なんかやべーヤツなのです
設定も積もれば物語となります。
今、私、水樹公園という所に森林浴をしにきているのですが……。
なんかやべーヤツに話しかけられました。
特徴としては白い肌に、白い髪で、真っ赤な瞳。終始ニコニコしていて、左腕が包帯グルグルで、帯刀している青年です。それと、強者のオーラ的なやつがハンパない。
「ここいらにヒトが落ちてきませんでしたか? ちょっと手が滑ってしまいましてぇ……」
「……えっと、あの、私、今来た所なので……」
いや、ヒトが落ちてくるってどういう状況ですか? と言うか、なんだかデジャブを感じます。
「そうですかぁ。うーん、この方角に吹っ飛んでいったと思うのですが……」
「そ、そういう事なので、私はこれで……」
「あぁ、ちょっと待ってくださぁい。しばらく動かないでいてくれませんか?」
なんですかなんですか!? 私はただ森林浴しに来ただけの女の子ですよ!? 冷たい感じの魔力が漏れてる刀を持ったやべーヤツとは一刻も早く離れたいのです!
そのやべーヤツは目を瞑って、しばらくすると凶悪な笑みを浮かべました。なにそれこわい。よく見たら服も立派な着物で浮世離れしてるし。気付いたら余計こわい。
「……魔力の秩序が乱されていますね。これはつまり、混沌の闇の落とし子である彼が近くにいる、という事です。僕の予想は正しかった様ですねぇ」
何言ってんのこのヒト。やべーです。
「えっと、あの、動いていいですか?」
「ああ、いいですよ。魔力の流れを見たかっただけなので」
あ、普通の笑顔だ。とっても爽やか。もしかしたら意外と普通のヒトなのかもしれません。…………やっぱりそれはないです。
「ご協力、ありがとうございました。それでは僕はこれでぇ」
真っ白でなんかやべーお兄さんが、やっと去っていく。実害はありませんでしたが、二度と会いたくないです。さっさとあっち行けと念を送りながらやべーヤツの背中を見ていると、彼の発した呟きが聞こえてきました。聞いてしまいました。
「……さて、あのペストマスクを見つけましょうかねぇ」
その言葉を合図に、木の陰から、なんか出てきました。
「そのペストマスクとは、コレの事か?」
出てきたのは、ペストマスク(大きなクチバシがついた顔全体を覆うマスク。丁度この前調べたのです)を持った、黒人の男です。黒いローブを被ってますが、暑くないのそれ?
「先ほどはすみませんねぇ。ついうっかりしてしまいまして」
「別に構わない。あれはただの不運な事故だ。凶星の元に生を受けた俺には避ける事のできない運命だったのだ」
……なんかあのペストマスク、見た事ある気がするんですけど。
「それにしても、よく無事でしたねぇ」
「いつも通り、実力で運命を正面からねじ伏せたからな」
ちょっとあのペストマスクを持ったヒトをよく見て見ましょう…………イケメンですね。
「相変わらず余裕がある感じですねぇ。……今回はその余裕をどこまで崩せるのでしょうか?」
「やはりそういう事だったか。この戦闘狂が」
って、あれ? なんかやべー事になってませんか?
「……勝負を始めましょう」
「良いだろう。何度でも圧倒的才能でねじ伏せてやる。この天才の俺がなぁ!!」
なにこれ。私、まだ居るんですけど。誰か助け……周りには私含めて三人しかヒトがいません。何度見回しても、いません。現実は無慈悲です。
逃げたいです。しかし足が動きません。なんで!? 動いて! 動け! 私の足ぃぃいい!!
あ、ダメです。動きません。逃げられません。ボスを目の前にしたゲームキャラクターってこんな感じなので……この表現、既視感ありますね。
「いきましょう。リカヴァイス!」
「己の力を見せてやれ。コウテツキュウビ!」
始まっちゃいました。リカヴァイスってなんですか。コウテツキュウビってなんですか。もう、どうにでもなれです。
設定を散りばめて、物語を味付けしていきましょう。




