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俺は全く平気じゃない


「で、今日は何するの? 昨日は結局、ハグまでだったけど」


 冷めたような声で俺は梨花にそう言いながらも、昨日より彼女と距離を詰められるのでは、と楽しみにしている自分がいる事を不思議に思わなかった。


 彼女とイチャイチャしたいと思うのは男として至極当然の反応だからだ。

 そして何より、梨花は可愛い。とにかく元気で明るくて、たまに抜けてて、でもそれが愛らしくて……うん、とにかく好き。


 少々、おバカなところがあってもきっと俺はこの子を好きなままなのだろうなぁ……と実感させられる。


 そんな事を考えていると、梨花はウキウキしながらスマホをいじり始めた。


「えっとね〜、今日ここに来るまでに調べてたのがね〜」

「あ、元よりイチャイチャする気で来てたのね」

「当たり前でしょ? 私は、とにかく大和とイチャイチャしたいの!」


 鼻息荒くして、爽やかでほんのり甘い香りを漂わせながら俺に気持ちをぶつける梨花。

 それほどまでに梨花は俺とイチャイチャしたいのだろう。

 正直、俺も彼女とイチャイチャしたくて仕方がない。

 のだが、彼女にはもう少し距離感というものを覚えて貰いたい。


 でなければ───

「わかったわかった。顔近いって……」

 危うく、事故でキスをしかねない。


「あっ……ごめん」

 そう言って、梨花は気持ち露わに近づけた顔を少しずつ俺の顔から遠ざけていく。

 それと同時にほんのり甘い香りも遠ざかっていき、少し寂しさを覚えた。


 これじゃあ、まるで俺が女の子の匂いで興奮する変態みたいじゃないか。

 違う、俺は至って健全な男だ。匂いなんかに惑わせれるな!梨花だけを見ろ!!


 そう自分に言い聞かせて、俺は梨花に言葉を投げかけた。

「いや、いいんだけどね……。もうちょっと、危機感をだな」

 と。


 しかし、彼女は即答で

「危機感? どうして?」

 と反応する。


 どうやら彼女は自分がいかに可愛い女の子だという事を自覚していないようだ。そしてそれが如何に危険だという事も。

 それをどう、梨花に伝えるか少し考えてから俺は口を開く。


「どうしても何も、梨花みたいな可愛い女の子に迫られたら誰だってドキッとしちゃうだろ? その時に知らない男に襲われでもしたら、大変だろ?」

「知らない男の人に襲われるのはヤダなぁ……」

「だろ? だから気をつけ───」

「でも大和は知らない男の人じゃないもん。だから平気!」

「何も平気じゃないから言ってるんだけどなぁ……」

「ん? 何が平気じゃないの?」

「いや、こっちの話」

「ふーん……?」


 うん、どうしましょう。この人、全く理解してくれていないよ。

 平気? 何をもって? なんの証拠があって平気? もしかして俺には男としての本能的な危険性は無いと思われる? それは俺の心が平気では無いんだけど?

 一応、俺だって男ですよ? 昨日、梨花と手を握ったりハグしたりキス未遂をするまでだって、何も考えてこなかったわけではないんですが?


 そんな事を頭の中で思い浮かべるも、言葉にする勇気は無くすぐにどうこう出来る事では無いような気もしたので、俺は言葉を飲み込んだ。


 とは言え、多少なりとも気をつける意識を身につけては欲しかったので

「とにかく、もうちょっと身だしなみとか距離感とか気をつけろよな、って事だよ」

 と、告げると

「なんかよく分かんないけど、分かった! あとで麻那に聞いてみる!」

 そう言って、梨花は元気に返事をする。


 そんな彼女を見て「やっぱり、梨花は梨花だな」と思いながら

「おう、是非そうしてくれ」

 危機感に関する話は終着した。




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