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なかたかなげーむ  作者: さわみずのあん


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6/8

あたまとりか?

 頭が、首が。

 飛んだとしても意識がある。

 少しの、間。だろうけれど。

 逆さまの視界。

 逆さまの世界。

 『奏音』と書かれた。

 首のない体が見える。

 私を殺した『佳奈』の背中。

 『中田』が。

 『田中』に。

 見えた。

 簡単なことだ。

 『田中』のゼッケン。

 逆さま。

 『中田』。

 【なかたかな→】

 繰り返される文字列。

 しりとり。でなく。

 あたまとり。

 ヒントはあった。

 薬物注射で良い。

 殺すなら。

 頭を取る必要がない。

 あたまとり。

 それがこの。

 なかたかな、げーむ。

 あっ。

 地。

 面。




 『奏音』さんが、逃げろと言った。

 私は部屋の隅から反対側の隅で。

 『奏音』さんの首が。

 飛んで。

 地面に。

 潰れた。

 『かな』に。

 見せないように。

 『香那』のゼッケンに。

 顔を埋めるように。

 優しく抱きしめた。

 『奏音』さんを殺した、『佳奈』は。

 モニターを見て。

 【29】 

 が表示された瞬間。

 また。

 殺戮を始めた。

 部屋の対角線。

 向こう側から。

 迫る死に。

 走馬灯。

 過去。




 INVITATION

 なかたかなのかい


 封筒を開けると招待状。


 拝啓 香那様 並びに皆様

 秋涼の候 ますますご清洋のことと

 …………


 確かに、私の名前は。よくある名前だ。

 学生時代にも。同じ名前が。

 いやあれは、一文字違い。

 なんであの忌々しい女を。

 思い出したんだろう。

 私の名前。

 田中香那。

 たなかかな。

 なかたかなじゃない。

 けれど、なかたかなは。

 私がなりたかった名前。

 招待状があるからには。

 参加しても。

 うん。

 ゼッケンを。

 『田中』を『中田』に。

 すれば。あっ。




 気づいてしまった。

 現実に引き戻される。

 なぜ、私が。

 たなかかなが。

 なかたかなのかいに呼ばれたのか。

 このゲーム。

 私が死ねば終わると思っていた。

 なかたかな→たなかかな。

 しりとりだと、思っていたけれど。

 そうか。

 あたまとりだと考えれば。

 なら、そんな。

 もし、あたまとりならば、「な」かたかなの「な」。

 その「な」を最後につけた、「た」なかか「な」。

 私の頭、「た」から始まる名前がいないので。

 ゲームは終わる。

 私の死で?

 いや違う。

 あたまとりでも、しりとりでも。

 ゲームが終わるのは、間違った言葉を言ったとき。

 なかたかな→たなかかな→なかたかな。

 これで、あたまとりゲームが終わる。

 私が死んで、ゲームが終わらなかったとき。

 次に死ぬのは。 

「ね」

 『かな』が私の胸の中で。

 私を見上げる。

「だいじょぶ?」

 さっきまで、泣いていた子じゃない。

 そんな子に。心配されるなん、


 ぼんっ。


 『佳奈』が、また一人。

 殺した。

 『かな』の耳をふさぐ。

 手の平の中に広がる暖かさ。


 ぼんっ。


 ぼんっ。


 『かな』を見る。


 ぼんっ。


 ぼんっ。


 『かな』を見つめる。


 ぼんっ。


 ぼんっ。


 私が死んで、この子が。

 生きるのなら。私は。


 死んだ後に『佳奈』を殺す。

 自分の頭をロケットにして。

 『佳奈』の首輪にぶつける。



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