第32話 第五魔将グレイガス
「第五魔将……」
エリシアが小さく呟いた。
グレイガス。
巨大な赤い鎧を身にまとい、片手には大剣。
その身体から放たれる魔力は、先ほどのヴァルガスとはまた違う。
重い。
まるで山そのものが敵になったような圧力だ。
「レオン」
リーゼが俺の隣に立つ。
「こいつ……強い」
「うん」
俺も頷く。
鑑定を使う。
――――――――――
【グレイガス】
種族:上位魔族
称号:第五魔将・紅蓮将
危険度:SSS
魔力:1,850,000
能力:炎魔剣、超再生、身体強化、魔力障壁
――――――――――
「ヴァルガスより魔力は上か」
「……!」
エリシアが驚く。
「それほどの魔力を……」
グレイガスが大剣を肩に担ぐ。
「どうした?」
「怖くなったか?」
「いや」
俺は神剣を構えた。
「ちょっと楽しみになってきた」
「……!」
グレイガスの顔が歪む。
「貴様……」
その瞬間。
グレイガスが消えた。
――ドォン!!
地面が爆発する。
目の前に現れた大剣。
俺はアストラで受け止める。
――ガキィィィン!!
凄まじい衝撃。
「レオン!」
「大丈夫!」
俺は剣を押し返した。
「……なるほど」
グレイガスが笑う。
「この力……」
「面白い」
互いに距離を取る。
そして。
グレイガスが大剣を振り上げた。
「――《紅蓮爆斬》!!」
巨大な炎の斬撃が飛んでくる。
俺は神剣を横に構える。
「アストラ」
刀身が輝く。
「――断絶」
一閃。
炎が消える。
「なっ……!」
グレイガスが目を見開いた。
俺は一歩踏み込む。
「次は俺の番」
神剣が振り下ろされる。
――ズガァァァン!!
グレイガスが吹き飛んだ。
山肌を削りながら、数百メートル飛んでいく。
だが。
「……はは」
グレイガスが立ち上がる。
「これほどとはな」
口元から血を流しながら笑う。
「――ますます欲しくなったぞ」
その視線は。
俺ではなく。
古代竜へ向けられていた。




