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第19話 「発情期と甘い誘惑と」

部屋の薄暗い明かりの中、レイラが俺のベッドに潜り込んできた。


「ねぇ、レイラ……なにしてるの?」


すぐ横にいるレイラの顔が、ほんのり赤い。


「アスフィ……レイラ、体がアツいの」


「いや、そうじゃなくて、どうして僕のベッドに……?」


彼女の息遣いがいつもより少し荒い。なにかがおかしい。


「アスフィのせいなんだよ……」


――え? 俺のせい?わけが分からない。


まさか……。


頭の中で、ある可能性が閃いた。


もしやこれは――獣人特有の発情期!?


父さんから昔、聞いたことがある。

……子供になんて話をしているんだとは思ったが。

けど、そういう話をするってことは、それなりに重要な話だったんだろう。


「……レイラ、落ち着いて聞いて」


「なに?」


「自分のベッドに戻るんだ、いいね?」


「……いやだよ」


拒否された。


彼女の目が潤んでいて、俺をまっすぐに見つめてくる。

なんというか――本能的な危機を感じる。


「……僕はそろそろ我慢出来そうにないんだ。分かってよ。僕も男の子なんだ」


そう言ってみるが、レイラはますます距離を詰めてきた。


「レイラは今日十四歳になった……よ?」


……そういうことじゃないんだけど。


まずい、話が通じない。どうにかして、この状況を打開しなければ……!


「……いいの?」


レイラの声が、どこか甘く囁くように響く。


「アスフィはえっちだもんね……でも今日はいいよ」


許された。いや、違う、そうじゃない!


――けど、目の前にいるのは、俺がずっと大切に思ってきた幼馴染。


……少しぐらいなら、いいのか?


理性が揺らぐ。


触れたい。


いや、ずっと見ているだけだったものに、今なら――。


俺は意を決して、レイラの胸に手を伸ばした。


「……柔らかい」


指先が沈み込む。


「……あ」


レイラの喉から、甘く掠れた声が漏れる。


やばい。これは本当にまずい。


なのに、俺の手は止まらなかった。


「……服の中も……いい? レイラ」


どこか熱に浮かされたような問いかけに、レイラは少しの間沈黙した後――。


「いい……よ」


その小さな声が、俺の中の何かを決壊させる。


もう、どうにでもなれ。


俺はレイラの服の中へ手を差し入れた。指先が直接、柔らかく温かい感触に触れる――。


これは……やばい。やばすぎる。このまま進んだら――。


【あははは! 面白いな君は! 流石は――】


(流石は何だよ。言うなら最後まで言え!)


頭の奥に響く、謎の声。だが、そんなもの今はどうでもいい。


「レイラ……僕、もう!!」


――その瞬間だった。


バタンッ!!


「遊びに来たよ! アスフィ、レイ……ラ……」


突然、勢いよく扉が開いた。


そこに立っていたのは、満面の笑みを浮かべたエルザだった。


一瞬で、その笑顔が凍りついた。


……終わった。


俺は、レイラに馬乗りにされている。そして、俺の手はレイラの服の中に――。


……これ、完全にアウトなやつだよな?


「……えっとこれは違くてエルザ……」


必死に言い訳しようとするが、エルザの顔はみるみる赤く染まり、目が泳ぐ。


「……お、おお邪魔だったみたいですわね! ワタクシはこれで失礼致しますわ!!」


バタン!!


扉が閉まる音と同時に、エルザの足音が遠ざかる。


そして――。


「パパーーー!! アスフィとレイラがいやらしいことを――!!」


城中に響き渡る、エルザの叫び。


それはまさに、俺の社会的な死を告げる鐘だった。


「ちょっと待ってエルザ……!」


俺は布団を跳ね除け、すぐに追いかけようとした。


――が、その前に気づいた。


「……レイラ?」


さっきまで俺に覆いかぶさっていたはずのレイラが――。


「すぅ……すぅ……」


寝ている。


しかも俺の上に跨ったまま、まるで天使のような無邪気な顔で。


「この状況で寝る!? レイラ、起きて!!大変なんだ!!」


いくら揺さぶっても、彼女は幸せそうに寝息を立てている。


「……そんな状態でも寝れるんだね……ははは……はぁ」


完全に力が抜けた。


これは、もうどうしようもない。


観念して、レイラをお姫様抱っこし、そっと彼女のベッドへ運ぶ。

彼女の寝顔を見ながら、俺は深いため息をついた。


「……なんか思っていたのと違うんだよね」


そして――。


束の間の休日は、最悪の形で幕を閉じた。

ご覧いただきありがとうがざいます!いやらしいですわ!破廉恥ですわ〜!

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