第11話 許ちゃんループ
『さて本日ご紹介するのはこちらの商品! な、な、なんと、以前大人気で即完売となっていたこちら!』
福利厚生経費で許される限りの大きさで設置してもらった大型モニターに映るのは、通販の女神――高田夢ちゃん。彼女の明るい表情とは対照的に、わたしたちは暗がりの中にいた。物理的に。
「どうするのよ、この大量の段ボール箱の山」
「……それは……秋の収穫祭で焼き芋を作る時の燃料にでも……」
印刷ミスにより発生した大量のエラーカード、その返品の嵐が過ぎ去った後には、窓の明かりを遮るほどの山が残された。
「先輩、また大会開催中止の連絡っす」
「ゲーマーなら勝負から逃げるなよ!」
トレーディングカードゲーム発売直後、『許ちゃんループ』という凶悪な1ターンキルコンボが開発され、対戦環境が固定化、新規参入の壁として立ちはだかった。
「天界消費者カスタマーセンターからもクレームの嵐っす」
「こんなはずじゃなかったのに」
転売による一部カードの異常な高騰が、女神の信用失墜行為として大量の苦情が寄せられ、専用ダイヤルが設立されるほどの騒ぎとなり、理子ちゃんの残業が増えた。
「転売はわたしの管轄じゃないのにー」
一連の騒動の罰として下された『給料3ヶ月分返還処分』はまだマシだ。無いものは返せない。
一番の誤算は、あつめちゃんのカードを本人が全て自腹で回収してしまったことだ。
くやしいー!




