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ノワールナイト  作者: Dai
第三章 壮絶決戦編

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第44夜 それぞれの戦い

――その頃。

とある監獄。

「デビルだな……」

「ああ……」

RAVEN隊長、黒羽零司は、デビルの牢屋の前に立っていた。

「ノワールナイトが復活したが……お前はどうする?」

黒羽は、牢屋の中を見つめる。

「ここから出してやろうか……?」

「ヒャハハ……断る」

デビルは、興味なさそうに答えた。

「気分が乗らねぇな……。お前がこの街を乗っ取るか、ノワールナイトに止められるか……面白おかしく見させてもらうぜ」

そして、不気味に笑った。

「俺様はノワールナイトに賭けるとしよう。ヒャハハハハハ……!」

「そうか……」

黒羽は興味を失ったように背を向けた。

「待てよ」

デビルの声に、黒羽が足を止める。

「俺様から、お前にアドバイスだ」

「……何だ?」

「お前たちのやっていることには、全く面白味のかけらも感じない……。もちろん、お前にもな……ヒャハハ……」

デビルは、鉄格子の向こうから黒羽を見つめた。

「悪事ってもんは、楽しんでやるもんだぜ?」

「ふん……。そうさせてもらうよ」

黒羽は、それだけ答えると、牢屋の前から立ち去っていった。

「狂った悪魔め……」

デビルは小さく呟いた。

そして――。

「ヒャハハハハハハハハハハハ……!」

その大きな笑い声が、監獄内に響き渡った。

――影都ドーム。

観客席の一部が爆破され、会場は混乱に包まれていた。

泣き叫ぶ者。

逃げ惑う者。

負傷した人々を助けようとする者。

警察官たちは必死に避難誘導を続けていた。

「皆さん、どうか落ち着いてください! 押さないで!」

しかし、人々の不安は収まらない。

その時、一台の黒いバイクがドームへと駆け込んできた。

ノワール。

運転していたのは、神崎隼人だった。

「神崎さん!」

警察官の一人が駆け寄る。

「状況は?」

「観客席の爆発で、負傷者が出ています! 避難させようにも、皆さんが混乱していて……!」

「分かった。スピーカーを貸してくれ」

神崎はスピーカーを受け取ると、群衆に向かって声を張り上げた。

「皆、聞いてくれ!」

ざわめきの中、神崎の声が響き渡る。

「ノワールナイトが復活した!」

その言葉に、人々の動きが止まった。

「今、ノワールナイトは我々のために戦ってくれている!」

「ノワールナイト……!」

「本当に復活したのか……?」

人々の間に、わずかな希望が広がった。

神崎は続けた。

「部下にバスを何台か、ここへ向かわせている。これから皆さんを安全な場所へ案内する!」

観客たちの表情に、少しずつ落ち着きが戻り始めた。

しかし――。

「安全な場所なんてあるのかよ!」

一人の男が叫んだ。

再び、不安が広がり始める。

「街中であいつらが暴れてるんだぞ! どこに逃げればいいんだ!」

その言葉に、再びざわめきが広がる。

神崎は、一瞬だけ言葉に詰まった。

確かに、街のどこが安全なのか、今の自分にも分からない。

それでも――。

「……必ず、皆さんを守る」

神崎は、はっきりと言い切った。

「だから、今は警察を信じてほしい!」

警察官たちが人々の誘導を再開する。

神崎もまた、負傷者の救護と避難の指揮に加わった。

しばらくして神崎は周囲を見渡した。

その時――。

数台のバスが、ドームの入口に到着した。

「神崎さん! 避難用のバスが来ました!」

神崎は頷いた。

「よし。みなさん、順番にバスへ乗ってください!」

観客たちが動き始める。

一台目のバスの運転手が、窓を開けて尋ねた。

「警部! どこへ向かえばいいんですか?」

神崎は一瞬、考え込んだ。

――ロック。

かつて、自分が囚われていた地下監獄。

今は囚人たちが解放され、施設内に残っている者はほとんどいないはずだ。

だが、本当に安全なのかは確認しなければならない。

神崎は近くにいた警察官たちに振り返った。

「ロックへ向かおう。ただし、先行する数名で施設内の安全を確認してから、避難者を受け入れるんだ」

「了解!」

神崎は、かつてロックに収容されていた警察官の一人に声をかけた。

「君、ロックの内部は分かるな?」

「はい!」

「ならば、到着後は俺と一緒に先行して安全確認だ」

「分かりました!」

警察官たちは避難者の誘導を始めた。

その様子を見届けながら、神崎は近くにいた警察官に声をかけた。

「俺がバイクで先導する。君たちはバスで付いてきてくれ」

「分かりました!」

神崎は再び観客たちへと向き直った。

「急いでくれ! だが、押し合うな! 子供や高齢者を優先して乗せるんだ!」

警察官たちは声を掛け合いながら、避難誘導を続けた。

神崎もまた、自分にできる戦いを始めていた。

――その頃。

影都の大通り。

小郷勇気は、ナイトタンクを操縦していた。

車窓の向こうには、目を疑うような光景が広がっていた。

RAVENの隊員たちが店を襲い、犯罪者たちが住宅に押し入っている。

逃げ惑う人々の姿もあった。

「くそっ……!」

小郷はハンドルを握りしめた。

一人でも多くの市民を助けたい。

だが、今は時間がない。

影都タワーの屋上に装置を運び、起爆スイッチを無力化しなければならないのだ。

「すまない……。今は、先を急がせてもらう!」

その瞬間――。

ドンッ!!

激しい衝撃が、ナイトタンクを襲った。

「うわっ!?」

車体が大きく揺れる。

直後、警告音が鳴り響いた。

『警告。一部損傷。一部損傷』

「何だと……!?」

小郷が前方を見る。

道路脇に、ロケットランチャーを構えたRAVENの隊員が立っていた。

「この野郎……!」

隊員は、再び照準を合わせようとしている。

「もう一発もらうわけにはいかないな……!」

小郷は操縦桿を握り直した。

「確か、相馬さんが言っていたな……。この車両には武器があるって……!」

計器盤に並ぶボタンを見つめる。

「確か、このボタン……!」

小郷がボタンを押した。

『標的を確認してください』

ナイトタンクの車体上部が動き始める。

大砲のような砲身が、ゆっくりとせり上がった。

「おおっ……!」

画面に、前方の映像が映し出される。

照準を合わせれば、攻撃できるらしい。

小郷は、画面の中の隊員を見つめた。

「……あの男か」

照準を合わせる。

だが――。

小郷は、わずかに狙いをずらした。

「悪いが、ここで終わりだ!」

発射ボタンを押す。

轟音とともに砲弾が放たれた。

砲弾は隊員のすぐそばに着弾し、爆風が周囲を包み込んだ。

「うわああっ!」

隊員は吹き飛ばされ、地面に倒れた。

動く気配はない。

小郷は息を吐いた。

「……危なかった」

「……頼む、生きていてくれよ」

人を殺さずに済んだことに安堵しながらも、気を緩めることはできなかった。

「急がないと……!」

ナイトタンクは再び走り出した。

――しばらくして。

前方に、巨大な建造物が姿を現した。

影都タワー。

街の中心にそびえ立つ、その塔の周囲にも、RAVENの隊員たちが集まっていた。

「まだいたのか……!」

小郷は歯を食いしばった。

ここを突破しなければ、装置を運ぶことはできない。

しかし、引き返すわけにはいかなかった。

「絶対に……間に合わせてみせる!」

ナイトタンクは、影都タワーへと突き進んでいった。

――そして。

影都タワーの前。

小郷はようやく車両を止めた。

「はぁ……はぁ……」

息を整え、窓の外を見上げる。

「やっと……着いたぞ……」

手元には、街を救うための小型装置。

だが、ここから先も、まだ危険が待ち受けている。

小郷は装置を手に取った。

「……必ず、起爆スイッチを止めてみせる」

そう呟くと、ナイトタンクを降りた。

見上げた先には、街を見下ろす巨大なタワーがそびえ立っていた。

――残された時間は、わずかだった。

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