第67.5話「元凶の影を追って」
「いやぁ、あの子達本当におもしろいよ!」
ディンの陽気な声が時計台の上に響き渡る。
そこには、再び集結した神々の姿があった。
「ディン、あまり構ってやるな」
「いやぁ、ついからかっちゃうんだよね!」
「程々に」
軽いやり取りが続く中、彼女らの視線は遠くを見据えていた。
時計台の上――その場所からは、街全体が見渡せる。
一見平和そうな光景だが、神々の表情はどこか険しいものだった。
「あの子らは?」
「もう行ったよ!マキナを探しにね!」
ディンの返答に、場の空気が僅かに変わる。
緊張感が漂い始めたのは、次に発せられた言葉のせいだった。
「そうか。では我らもそろそろ動くとしよう」
「そうですね、全ての元凶を探しにいきましょうか」
ゼウスとアイリスは静かに立ち上がった。
その仕草には、決意の色が滲んでいる。
「君たちも行くんだね!……言っておくけど、アイツは君たちじゃ勝てないと思うよ?」
ディンの警告にゼウスは目を細めた。
「やってみないと分からんだろう」
「……」
「やったことがあるから言ってるんだよ。一度負けたろ?」
その言葉に、ゼウスは一瞬眉を潜める。
「……そうだったか?」
「ゼウス……君、マキナに持ってかれたね?」
オーディンの揶揄交じりの言葉に、ゼウスは僅かに首を傾げた。
「……やるなら私も行くよ。マキナは私の唯一の神友であり、昔の馴染みでもあるからね」
「勝手にしろ。ポセイドン、お前はどうする?」
「もちろんわたくしも行きます。……ここから先はポセイドンを名乗りましょう」
神々の間に短い沈黙が流れる。
それは、嵐の前の静けさを思わせた。
こうして三人の神は往く。
「さぁ、全ての元凶『エーシル』の討伐だぁ!あっははは」
その声が消えた瞬間、時計台の上には誰もいなくなった――。
そして神達は。




