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第4話 「支配開始よ!」

ネークと蛇丸が買い出しへ行った翌日の朝。


外では、春の嵐が激しく吹き荒れていた。


窓ガラスを叩く雨音が、店内にも響いている。


「今日は雨ですね、店長」


蛇丸が窓の外を見ながら言った。


「そうねぇ……この天気じゃ、お客さんもあんまり来ないかしら」


和春はのんびりと答えながら、カウンターを拭いている。


店の窓際では、ネークが退屈そうに頬杖をついていた。


「はぁ……今日は暇ね」


その時だった。


ネークの頭に、ある考えが閃く。


(待って……?)


(今この店にいるのは、貧弱そうな蛇丸と、非力そうな和春……)


ネークの口元が、不敵に吊り上がった。


(ふふふ……今なら行けるわ!)


その様子を見た蛇丸が、嫌そうな顔をする。


「……何笑ってんだ?」


そして、ハッとした。


「……まさか、お前」


「ハーッハッハッハ!! そのまさかよ蛇丸!」


ネークは勢いよく立ち上がる。


「お前……ついに頭でもおかしくなったか?」


「違うわよ!!」


予想外すぎる返答に、ネークは思わずツッコんだ。


「改めて言うわ!」


ネークは大きく息を吸い込み――


店中に響く声で、高らかに宣言する。


「私は蛇族の王、ネーク!! この星を蛇の国にするため降臨した!!」


ビシッ!!


蛇丸へ指を突きつける。


「今日こそここを、第一支配下にしてやるわよ!!」


「やっぱり面倒なこと考えてたな!!」


ネークはニヤリと笑った。


「まずは蛇丸、貴様からよー!」


「何する気だ!?」


次の瞬間。


ネークの髪についていた三匹の蛇が、勢いよく飛び出した。


「うおっ!?」


蛇たちは蛇丸の体へ巻き付き、そのまま締め上げる。


「な、何すんだ……! くっ、苦しい……!」


「ふふふ! 今まで散々コキ使ったお返しよ!」


ネークは勝ち誇ったように笑う。


そして視線を、和春へ向けた。


「次はあんたよ!」


残った三匹の蛇が、一斉に和春へ襲いかかる。


「二人同時に絞首刑よー!!」


――次の瞬間だった。


「……へぇ」


和春の目が、すっと細くなる。


その直後。


シュッ!!


「え?」


恐ろしく速い手さばきで、和春は襲いかかった蛇の首元を掴んでいた。


一切の無駄がない動き。


まるで長年扱い慣れているかのような手際だった。


そのまま一歩。


和春がネークの懐へ入り込む。


「っ……!?」


ネークの背筋に、ぞわりと悪寒が走る。


さっきまで、のんびり笑っていた和春とは別人だった。


その目はまるで――猛禽類。


獲物を逃がさない捕食者の目だった。


「へぇ〜」


和春は掴んだ蛇をじっと見つめる。


蛇たちは小刻みに震えている。


「この子たち、意外と大人しいのね〜」


「な、なんで平然としてるのよ!?」


ネークが思わず叫ぶ。


普通の人間なら悲鳴を上げる。


逃げ惑う。


それが当然のはずだった。


だが、和春は違う。


むしろ少し楽しそうですらある。


蛇丸の締め付けが緩み、床へ崩れ落ちる。


「げほっ……!」


和春は首を傾げた。


「どうしたの? ネークちゃん。支配しないのかしら?」


「そ、そんな……人間のくせに……!」


ネークはわなわなと震える。


和春はにこっと笑った。


「ネークちゃん」


「な、なによ……」


「店の中で暴れるのは禁止よ?」


その瞬間。


ぐいっ。


「きゃっ!?」


和春はネークの額を指で軽く押した。


それだけ。


本当に、それだけだった。


なのにネークは、そのまま尻もちをつく。


「す、すみましぇんでした……」


恐怖のあまり、涙目になっていた。


完全に気圧されている。


蛇丸は咳き込みながら立ち上がった。


「げほっ……お前、本気で殺す気だったろ……」


「ち、違うわよ!」


ネークは慌てて立ち上がる。


「これは支配の第一歩で――」


「……ネークちゃん?」


和春が、にこりと微笑む。


だが目は笑っていない。


「こういうことは、もうしないでね?」


「はい!! 申し訳ありませんでした!!」


ネークは勢いよく頭を下げた。


誠心誠意の謝罪だった。


――数日後。


「……なんなのよ、この人間」


ネークは壊れた壁を直しながら、小さく呟く。


怖がらない。


慌てない。


しかも妙に頼りになる。


和春は振り返り、いつもの笑顔を見せた。


「ネークちゃん、そっちちゃんと押さえててね〜」


「わ、分かってるわよ!」


激しい戦闘で壊れた壁や床を、三人で修理していた。


「ふぅ……これで大丈夫かしら」


和春が満足そうに頷く。


蛇丸は疲れた顔で天井を見上げた。


「なんか朝からどっと疲れた……」


ネークは黙ったまま、和春を見つめていた。


そして、ぽつりと呟く。


「……和春よ」


「なぁに?」


「あんた、本当に人間?」


一瞬、静寂が流れる。


その後。


和春は楽しそうに笑った。


「どうかしらね〜?」


「怖っ」


蛇丸が即答した。


外ではまだ雨が降っている。


けれど店の中には、いつものように賑やかな空気が流れていた。


――こうして、最強の和春に出会ってしまった蛇の王の地球侵略は、


今日もまた、少し予定と違う方向へ進んでいくのだった。

ネークの地球支配日記を読んでいただきありがとうございます

遂にネークが支配開始!?だが意外な敵が...

次回はゴールデンウィークを満喫するネーク一体どうなるのか

応援・コメント励みになりますのでぜひよろしくお願いします

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