第4話 先輩との飲み会はプライスレス
かの有名な天照大神大先輩の逸話にもあるように、わたしたちにはお祭り好きの遺伝子が刻まれている。
誰だって、近くで楽しそうに宴会してたら覗きたくなるって。
飲み会離れが囁かれる昨今、それでも遺伝子には逆らえないものだ。
同期の宴会の女神、酒田宴を飲み会に誘えば、二つ返事でついてきた。
集まったのは、わたし、飾、理子ちゃん、宴、そして――。
「今日は先輩が奢っちゃうよー」
飲み会が始まる前から酔っ払っている、日本酒の女神、米蔵純先輩だ。素面の姿を見たことがない。……未だに昇進していないのはそのせいだろう。
「先輩ありがとうございますっ! 高いお酒頼んでもいいですか?」
奢ってくれると言うからには、気持ち良く奢られるのがマナーだろう。遠慮は失礼にあたる。
「ばか、ちょっとは遠慮しなさい」
お堅い飾はわたしの頭を小突くが、ちゃっかりメニュー表の一番高いお酒に目が行っているのをわたしは見逃さないよ。
「おしぼりどうぞ」
理子ちゃんは皆の前にサッとおしぼりを配置する。出来る後輩系上司だ。
せっかく誘ってやったのに、タイパが悪いとか言って断った分三とは違うね。
「「「「「かんぱーい!」」」」」
飲み会の「何でも好きな料理頼んで良いよ」は、闇の決闘でしかない。
枝豆、焼き鳥、からあげ、だし巻き玉子。選択肢は無数にある。
全員でシェアできて、重すぎず軽すぎず、無難な選択。そういう配慮に欠けているわたしは、迷わず一番高い、産地直送海鮮盛り(特上)を注文した。
「サラダ取り分けますねー」
宴ちゃんが取り皿にミニサラダを作る。あーいう細かい作業もわたしは苦手だ。
「ほら理子ちゃんもどんどん食べて飲んで嫌なことは忘れよ!」
理子ちゃんの取り皿へからあげ、だし巻き、大トロ、えびと、手当たり次第に料理を乗せてあげる。疲れた顔をしている後輩は労ってあげなきゃね。
「あ……ありがとうございます……」
「まだまだ夜ははじまったばかりだよ!」
ふー……。人の金で飲む酒は最高だぜ!
「……もう帰っていいですか」




