第六話
二次元少女とのユルい生活が始まります。
画面の中に、カルテっぽい紙を持った少女が一人。
「ご主人様、本名は真田涼ですがカタいですよね。なんて呼べばいいですか?」
自室に帰る途中、AIがこんなことを言い出した。
「え?うーん、ああ」
何だっていいですよ。Mokaさん。
「そうだ!りょーちゃんでどうですか?ねえ?いいですね!りょーちゃん!」
「え?ああ、まあ」
マジか。りょーちゃんだと?この呼び方をされたのは、家族以外で初めてだ。
これからというもの、俺はコイツにりょーちゃんと呼ばれることになる。
ピロピロピロ…
[メールが来ました]という表示が出た後、送信元には[吾妻先生]とある。
先に登録してたらしい。本文には、
[明日の講習からは、二人で来てくださいね。]
二人。このAIとか。そういうことにしておこう。
さあ、電源切ってのんびりするか。と、思ったが。
ピンポンパンポーン。
《さあ、お待ちかねの筋トレタイムだ》
え、マジ?筋トレ?俺は科学部だったので、やった事が無い。しかもここは自室。
《まずは腹筋100回!》
2分経過。
《次!背筋100回!》
2分経過。
《次!腕立て100回!》
2分経過。
《最後!並行足100秒!》
2分経過。
《全員食堂!》
ハアハア… いきなり筋トレなんて殺す気だろ。
では、俺は食堂に行こう。一時間ほど経過させようかな。
NOW LOADING…
自室に戻った俺は手帳を開き、今後の予定を見てみた。
[21:00入浴 23:00就寝 05:00起床]
「はっ、早い」無理もないだろ?俺はいつも夜12時に寝て朝7時に起きている。
「ねえ、りょーちゃん、お願いがあるんだけどぉ」
Mokaが画面内でつぶやく。
「え?何だよ?まず、『りょーちゃん』は戦闘時だけにしてくれ」
「ごっ、ごめんなさい、ご主人様」
俺は、大富豪になったレベルの優越感に浸りながら
「で、何なの?お願いって?」
Mokaはすこしモジモジしてから
「あのっ、あたしの部屋を模様替えしてくださいっ」
「へ?」
画面をよく見ると、下の方に[Mokaの部屋]というコマンドがある。
とりあえずタッチしてみる。
ピロリン。
画面に出たのは、何代かのPCが置かれた地下室めいた部屋だった。
画面の上には[模様替えをする]とある。
何なんだ?これは美少女育成ゲームなのか?
もう一回タッチ。
ピロン。
「全体のテーマを、『地下室』から『和洋室』にして下さい」
Mokaの要望である。変えてやろう。もしここで変えなかったら、目をうるうるさせて
「なんで変えないんですかぁ?お願いですぅ」
とか言ってくるだろう。でもそれも一回見てみたいな。
「あぁ、全体のテーマは初期段階で入ってるこの2つ以外にも、昇進とかで手に入るみたいですよ」
「なにそれ?!やっぱオンラインゲーじゃん?」
では確認のため、横にあった[SHOP]をタッチする。
ピンポーン。コンビニだよね?この音?
あ、確かに商品の大半には[現段階では入手不可]とある。
しかし、その横には[入手可]の物があったが、[300円]とあった。
課金制?やっぱこれ、ネトゲだよな。
さ、もどって和洋室にしてやる。Mokaは
「ありがとうございますぅ!ちなみに他のコマンドも似たような感じです」
「ほかのコマンド?」
まさか着せ替えとかじゃないだろな。
「えーと着せ替え、模様替え、オンラインサービスができます」
「マジか!?」
俺は力が抜けてその場に倒れこんだ。
NOW LOADING…
余談だが、涼はMokaに「ご主人様」と呼ばれることにひどく優越感を感じたらしい。
そのため彼は後にMokaにメイド服を着せたという。
一か月後、涼を襲ったのは悪夢の健康診断だった。




