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第85話:支配された『象王の島』とフクロウの引き金!〜アナコンダ男爵の幹部がイキってきましたが、魔導銃の試し撃ちと『風の刃』で酒場ごと吹き飛ばしました〜

間近で見る『象王の島』は、まさに純粋な豪華絢爛そのものだった。


通りは白と灰色の大理石で舗装され、広場には巨大な象牙の彫像が飾られている。


だが、分厚い暗いリネンのマントに身を包んだレオン、ポール、アナベル、そしてサイラスの4人が市場へと足を踏み入れると、その空気は王国の威厳や平和とはかけ離れたものだった。



空気は重く、息が詰まるほどだった。


商品を売るために声を張り上げる商人もいなければ、通行人の笑い声も一切聞こえない。


あらゆる種族や体格の獣人(ビーストマン)の市民たちは皆、俯きながら歩き、背後へ神経質そうな視線を走らせていた。


荷車からリンゴが一つ落ちただけで、店主は銃声でも聞いたかのようにビクッと身をすくめる有様だ。



「みんなもこのピリピリした空気、感じる?」


アナベルがフードの下から囁き、赤い目で路地裏をスキャンした。


「全員が怯えきってるわ。中立王国で暮らす人々の反応じゃないわよ、これ」



「恐怖は、最近起きた暴力的な政権交代の優れた指標だ」


サイラスの金属音混じりのしゃがれ声が響いた。


魔導機関のフクロウ(マギテック・オウル)のサイバネティック・アイが回転し、群衆の姿勢を分析する。


「この島は明らかに、誰かに武力で制圧されているな」



「連中の政治的なゴタゴタなんざ、俺たちの知ったことじゃねえ」


レオンは言葉を遮り、鼻面を隠すようにフードのつばをさらに深く引き下げた。


「俺たちはただ、『境界の男爵(ボーダー・バロン)』どもの噂を集めて、トリトンが獲ってきた魚以外のモンを食いに来ただけだ。あの酒場へ行くぞ」



船長は『黄金の牙(ゴールデン・ファング)』という名の、大きくて豪華な酒場を指差した。


4人の海賊は店内へと滑り込み、暗い隅にある孤立したテーブルを選んだ。


山盛りのローストミートと黒ビールを注文し、周囲の会話に耳をそばだてる。


店内ですら客たちは押し殺したような小声でしか話さず、正面の扉を純粋な恐怖の目で見つめていた。



その理由を理解するのに、そう長く待つ必要はなかった。



酒場の両開きのスイングドアが、蝶番(ちょうつがい)が悲鳴を上げるほどの暴力的な勢いで蹴り開けられたのだ。


敷居の上に、細身で致死的な気配を放つ人影が現れた――コブラの獣人(コブラマン)だ。


薄緑と金の革鎧を身に纏い、その牙からは木の床に落ちるたびにジュウジュウと音を立てる毒液が滴り落ちていた。



ヘビは一人ではなかった。


その背後にはシミター(三日月刀)で武装した十数人の爬虫類のゴロツキたちが控えていたが、明らかに彼がリーダーだった。



「静まれ、クズども!」


コブラの獣人はシューッと息を吐き、床に唾を吐き捨てた。


そして店主――今にも気絶しそうなほどガタガタと震える年老いたアナグマの獣人(バジャーマン)――のカウンターに拳を叩きつけた。


「厨房を空にしろ! 食えるモンを全部出しやがれ、急げ! アナコンダ男爵がお腹を空かせていらっしゃるんだ。あのお方を待たせたら、てめえらの内臓を自分の喉に詰まらせてくださるぞ!」



その名前が出た瞬間、酒場は完全なパニックに陥った。


文句を言う者も、反抗しようとする勇敢な客も一人もいない。


椅子はひっくり返され、半分入ったままのジョッキは放置され、客たちはコブラの獣人の視界から逃れるためだけに互いを踏みつけ合いながら裏口や窓へと殺到した。


20秒も経たないうちに、酒場は完全に空っぽになった。



暗い隅のテーブルにいる者たちを、除いては。



レオン、ポール、アナベル、そしてサイラスの4人は、快適そうに座ったままだった。


ポールは拍子抜けするほどゆっくりとした動作で肉を切り分け、アナベルはビールをすすり、レオンはただ胸の前で腕を組んでいた。



4人はフードの下から無言の視線を交わした。


苦い皮肉に満ちたメッセージが、テレパシーのように彼らの間で共有される。


(俺たち、境界の男爵のど真ん中の裏庭に上陸しちまったのか?)



全員が床にひれ伏すか逃げ出すかしなかったことに苛立ち、コブラの獣人が振り返った。


黄色く縦に裂けた瞳が、何事もなかったかのように食事を続ける4人のフード姿にロックされる。



「おい、てめえら……」


ヘビはシューッと音を立て、くねるような威圧的な足取りでテーブルへと近づいてきた。


十数人のゴロツキたちが扇状に広がり、半円を描いて彼らを包囲する。


「耳が聞こえねえのか、それともただのバカか? アナコンダ男爵の幹部様が入ってきた時はな、床に這いつくばるか消え失せるのがルールだぜ」



レオンはビールのジョッキから顔を上げようとすらしなかった。



その徹底した敬意の欠如にブチ切れ、コブラの獣人が前へと飛び出した。


自分では電光石火だと思い込んでいる動きで湾曲した毒短剣を抜き放ち、テーブルの端に座っていたポールの喉元にその鋭い刃をピタリと突きつけた。



「そのマントの下に何を隠してやがる、あぁ?」


コブラは唸り、猫の毛皮に刃を強く押し当てた。


「フードを脱げ。てめえらのツラを見せな。俺の気が変わって、今ここでこいつの喉笛を掻き切る前にな」



フードの影の下で、ポールの黄色い瞳が冷たく捕食的な青い光を灯した。


新しく装備した【暴風のすね当て(グリーヴ・オブ・ザ・ハリケーン)】の周囲の空気が微かに唸りを上げ始め、テーブルの下の埃を舞い上げる。


レベル100の【精鋭戦士(エリート・ウォリアー)】である猫の獣人は筋肉一つ動かさなかったが、その鼻面には純粋な死刑宣告を孕んだ獰猛な笑みが浮かんでいた。


彼はただ、船長からの「半言」の合図を待っていたのだ。



その時、落ち着き払った計算通りの動きで、サイラスが介入した。


魔導機関のフクロウはゆっくりと両手――片方は羽毛、もう片方は重厚な鋼鉄の手――を上げ、自らのフードを後ろへと下ろした。


サイバネティック・アイが駆動音を立てて淡い蒼光を放ち、半分機械化した顔と鋼のプレート、そして頭蓋骨から首にかけて埋め込まれた銅のパイプを照らし出す。



「どうかご容赦ください、幹部様」


サイラスは穏やかで、巧妙に装われた服従の色を滲ませた金属声でしゃがれた声を出した。


「我々がこのマントを着ているのは、体の半分が機械(ロボット)だからなのです。金属のインプラントや醜い傷跡のせいで、このような荘厳な島の公共の場で姿を晒すことを深く恥じておりまして」



コブラの獣人はフクロウの鋼の顔を上から下まで値踏みした。


そして純粋な嫌悪に鼻面を歪め、わずかに後ずさった。



「胸糞悪い」


ヘビはシューッと息を吐き、再び床に唾を吐いた。


「目の毒だぜ。今すぐこの酒場から失せろ! それと次は、アナコンダ男爵に敬意を払うことを忘れるんじゃねえぞ」



コブラは縦長の瞳を細め、サディスティックで残忍な笑みで鱗を歪ませた。


「ああ、それと……こいつは敬意が足りなかった分のお仕置きだ」



なんの前触れもなく、爬虫類は腕を乱暴に動かした。


ただの気まぐれと楽しみのためだけに、冷血にもポールの喉を掻き切るつもりだった。



だが、彼には刃を1ミリ動かす時間すら与えられなかった。



カチャリ。



サイラスのマントの下から、冷たく紛れもない金属音が響いた。


それはフクロウが常に腰に提げている無骨な魔導銃器――かつてレオンと出会った日に、降伏の証として砂の上に落としたあの重火器と全く同じものだった。



抜くことすら、公然と狙いをつけることすらなく、サイラスは銃身を布の下に隠したまま引き金を引いた。



濃縮された蒼いエネルギーの脈動するビームが、耳をつんざく轟音と共に暗いマントを突き破った。


銃撃はゼロ距離からコブラの獣人の顔面に直撃した。


ヘビの頭部は、煙と血、そして魔導の火花の爆発の中で文字通り蒸発した。



幹部の首なし死体は一瞬だけグラリと揺れ、そのまま木の床へと重々しく崩れ落ちた。


毒短剣がカランと無害な音を立てて床に転がる。



酒場に落ちた沈黙は、絶対的なものだった。



サイラスは煙を上げるマントの下でゆっくりと腕を下ろした。


サイバネティック・アイが回転して現場に焦点を合わせる中、彼の口調には一切の感情がなかった。



「統計的に言えば」


魔導機関のフクロウは絶対的な冷徹さでコメントした。


「レベル100の【精鋭戦士】の喉を掻き切ろうと脅すなど、お前の人生で最も非論理的な決断だったな」



十数人の爬虫類のゴロツキたちが、呆然とした状態から我に返った。


自分たちの無敵で恐るべきボスが、足を引きずるフクロウによって一瞬で存在ごと消し去られたことを理解すると、彼らは純粋な激怒の咆哮を爆発させた。



「ボ、ボスが殺られた!」


そのうちの一人がシミターを振り上げて叫んだ。


「八つ裂きにしろ! アナコンダ男爵の部下に手を出してただで済むと思うなよ!」



しかし、彼らの殺気はまったく予想外の反応にぶつかって砕け散った。


レオン、ポール、アナベルの3人は、彼らを完全に無視していたのだ。



「うおおおっ!」


ポールはすぐ一歩先で牙を剥く十数人の爬虫類など気にも留めず、黄色い目を大きく見開いてテーブルに身を乗り出した。


「サイラス、一体どこにそんなハンドキャノンを隠し持ってたんだ!?」



「最高じゃない!」


アナベルも興奮してテーブルを両拳でバンバンと叩き、フクロウのマントの穴から立ち上る煙を見つめて赤い目を輝かせた。


「頭が一瞬で蒸発するの見た!? まばたき一つせずに撃ち抜いたわ! 私もあんな風に撃てるようになりたい!」



レオンは前足でフードを後ろへと押しやり、心底魅了された様子で32本の牙をすべて見せる笑顔を浮かべた。


「認めざるを得ねえな、羽毛野郎。そのボロいコートの下に、そんな火力を隠し持ってたとは知らなかったぜ」


海賊王は鼻先から数センチのところに振り上げられたシミターを無視してクスクスと笑った。


「マジで俺も一つ欲しいな。炎を撃ち出せるやつを作ってくれないか?」



サイラスはサイバネティック・メガネの位置を直し、学者のような態度で首を横に振った。


「現時点ではな、レオン。『永久の火山石』を使って炎を撃ち出す武器は、携帯するには巨大すぎるんだ。船の大砲とほぼ同じサイズになってしまう。今、小型化バージョンの設計に取り組んでいるところだが、熱コンデンサーに適した原材料が不足していてな」



アナコンダ男爵のゴロツキたちは困惑し、怒りで顔をどす黒く変色させながら視線を交わした。


彼らの武器が屈辱と怒りで震える。


「おい! 俺たちの話を聞いてんのかてめえら!?」


顔を真っ赤にした一人がシューッと叫んだ。


「生きたまま腹を掻っ捌いてやるぞ!」



ポールは魔導兵器の品評会を邪魔されたことにあからさまな苛立ちを見せ、鼻を鳴らした。


猫の獣人は無造作に立ち上がると、電光石火の動きでサーベルを抜き放った。



特定の敵を狙ったわけではなかった。ただ、その刃で軽く空気を薙いだだけだ。


新しく装備した【暴風のすね当て(グリーヴ・オブ・ザ・ハリケーン)】の効果が壊滅的な暴力をもって発動した。


超高圧縮された【風の刃(ウィンド・ブレード)】がサーベルから炸裂し、その密度と威力はあらゆる論理的限界を超えて倍増していた。



暴風が十数人のゴロツキたちに激突した。彼らは枯れ葉のように一掃された。


あまりにも凄まじい風圧が彼らを物理的に宙へと浮き上がらせ、全員を同時に酒場の壁へと叩きつけたのだ。


木と石は衝撃に耐えきれなかった。


耐力壁が外側へと爆発し、酒場全体を文字通り倒壊させながら、瓦礫と土埃の竜巻と共に爬虫類たちの体を外の通りへと吹き飛ばした。



レオンの目の前で青いインターフェースが光り輝き、聞き慣れたシステムの黄金のチャイムが鳴り響いた。



【 男爵の幹部部隊を討伐しました! 経験値を獲得! 】


【 海賊王レオンがレベル117に到達しました! 】



いつもの活力を与える生命エネルギーが船長の四肢へと流れ込み、彼の神格級のステータスを更新して新たなポイントを付与した。



レオンは立ち上がり、奇妙にも無傷のまま残った自分たちのテーブルの周囲に崩れ落ちた屋根の瓦礫や埃を振り払った。


彼は酒場の壁があった場所にぽっかりと開いた巨大な大穴を見た。


その向こうでは、何十人もの怯えきった通行人たちが、口をあんぐりと開けてこちらを凝視していた。



「さて」


レオンは平然とフードを被り直しながらコメントした。


「そろそろ、ずらかった方がいいかもしれねえな」



【 更新された船長ステータス 】

名前:レオン クラス:海賊王(パイレーツ・キング) | レベル:117 【 覇権(ヘゲモニー) 】

HP:1385 / 1385 (+5)

攻撃力 (ATK):1085 (+5)

防御力 (DEF):950 (+5)

速度 (SPD):1420 (+5)

運 (LUCK):200(最大上限、7つの海の指輪により倍増)

絆/シナジー (BOND):100(異常ステータス MAX)

支配 (DOM):100(異常ステータス MAX)

残りステータスポイント:170(レベルアップにより+10)

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今回の「廃ラードとカプサイシンの焦土トラップ」のように、リアルな化学・物理法則で悪党を一網打尽にする逆転劇がお好きな方にぜひ読んでいただきたい最新完結短編です!閉鎖された夜の校舎で、自らを生贄にして見捨てた親友2人と黒幕の殺人鬼を、調理室の「蒸気」と「180℃の油」で冷徹に仕留めるスリル満点の完全犯罪劇をぜひお楽しみください!

『ハロウィン後夜祭の閉鎖校舎で親友に生贄として蹴り飛ばされた『いじめられっ子』の僕、殺人鬼の正体を見抜いて調理室の蒸気と180℃の油で全員を『完全犯罪調理』する』

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