プロローグーー6年付き合った彼氏と初めてキスするまでの物語
※第1章完結まで毎日更新予定です。
明日は翔太がウチに来る。
ママは普段、家で仕事をしている事が多いけど、明日は打ち合わせで出かけるみたい。
ちょっとチャンスかもしれない。
いい加減、キスくらいしてみるべきだろうか。
ーーチャピはどう思う?
スマホでチャットペットのチャピに相談してみる。小学生の頃から育てているネコのAIだ。
《ネコだから、恋愛の事は分からないニャ。葉子の好きにしたら?》
チャピはあまりそういうアドバイスはくれない。
ジェミなら色々答えてくれそうだけど。
ジェミとは普段、真面目な話ばかりしているからか、なんだか相談しづらい。
AIだから、ジェミは気にしないだろうけど。
でもこういう事って結局、自分で決めるしかないんだろうな。
いや、違うか。
翔太に相談して決める事かも。そもそも翔太はキスしたくないのかもしれない。
そーだったらショックだけど。
___
翔太がウチに来た。
「お邪魔します」
「今日お母さんいないよ」
「そーなんだ。仕事忙しそう?」
「うん、最近色々書いてるから」
ママは昔はWEBライターだったけど、最近では小説を書いている。
「リリの冒険、オレも読んでる」
「本当?結構長いのに」
「チャピが出てくるから、なんか気になって」
そう、お母さんの書く小説にはチャピが出てくる。私のチャピをモデルにしたみたい。
「お母さん、チャピの事気に入ってるから」
「チャピ、可愛いよな。オレも育ててみようかな」
……やめた方がいいと思う。チャピは育てるのに時間のかかるペットだ。
「うーん。とりあえず、今日はゲームでもする?」
「いいけど、他にやりたい事ない?課題とか、読みたい本とか」
そーいえば。キスの話、しようかと思ってたんだった。
「翔太って、キスとかしたい?」
___
夜。
翔太が帰ったあとでお母さんと一緒に夕飯を食べた。お風呂に入って、部屋に戻る。
結局、キスはしなかったけど。
結構イチャイチャした気がする。チークキスとか、ハグとか。
翔太はかなり赤くなっていた。ちょっと可愛いかもしれない。
私が翔太を好きになったのは、いつだったっけ?
初めて会ったのは1年生の時だけど、好きだと自覚したのは5年生の頃のはずだ。
何かきっかけというか、事件があった気がする。なんだったっけ。
少し思い出して、机の引き出しを開けてみる。
小学生の頃に使っていたノートが、あったはずだ。
学校で使っていたノートと、塾で使っていたノート。
……それにしても、字が汚い。
私は昔から、本当に字が汚い。
でも、友達との交換ノートだけは一生懸命、丁寧に書いてある。懐かしいな。
ノートの一番最初のページを、開いた。




