が割れる。
巨大な蛇。
だが。
その頭には。
一本の角があった。
そして。
その目は。
真っ赤に染まっていた。
「――敵だ」
俺は神剣を抜いた。




