第十六話
あの時俺は軍の拠点を目指して指定されたルートを通っていた。いや、通っていたはずだった。
だが、Mokaが異変に気付いた。
「あれ?おかしいな。『全地球測位システム』が正常機能してない」
「何だって?普通に考えてここの土壌表面は見る限りじゃ普通の土だぞ」
「原因を調査中… あっ、ここの地面の中に西条軍が磁石を埋め込んでる!」
「あそこに明かりが見える。拠点だろうからそこへ行こう」
俺は疲れているのに走った。だが、そこはさっき戦車で通った深い森。全長25mもある巨大戦車が難なく越えた崖があるのに俺は気が付かず落ちた。
「うわぁぁ!」
ドサ。
俺は完全に明かりを見失った。だから、少し辺りをさまよっていた。その時。
俺は森の中で、月光に反射して煌めく物を見た。
「何だろう…」
恐る恐る近づいていくと、それは宝石のペンダントで、俺と同い年くらいの女の子が付けていた。
可愛かった。子猫のようだ。うっかりナニかしてしまいそうな可愛さだ。
彼女は気絶しており、足や腕に傷があった。
俺は辺りを見回し、180度回転した方向に、拠点があるのを見つけた。
「気が引けるが… これで行こう」
俺は支給品の包帯を彼女の傷口に巻き、彼女に負担がかからないよう、お姫様抱っこで戻った。
そして時は前話の最後に戻る。
「真田よ、天使のお持ち帰りはいいんだが、ここにはもう空いてる病室が無いんだ」
俺は最初「へ?こんなに可愛くてもだめ?」とか喉から出かけたが
「だったら東京の病院でいいんじゃないですか?」
と言ってみた。だが、上官の反応は冷たかった。
「ダメだ。今東京の病院はただでさえ少ないっていうのに、負傷兵や寿命来そうなジジババであふれかえってるんだ。すまんな(真田め、羨ましいぞ)」
俺はその時いいことを思い付いた。
「だったら剣聖の孫娘の美百合さん(ちゃん)とこで」
さすがに隊長諦めて
「わかった。いいよ、それなら。でも我が国じゃ一夫多妻は禁止だぞ」
俺は東京へ向かう今日最後の負傷者搬送機に彼女を預け、キャンプを張った。当たり前だが。
さて次の日。俺はまた最前線で死体の山を作っていた。今日は朝の8時に出撃だったが、端末で軍の情報だけを配信する『日刊都宮軍』を読んだ。そこの一面には
[真田涼、初陣で早くも記録更新!][彼の舞った所には死体の山]とあって、
[この山の中心で彼は戦った]という説明付きで、死体山の写真があった。
なんだかんだで今日も俺は生き残り戦局は優勢、後は金沢城を落とせば勝ちというとこに来た。
軍は拠点の大移動を行うため、西条軍が城に退却した後の夜、集合をかけた。
俺は集合のため地面を気を付けながら明かりのある方向を目指していた。
昨日のような失敗はするまいと思っていたが、Mokaが
「あと15分で集合ですよ、急がないと」
そう言われて俺は地面を見ずに明かりを目指して走った。だが、森はそう簡単に通してはくれなかった。
俺は倒木につまずいてしまった。転んだ。
「うわぁ」
ドサ。
まるで方向感覚が無くなった俺は深い森をさまよった。
ふと、俺は光る物体を見た。拠点だと思った俺は一目散に走ったが、走る距離じゃなかった。
だって、光っていたのは美少女のブレスレットだったからな。




