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獣人になったら脚力が世界最強でした。婚約破棄された勢いで好きな人の家まで飛んでしまいます  作者: かんあずき


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10/10

10 好きな人の家を壊し続けた結果幸せになりました

そこから毎月の恒例行事――


もう何度満月の夜を過ごしただろう?



「きたぞ!」


大砲が私に向かって打ち上がる。


「うわああああ!ごめんなさーーい!」


向かってくる大砲を蹴り上げ、大砲は――――



ドッカーーン!


ああ、王城の庭に大きな穴が……


「ああ、まさか大砲が飛んでくるなんて思わなかったの。城に打ち返すわけにはいかないから……ごめんなさ――い!」



そう叫びながら、くるくる回ったところをアレックスにキャッチされる。



「なかなか今日も派手な登場だね」



いつもの金髪碧眼のアレックスは楽しそうに笑うと、私をギュッと抱きしめる。



何でそんな楽しそうなのよ!



私は、今日も破壊してしまったアレックスとの思い出の庭を見て、涙目になる。


「アレックス!笑い事じゃないの!私の脚はとんでもなく強いのよ。どこまでも跳んでいくし、どこまでも色んなものを壊してしまうわ。しかも、繁殖期に入ってるの。獣人が王子を襲ったら、外交問題に発展してしまうわ」


「うん、父上も家臣たちも困ってた。さすがに修繕費がとんでもないことになってるって。しかも獣人の国は君のことを把握してないから、一方的な言いがかりだと一触即発の状況だね」


それなのに、どうして楽しそうに笑うの?


毎回、満月の夜に、こうやって会うたびに状況を説明していく。


「私の脚力は国を跨いで一っ飛びできてしまうの」


「月の雫という母から譲り受けたネックレスが、私の願いを強制的に叶えようとしてしまうの」


「私は、半獣人だから、獣人の国では認められないの」



会う度に、私に起きた変化を伝えていくが、アレックスはもう動じないとばかりに頷いて笑うだけだ。



「結局、僕は立場に負けて君を手放そうとしたけど、君以外好きにはなれないし、君以外と幸せになれるとは思えない」


「それじゃ困るわ。あなたの幸せを願ったのに、願いが叶わないわ。そして、満月の度に私はあなたにひきよせられて、あなたを襲いそうになるわ」


何度めかの満月の夜には、繁殖期のことも説明した。


そして、母の再婚先には、二人の獣人の狼がいて、そこで世話になっていることも……


さすがにアレックスの眉がぴくりと動いて、嫌悪感を出される。

ただ、私に対してというより、ガルフとマーカスに対してだ。


「子孫繁栄ねえ……僕は、君を戻すのは嫌だ。何かの間違いでどちらかと関係を持ちかねないじゃないか?うさぎは強いと言っても、強いのは脚だけだろう?相手は二人の狼なんだからね。しかも、君が襲う可能性もあるんだろう?」


「そう、今も理性を抑えているわ。このあとは海に飛び込んで頭を冷やすの。」


「もう、戻らないで。僕から、父上をもう一回説得する。ダメなら、二人で違う国を探そう」


アレックスは復縁を持ちかけられたが、何度も断った。


半獣人が受け入れられるわけがない。

しかも、毎月城を壊しにくる化け物なんて……




そして、今日もいつもと同じ会話が繰り広げられ始める。


「お願い、もう限界……」


少し息を吸うだけで、アレックスの首筋に噛みつこうとする私がいる。もはやドラキュラだわ。



「そっか。じゃあ既成事実をこれから作ろうか?」


ただ、なぜか今日はいつもとは展開が違う。

アレックスは、今日はベッドは壊れてないしねと笑いながら、飛び込んできた私をキャッチしてそのままベッドに運び込む。


そんな提案をさらりとして、更にベッドに私を横たわらせたアレックスに私は、何を言い出すのかと目を丸くする。


「父上と今日が最後の取引だった。国の総力を挙げても、君が僕のところに来続けるなら、これ以上王城に穴は空けたくないから君との結婚を許すってさ。むしろ、早く結婚してくれって」


「ええっ!」


私は、長いうさぎ耳をピンと立てる。


「で、でも、あなたは王子よ?国王様、私を許してくれるの?私は国外追放を受けた半獣人で、毎月城を壊し続けるうさぎなのよ」


「そ、半獣人で、獣人じゃないから国籍は、この国のままだ。いいじゃないか。獣人と人族の橋渡しになってくれればと思うよ。改めて、プロポーズだ。僕のお嫁さんになってくれないか?そうしないと、僕は幸せになれないから、満月の度に君を呼び出し続けるよ」


「アレックス……」


「子孫繁栄、短期決戦だっけ?かわいいうさぎ耳の子供をたくさん作ろう」


アレックスは、そう言って私に近づき、私は嬉し涙を浮かべて、アレックスに抱きつき、気づけばその首筋に……





「さすがうさぎだね。もう王子を仕留めたとは……」


擬人化したガルフとマーカスが、心配して損したといいながらも王城の私の元を訪ねて安心したような笑顔を見せる。


あれからもう飛び出すことも繁殖期を気にすることもない。



「さすがといわないでほしいわ。王族と獣人との結婚も異例だけど、デキ婚も異例なんですから」


私は恥ずかしそうに顔を赤らめた。


そこにアレックスがやって来る。


「この男たちは?君とはどういう関係?」


少し嫉妬したような、警戒するような色を見せる。


「私の父と兄よ。」


私は笑顔でアレックスに二人を紹介するのだった。


【完】





ざまぁ展開が普通だと思うのですが、つい言いすぎたり、別れてもやり直したいと思うことってありますよね。なので、お互い反省してやり直したいなら再構築でいいじゃんと思ってハッピーエンドにしてしまいました(>人<;)

マーカスとも考えましたが、今回はこのパターンでお許しくださいませ(o^^o)

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