第34話:【運】200が起こす絶対的な海割れ!〜死の航路に突っ込んだら、俺の背後にだけ超巨大渦潮が発生して海軍艦隊を完全に置き去りにしました〜
夜の海の冷たい風が、【魔導海賊弩級戦艦】の黒い木の甲板に打ち付けていた。
魔導機関の巨大な煙突からは、星空に向けて絶え間なく濃い煙が吐き出されている。
その後方、霧に半ば飲み込まれながらも、海軍のフリゲート艦が執拗に彼らの航跡に食らいついていた。
舵輪のそばに立つレオンは、追跡してくる軍艦から視線を外し、二人の士官を手招きした。
「ポール、アナベル。こっちへ来い」
船長は胸の前で腕を組みながら命じた。
船のランタンの薄明かりに照らされ、ダークメタルの【野獣の指輪】と新調した【伝説の盾】が妖しく輝いている。
「あのフリゲート艦、俺たちを逃がす気はサラサラないようだな。海軍最高司令官の増援を呼ばれる前に、奴らを撒くための航路を決めなきゃならねえ」
ポールが近づき、樽の上に古い海図を素早く広げた。緊張で猫の尻尾が空気を叩いている。
「この先の航路にはいくつか選択肢があります、船長」
猫の獣人戦士は爪で地図を叩きながら説明を始めた。
「西にはもう一つ大きな港町がありますが、あなたの首に5万ゴールドもの懸賞金がかかっている今、そこに近づくのは考えられません。東には『影の島』がありますが、あそこは羅針盤が狂う呪われた場所で……」
「そして残るは、南へ向かう最後の航路」
アナベルが口を挟んだ。エメラルドの鱗に覆われた腕を組み、縦長の瞳孔を不安げに細めている。
「でも、あそこは危険すぎます。『巨人の島』です」
レオンは首を傾げ、犬の耳をピンと立てた。
「巨人、だと?」
「はい、船長。あそこは原始の世界の破片のような場所です。存在するすべての生き物が巨大で……私たちの船のモンスターたちが、まるで子犬のように見えてしまうほどのバケモノばかりなんです」
アナベルは身震いしながら説明した。
「ですが、本当の問題はモンスターだけではありません。あそこへ向かうこと自体が文字通り『自殺行為』なんです。一帯を荒らし回る急激な気候変動と、航路上にある巨大な渦潮。艦隊ごと一瞬で飲み込むほどの渦です。普通の船では、あの海を越えることは絶対にできません」
レオンは地図を見つめた。
そして、暗い地平線へと視線を移し、少女の言葉を反芻する。
その犬の鼻面が、ゆっくりと、傲慢で致死的な笑みに歪んでいく。
彼には『200』の運(LUCK)ポイントと、魂を燃料とするエンジンがある。不可能と言われる航路こそ、彼が求めていたものだった。
「選択の余地はあまりないな」
レオンは頭の三角帽子を直して宣言した。
「『巨人の島』へ向かって、奴らを撒くぞ」
ポールの黄色い目が大きく見開き、全身の毛が純粋なパニックで逆立った。
「正気ですか、船長! そんなことしたら俺たちまで――」
猫の海賊の言葉は途切れた。
ギシィィィッ!
巨大なガレオン船全体が鋭く傾き、木の板が悲鳴を上げた。同時に、魔導推進器が耳をつんざくような轟音と共に回転を上げる。
ポールとアナベルは勢いよく舵輪の方を振り向いた。
青い霜のオーラに包まれた霊体の副船長、アリック。
彼は会話の終わりを待つことすらしていなかった。リーダーの意図を察知した亡霊は、すでに強引に進路を変え、呪われた南の海へ一直線に船首を向けていたのだ。
レオンは喉の奥で笑い声を上げた。
「アリックがもう決めてくれたみたいだな。ついてこさせろ、奴らに『運(LUCK)200』を敵に回すってのがどういうことか教えてやる!」
魔導エンジンの轟音が増し、弩級戦艦を止まらない力で前へと押し出す。
しかし、穏やかな海と悪名高き南の航路を隔てる目に見えない境界線を越えた瞬間――世界全体が狂い始めた。
夜空は真っ黒な嵐の雲に飲み込まれた。
気温がほんの数分の一秒で急降下する。石のように巨大な雹と濃い雪を交えた暴力的な雨が、船の黒い木の甲板を叩きつけ始めた。
海は山脈のような液体の壁となって隆起し、巨大な船をまるでオモチャのように翻弄する。
その背後では、稲妻に切り裂かれた霧の中から、海軍の大型フリゲート艦が脅威的に姿を現し、危険なほど距離を詰めてきていた。
軍艦の魔法のサーチライトが暗闇を貫き、海賊ガレオン船の船尾を真っ直ぐに照らし出す。 彼らはすぐそこまで迫っていた。
「全員、甲板の下へ!」
レオンは凍りつくような暴風のうなり声に負けじと叫び、氷の甲板で滑りそうになったアナベルの腕を掴んだ。
「モンスターたちは重すぎる! 波に打たれたら海に落ちるぞ! 避難しろ!」
タイタンのような軍隊全体が、終末的な天候から逃れるために下の階層へと雪崩れ込んだ。
ただ一人を除いて。
全力を解放したアリックが、ただ一人舵輪の前に立っていた。
純粋な霜と霧でできた霊的な伝説である彼にとって、この致死的な嵐は文字通り「彼の自然な領域」だったのだ。
目の中で燃える青い炎が、獰猛な強さで輝いている。
非現実的なまでの落ち着きで、彼のエーテルの手は舵輪を握りしめ、巨大なガレオン船を殺人波の連続の中で見事に操縦していく。
船長室の丸窓から、レオン、ポール、アナベルは息を呑んでその光景を見守っていた。
背後では、執拗な海軍のフリゲート艦が波と格闘しながら、容赦なく距離を詰めてくる。
軍艦のサーチライトが海賊ガレオンの船尾を照らし、まさに砲撃を開始しようとしたその瞬間。
レオンの【運(LUCK)200】というステータスが、世界そのものを捻じ曲げる、その恐ろしく計り知れない力を見せつけた。
一切の前触れもなく、彼らの船のちょうど1メートル後ろで、海が真っ二つに割れたのだ。
たった一つの、タイタンのような巨大渦潮。
艦隊全体を飲み込むことができる旋回する水の深淵が、弩級戦艦がたった今通過したまさにその場所に形成された。
それは、彼らと追跡者の間に決して越えられない絶対的な亀裂を生み出した。
海軍の船で緊急サイレンが即座に鳴り響いた。
突然海が開いたことに完全に不意を突かれたフリゲート艦は、急ブレーキをかける。
兵士たちはその地獄の深淵に吸い込まれないよう、完全なパニック状態で錨を下ろし、エンジンを逆噴射させた。
彼らは渦の縁で無力に立ち止まるしかなかった。彼らの進路は完全に塞がれた。
しかし、悪名高き南の航路はまだ終わってはいなかった。
前方の海が沸騰し、一連の新たな巨大渦潮が弩級戦艦の進路に直接開き、レオンとクルーを深淵へ引きずり込もうと脅かしたのだ。
だが、アリックは1ミリも引かなかった。
【永久凍土のブレスレット】の極限の力を引き出し、霊体の副船長は自身のオーラを拡大させた。
純粋な氷河のエネルギーの衝撃波が彼の手から放たれ、前方の渦潮の「目」に直接命中する。
アリックは瞬時に、それらの渦の底と回転する縁を完全に凍結させた。
殺人海流は、巨大で完璧な「氷の滑り台」へと姿を変えたのだ。
魔導エンジンが咆哮する。
副船長が作り出した道を使い、そしてリーダーのバカげた【運】に守られながら、弩級戦艦は渦潮の凍りついた顎の上を流れるように、そして止まることなく滑走した。
超音速で危険をスケートのようにすり抜け、嵐の反対側で激怒する海軍を完全に置き去りにした。
何マイルも何マイルも進んだ後、降雪と稲妻は徐々に収まり始めた。
黒い雲が割れ、控えめな夜明けの最初の光に照らされた時――地平線に巨大なシルエットが浮かび上がった。
それは単なる島ではなかった。
街と同じくらい太い幹を持ち、その樹冠が文字通り雲海を突き抜けるほどの、タイタンのような樹木で形成された「真の大陸」だった。
レオンは重いオーク材の扉を押し開け、今は穏やかになった甲板に足を踏み出した。まだ呆然としているポールとアナベルがそれに続く。
船長はダークウッドの床にしっかりと足をつけ、腕を組み、下の階層から現れたクルーたちを見て、すべての牙を見せるほど巨大でドヤ顔の笑みを浮かべた。
「だから言っただろ」
レオンは巨大な原始の島に向けて両腕を広げて叫んだ。
「休む時間だ……5時間寝ろ。起きたら全員でレベル上げだ」
【 総合船員ステータス 】
最大容量:20 / 20 スロット使用
アリック (霊体の副船長) - レベル: 41
キング・トリトン 【進化ボス】 - レベル: 43
鉄茨のベヒーモス - レベル: 41
マストドン捕食キノコ (x2) - レベル: 41
悪魔のグール (デモニック・グール) 【進化】(x3) - レベル: 41
ポール (猫の獣人戦士) - レベル: 40
アナベル (リザードマンの暗殺者) - レベル: 40
影を刈る鴉 - レベル: 40
深淵のオーク (x3) - レベル: 40
巨大な双子ドワーフ (x2) - レベル: 40
アーマード・クラブ (x4) - レベル: 41
【 船長ステータス 】
名前: レオン | クラス: 海賊船長 | レベル: 41
HP: 550 / 550
攻撃力 (ATK): 285
防御力 (DEF): 315
素早さ (SPD): 350
運 (LUCK): 200 (ベース100、7つの海の指輪により倍増)
残りステータスポイント: 0
【 アクティブ・パッシブスキル 】
野生の疾走 (パッシブ): 永続的に素早さベースボーナス+100%。生きた稲妻のように動く。
犬の噛みつき (パッシブ): 永続的に噛みつきの威力と貫通力+100%。
無限跳躍 (パッシブ): 空中での無限跳躍 (飛行能力)。
船長の鼓動 (アクティブ): 全クルーのステータスを100%上昇させる。
不朽の肉体 (パッシブ): 毒、病気、状態異常に対する完全免疫。
必殺の射手 (パッシブ): 投擲武器の基本ダメージ+100%。
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