表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/6

01黒い毛玉

 私は青い瞳と銀色の髪をしている。そしてモフモフしたぬいぐるみが好きだ。でもモフモフした動物は嫌いだ。だって五歳児の私だって知っている、動物は糞や小便をして部屋を汚すのだ。だから私は動物は飼わないで過ごしていた。でも私の家は侯爵家で召喚獣を飼わなければならなかった。


「さぁ、召喚獣を決めに行きましょう」


 両親は嫌がる私をつれて召喚獣を売っている店に連れていった。そこにはいろいろな動物みたいな召喚獣がいた。モフモフした兎みたいなのもいたが私は知っていた。兎は糞を食べるので嫌いだった。いろんな召喚獣をすすめられて私は泣きそうになりながら一つ選ぶことになった。それは真っ黒な毛玉でモフモフしていた。抱き上げてみると抱き心地はよかったが、こいつも糞や小便で部屋を汚すのだろうと思うと気が重くなった。


「マリー・グレンチェ、召喚獣は決まった?」

「はい、お母さま。この黒い毛玉にします」


「マリー、他にも虎の子どもや綺麗な鳥がいただろう」

「お父さまいいです、この黒い毛玉にします」


 こうして私、マリーは黒い毛玉を抱いて帰った。糞や小便の世話は使用人に頼もうと思っていた。だから黒い毛玉を使用人に渡して盥で洗わせた。すると少し経って使用人の悲鳴が聞こえてきた。


「どうしたの?」

「お嬢様、蛇です!! この黒い毛玉は毛がぬけたら蛇になりました!!」


「ええ!?」

「どうされますか?」


 盥の中は黒い毛だらけで中から黒い蛇がにゅっと出てくるとすぐに私の足元にやってきた。私は蛇が怖くて動けなかった。すると蛇は私の足元からにゅるっと巻きついて右腕に腕輪のようにくっついた。


「お母さま、お父さま、助けて!!」


 私は両親がいる部屋へ駆け出していった。蛇は全くモフモフしていなくて、触られたところがひんやりと冷たかった。両親はそんな泣きそうな私を見て心配してくれた。


「まぁ、黒い毛玉が蛇だったの」

「でももう主従契約を結んでいるからな」

「どうしても破棄できませんか?」


「破棄するには、その蛇を殺さないと」

「マリーが嫌ならそうさせよう」

「…………いいです、私は蛇でも我慢します」


 私は蛇が大嫌いだったけれど、でも殺すのは可哀そうな気がした。だからトボトボと自分の部屋へ戻っていった。その間も蛇は私の右腕に巻き着いたままだった。


「蛇が気に入りそうな寝床を用意して」

「お嬢様、この鉄製の檻にいれましょうか」


「そうして頂戴、お前ほらこの檻に入るのよ」

「シャー!!」


 その蛇は私の右腕から離れず檻に入ろうとしなかった、使用人に引っ張って貰ったが彼女が蛇に噛まれそうになった。


「もう言うことを聞けないなんて悪い子!!」


 私が涙目でそう叫ぶとようやく蛇は檻の中へ入った。召喚獣として一応私を主として認識しているようだ。私は使用人に蛇の世話は頼むわと言ってお風呂に入って寝てしまった。


「シュー」

「どうしてお前がここにいるの!?」


 翌朝私が目覚めると蛇が私の右手に巻きついていた。蛇は細いから檻の隙間から出てきてしまったのだ。私はまた檻に戻そうとしたが、そうすると蛇はぎゅっと強く私の右腕に巻き着いた。私から離れたくないらしい。


「仕方ないわね、朝食を食べましょう」


 私は使用人に着替えさせてもらって家族で食べる朝食の席に出た。すると銀の髪と青い瞳のお兄さまのリセスにため息をつかれた。我が家は全員銀の髪と青い瞳をもっている。リセスはこう言った。


「召喚獣が蛇とはね、お前にはもっと可愛いものが似合うと思うな」

「お兄さまのように美しい鳥を選べば良かったわ」


「まぁ、一度契約したんだ。飽きるまで育ててみなさい、飽きれば殺せばいい」

「殺すのは可哀そうだわ、できるだけ我慢する」


 ちなみにお父さまの召喚獣は虎で、お母さまの召喚獣は美しい鳥だ。黒い毛玉なんて選ぶんじゃなかった私の心は後悔でいっぱいだった。ちなみに蛇だがねずみなんかを食べるのかと思っていたら、焼いた鶏肉などを使用人から貰って食べていた。そうしてその蛇は時々は私の右手から離れたが、基本的に私の体のどこかに巻きついていた。


「あーあ、お前が龍ならいいのに。それならお友達にみせても笑われないわ」

「シュー」


 蛇はあいかわらず冷たい体で私の体に巻き着いた。不満気な声をあげたがそれだけだった。実は召喚獣は上手く育てれば人化もできるようになる。お父さまとお母さまの召喚獣はそうだった。だから私も無理は承知でこう言った。


「龍にならなくてもいいから、人化くらい覚えて頂戴」

「…………分かった」


 その次の瞬間私はびっくりした、いきなり人の声が聞こえて私は誰かの腕の中にいた。そうして私を抱きしめている人をみると黒髪に黒い瞳の凄い美青年だった。


「あ、あなた。あの蛇!?」

「そうだ、この姿はお気に召さないか?」


「蛇の姿よりいいわ、びっくりしたけどその方がいいわ」

「それは良かった、ご主人様。俺を捨てないでくれよ」


 そこで私はその蛇に名前もつけてないことに気づいた。だから一生懸命に考えてフィンと名付けた。意味は闇という言葉だった、真っ黒だから闇とは安直だが五歳児なので仕方なかった。


「お前の名前はフィンにするわ」

「わかった、マリー。俺のご主人様」

お読みいただき、ありがとうございました。

ブクマ、評価、リアクションをお願いします。

★★★★★にしてくださると作者は喜びます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ