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喚ばれた剣聖  作者: たんぽぽ3号


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喚ばれた剣聖ー83



「はぁ、まさかの第六階層が敵の強化だけの上と同じ展開だとはな。」


「・・・おかげですんなり円環を見つけられた。」



結局夜になるとスケルトンが襲ってくるだけだったが、敵の強さは明らかに跳ね上がっていた。


見るからに襲ってくる骨が黒黒しくなり、ロングポートを襲っていた三つ首の巨大スケルトンや、逆にやけに小さいスケルトンなど敵の種類は増えている。


でもリーパーのような極端なレベルはさすがにいなかったけどね。


特に障害もなく順調に探索を進め、円環を見つけることができたので俺たちは一度地上に戻ることにした。



地上へ戻れたので取り敢えずは報告かな、とグリンのテントへと向かうと、何故かグリンしかいることを見たことがないテントがやけにに騒がしい。

グラグロは何かあったのかと怪訝な顔をしながら先にテントへはいる。


そして困ったような顔をして出てきた。



「・・・お前らに客人だ。」



その言葉に俺は目を細める。


ほかの3人は客人という言葉にピンときていないようで首を傾げているが、俺はなんとなく察しがついた。


なので俺はグラグロの言葉を聞いて躊躇なくテントの入り口を開けた。



すると、そこにはローブを着た二人組がグリンに詰め寄っている光景が飛び込んでくる。



「フィーカ、は、ないだろうからシルルカあたりか?」



俺がそう言うとローブを着た2人はフードを外して素顔を晒した。



「え? な、何でわかったの?」



素顔を晒したシルルカは当てられたことに驚き、護衛らしきガタイのいい偉丈夫のエルフは無言で目を細める。


俺は予想通りの来訪者に少し安心した。



「なんとなくだよ。んで、どうしたんだ?」



俺がそう聞くと詰め寄られていたグリンが襟を正しながらハンカチで汗を拭う。



「まったく、とんだ目に遭いました。どうやら貴方がたに用があるようです。盗み聞きしてもよいことはありませんし、行きますよグラグロ。」


「・・・あ、あぁ。」



グラグロは滅多に姿を見せることがないエルフを見たということで動揺していたが、グリンに言われて追及もせず席を外してくれた。


今は臨時で組んではいるが、仲間ではなく雇われの傭兵のようなものだ。あまり深くかかわるべきではないと一線を引いてくれたのだろう。



「え、そ、それでどうしてシルルカが?」



エルフの里にいるはずのシルルカが何故ここにいるのだとハイルが戸惑ったように質問する。

その質問にシルルカは慌てたように俺に詰め寄ってきた。



「そ、そう! 大変なことがあったの!!」


「フニューが殺されでもしたか?」


「そうなの! 朝見張りが交代する一瞬のすきに、、、え、何で知ってるの?」



一切動揺してない様子の俺にシルルカは目を丸くする。


ま、だいたい予想はできていた。


ハイルのパルパンクからエルフの里への移動時間、フニューの動きに、口封じの可能性。てかわざわざコイツラがここに直接訪問してくるような用事なんて、誰かに攻め込まれて大ピンチか、フニューの件くらいだろ。


そんでその片方の予感が当たっただけだ。


ちなみにほか3人はすごい動揺してるよ。



「それで? 来たのは呼び戻すためか?」


「う、うん、と言うかユリジャ様が「早めに知らせたほうがいい」とだけ言ってて。いま里は犯人探しに大慌て、次何が起こるかわからないってみんな怖がってる。」



それはそうだろう、だって住んでる里内で殺人が起きたんだ。まだ誰がやったのかも分かってないのに寝れるわけない。今は疑心暗鬼に陥って皆が皆、お互いを疑ってる可能性がある。



「・・・それ、不味いんじゃ?」


「は、早く急いで戻らないと!」



ハイルが慌てたようにバタバタし始めるのをミリアが宥める。確かにハイルの足なら早く戻れるだろうけど一度冷静になる必要があった。



・・・もうフニューが殺された。つまりアムルを含めた存在たちが動き出したってことだ。エルフの里は簡単に見つかるような場所じゃないし、あそこにはリクリカ含め、天能持ちのフィーカに精霊達がいる。見つからずに犯行を行うなんて不可能なはずなんだ。それなのにシルルカはまだ犯人が分からないと言う。つまりその目をかいくぐる策と手段を持っているということ。



そしてアムルは俺のことを知っている。ハイルと行動を共にしていることだってわかっているはずだ。だからこそフニューを口封じするなんていう手荒な手段を取ったんだろうしな。


もし俺がその場にいれば相手の動きに気づける自信はある。でもだからこそ動かないって思ったから移動して粗を出させようと思ったんだ。



・・・ここまでは想定通り、問題はここからの動き。



「律兎さん、どうするのですか? 一度ダンジョンに区切りをつけて戻ります?」



ミリアから最もな指摘がされる。本来なら明らかに緊急事態だし戻らないわけには行かない。謎の発光体が言ってたレリックも気になるが、そんな不確定なものに頼るリスクは大きすぎる。


・・・が、



「いや、俺は戻らない。」


「・・・え?」「え、えぇ!?」 



流石のスイも俺の返答は予想外だったようでポカンと口を開ける。そりゃそうだろう、そもそもここに来た理由が意味不明だからね。



「それじゃ私はユリジャ様になんて言えばっ!?」


「そこかよ、、、。言ったろ、()()戻らない。ハイルとミリア、2人は戻ってくれるか?」



名指しされた2人は自分を指さして慌て出す。



「「私(僕)達2人!?」」



俺は驚く二人にコクリと頷きを返す。


すると2人はブンブンと首を振った。



「無理ですよ、私が戻っても役に立てません! ご飯だってどうすればいいのですか!?」


「ぼ、僕なんて敵がいたらすぐ殺されちゃうよ!?」



いや別に戦えなんて言ってないけど、、、。

あとミリア、問題はそこじゃない。



「ミリアの守る事に関しては俺よりも信頼してる。後はハイルの速度と知識、土地勘があれば何とかできるはずだ。」


「なんとかって、、、?」


「つーか、別に犯人を見つけろとも戦ってくれとも言ってない。俺が求めてるのは情報収集だ、変化と違和感を探してきてくれ。」


「結構無茶言ってるのわかってます?」



・・・まぁ、どんな脳トレって話だけどさ。


ハイルならまだ知識は多いし、気づくことも多いだろう。でもミリアはたぶん無理だよね。



「お前にはお前の役目があるからさ。お前にはこれをしてもらいたい。」


「これ?」



ミリアにやって欲しいことを耳打ちすると、彼女は呆れたような不安そうな微妙な表情で見返してくる。



「・・・うまくいきます?」


「わからん。でもこっちは向こうが予想できない手札を切る必要があるんだ。やるしかない。」



難しいことを言ってるのはわかってる。でも俺は向こうの組織の規模を理解していない。こちらもリスクを負わねば一方的に食われかねないんだ。



「わかりました、頑張ります。でも危なくなったらすぐに助けに来てくださいね。」


「そっちこそ難易度高すぎるだろうが。」



俺は笑いながらミリアに拳を差し出す。ミリアは一度ため息をついて、同じように合わせた。



「えーと、まとまったの?」



シルルカが頬をかきながらそう聞いてくるので、俺はコクリと頷いた。



「お前らはハイルとミリアを連れて戻ってくれ。俺はもう少しこのダンジョンをスイと潜る。そこまで時間をかける気はないが、何があるか分からないあまり助けは期待するなよ。」



その言葉にシルルカともう一人のエルフは不安そうな顔を浮かべている。

でも俺ばっか当てにされても正直困る、そこまで万能な人間じゃないんでね。



どことなくそこまで重要なものがこのダンジョンに?みたいな雰囲気が醸し出されているが、そこは俺にもわからん。あんな信憑性の低い話を信じて、ここまでとどまるのは俺もおかしいとは思うし、第三者からすれば理解すらもできないだろう。


ぶっちゃけそこまでレリックとやらが欲しいわけじゃない。


でもそういうレリックが世界を破壊しかけた経験はあるから無視できるものでもないんだよなぁ。



「スイ、こっからは最短で深層まで行くぞ。宝の出現の仕方はだいたい分かってるし時間は掛けらんねぇ。」


「・・・ん、わかった。」



スイは何も言わず端的に了承してくれた。


何もわかってないのにそれでも信じてくれてるのはそれだけ信頼してくれているってことか。・・・ありがたいね。



「なら急いで動くか、ただ連続の行軍は体を壊すだろうし、シルルカとかも一度休め。そして休んだら行動を、、、」



話ながら忙しなくテントを開けて外にでると、ちょうど訪ねようとしてきたのか、向こうから来るロングポートの面々が目に入った。



「おっ、皆さんも戻ってたんっすね!さっきはありが、、、」



ーーガシッ



俺はちょうどよく歩いてきたブロンの方を掴んで黒い笑みを浮かべた。



「ちょうどいいや、お前ら俺たちに恩あるよな? ちょっと手伝ってもらいたいんだけど、、、。」



その圧のある黒い笑みにブロンは笑みを引きつらせながら目に涙を浮かべている。その背後にいたルームが額を押さえて「やっぱり、、、。」と深くため息をついた。


もう助けられちゃってんだから仕方ないよね!




ーーー




ドリム地下街、ロドの居城執務室



その真ん中でロドは短い髪をかき分けながら眉毛を寄せて書類を睨む。



「ちっ、こんな書類仕事はガラじゃねえんだ、めんどくせぇ。」



普段だったらここまで書類に囲まれることもない。優秀な臣下もいるし、何より厄介事があったら出向いて速攻でかたをつけるからな。


それでも今回動けないのは相手が明確な敵とはまだ言えないからだ。ユリジャとは昔から面識があっていい仲を気づけていたはず、急に同胞が襲われたときは怒りに満ちたが、死んだわけじゃない。その程度で縁が切れるほど俺たちの仲は浅くなかった。



・・・だからこそ、この報告は望んでいない。



「・・・・・ついにか。」



渡されていた一枚の紙にはついにジャユ族の犠牲が出たとの報告があった。


いまジャユ族に森での実りの採取は許可していない。

その近くでの監視と警戒だけをさせていたのだが、監視中に一人のジャユ族が背中から弓で射られたようだ。


弓といえばエルフと関連付けるのは安直だが、今の関係性だと、他を疑う余裕は少ないだろうな。


律兎から聞かされた別の第三勢力の可能性、それを信じたいが、この被害を無視すれば隊に不信感が募る。



もう留めることはできないだろう、、、。



「時間切れだ律兎。」




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