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幼女兄貴と往く異世界マンション攻略配信! ~頭を下げてお断りからの逆転成り上がり~  作者: ラボアジA


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15/24

14部屋目 貢献、ゼロ

――――――――――――――――――――


・現在の使用可能タイル

 BCD FGH  KLM

N P RST V XY

123456 890


――――――――――――――――――――

 打ちひしがれた様子のオシリスは、僕らに人差し指を見せると、そこに手の平を当てた。


「タイムアウト」

「はあ」



※:おいこら、タイムてw

※:オシリスはNBAがお好き

※:何かトートと話してて草



 僕らは近い分、小声でも聞き取れた。


「なあ、トートよ……。制限時間を過ぎたら、解答は無効だよな?」

「はい」

「予は、バスケの終了後に入るロングシュートなどは大好きだが、書き文字は違う。即座に終了だ。お前……、終了後に書いただろ」

「――はい?」


 トート神は目を瞬かせた。


「オシリス。仮にあなたの言い分が通ると、菊知薫チームの条件が先に成立しますよ」

「ん?」

「薫チームは、4文字でした。私が0文字だと、タイル5つに問題選択権まで渡します。これは、あなたが何文字でも関係ないのですが」

「――あっ、本当だ!」



※:大チョンボで草ァ!

※:オシリスおじいちゃん、挑戦者ごとにルール変えるから……

※:ほんまにバスケのこと言うてたしw

※:お前が始めたナゾナゾだろ(呆れ



 よろけたオシリスは、おもむろに深呼吸した。首と肩を大きく回し、懇切丁寧にほぐしたのち。


「さて、予が制限する文字はTだぞ」

「待て待て、おっさん」


 Q次郎がぞんざいに手を振った。


「恥の上塗りっつーか、もはや厚塗りだろ。やらかすテンポが早ぇよ。――はっ! もしやこれが、盤石のリズムか!?」

「Q次郎……、お前ロクな死に方せんぞ」

「へっ、冥府の神のお墨付きかよ。こいつぁ自慢できるぜ」



※:煽りよるw

※:火力マシマシじゃん

※:もう炎上して4んでんだよなあ



 オシリスは冷ややかにQを見た。


「Q次郎……。お前は何故ここにいる?」

「ハァ? ジョニーさんを元の偉丈夫ガタイに戻すためだが」

「ほお、それは妙だな。お前は今まで、貢献度ゼロだぞ?」



※:おっとー?

※:パーティー分断か

※:精神攻撃は基本



 オシリスは僕に向き直った。


「Q次郎のスペックは低い。また、薫のような特化型とも違う。この部屋で必要な知力も持ち合わせておらず、あるのはネットで炎上した過去だけ。――なぜ、そんな者がいまだにメンバーなのだ? 予は解せぬ」

「他人にできないことをカバーするのがパーティーですから。うちに必要ですよ、彼は」


 僕は、幾度もしてきた返答を冥府の神にもした。


「それと、Q本人は認めませんが、炎上事件はQも被害者ですので」

「相手を盛大に煽ったのにか?」

「キッカケはそうですが、家族をネットに晒されて殺害予告の挙げ句、近所一帯へ張り紙までされたのは被害が大きすぎますよ。――そうそう、僕たちが制限するのは、6です」



※:オシリスT/薫チーム6

※:そも、慈悲深い薫子様は、炎上後にパーティー勧誘したからな

※:おかげで当時は「菊知家をオドすなー!」「両親を解放しろナメクジー!」ネタが大流行りしたw

※:↑人の心とかないんか定期



「ふむ、ならばその選択を後悔せぬようにな。では4問目だが、『答えのある問題』から予が選ぼう」


 トート神の方を眺めていたオシリスは、不意に口角を上げた。


「フッフッフッフ、ここはスケールの大きな問題でいくか。『9つの星』だ」


 指を鳴らした直後、天井が夜空に変わり、四隅にまばゆい星が輝きだした。かと思えば、それぞれの中間の星も同じぐらいの光を放ち、最後に、天秤の真上で太陽のような恒星が出現する。


「今、予の部屋の天井に、おおよそ等間隔で3×3の星が光り始めた。さて、問題。『これら9つの星の、全てを直線で繋げるとき、直線を折り曲げる回数は何回になる? 最小の回数を答えよ』」


 ――星座じゃなくて、9つの点を結ぶ問題だったのか。


「おっと、星は全て同一平面上にあると考えてよいぞ。また、直線が部屋の外へはみ出ても構わぬ。そして、何より大事だが、あとで予が模範例を示してやろう。フッフッフッフ……、今から楽しみだが、まずは解答だな。では用意、始め!」


 オシリスが手を叩くや、数字タイルの前で待機していたQが素早く数枚持ってきて、ジニーが【精神感応テレパシー】を繋いだ。


(うっし、4以下を揃えたぜ。さて、曲げる回数はいくつだ?)

(僕は3だと思う)

(あたしも3!)

(私もよ)

(んむ、3じゃ)

(なーる、わくをハミ出して矢印書く感じか。――残念だがソレ、

(え?)

(Qくんゴメン、あたし分かんない)

(あァ? なんだよ汐音、つまりだなァ……)


 手短に説明を聞くや、僕らはため息をついた。


「Q、まかせた」

「へっ、まかされた」


 Qはタイルを1つ上皿に放った。


「ゼロ」


 直後、トート神がパピルスを裏返す。


「正解です」



※:えっ!

※:なんやて!?

※:どういうことや



「おいおい、小芝居すんなよリスナーども。どーせ裏だと答え出てんだろ?」



※:ばれてーらw

※:Exactly(そのとおりでございます)



「へっ。でもま、オシリスがドヤ顔で解答しそうだったからな。代わりに俺が実演すっから……借りるぜ?」


 Qは、トート神のパフォーマンス筆を手に取った。


「さっきオシリスが笑ってやがったんだよな。あれは、筆を見てたせいだぜ」



※:この緑、すーぐニヤニヤすっから……

※:攻防にも筆の誤り



 Qは靴のかかとで、地面の石にグリグリと点を作っていった。9個できたところで、僕が【聖水】で筆の穂を濡らす。


「おっ、サンクス相棒。――さぁて皆様、お立ち会い。地上にえがいたるは、9つの星! 拙者が手にするは、巨大な筆! しかして披露するは……そぉいっ!!」


 両手で握りしめたQは、一直線に地面へと引いた。


 ずしゃああああっ!!


 筆で塗られた9つの点は、湿


「……とまあ、コレが最小。折り曲げ回数ゼロだぜ」



※:それは筆と言うにはあまりにも大きすぎた

※:大きくぶ厚く重くそして大雑把すぎた

※:それはまさに正解だった

※:オシリス56しww



「へっ。銀河よりデカい筆で、ベシャーッとひとふりってトコだな。どうだオシリス? 盤石のネタを潰されたリズムは……って、あんまりコタえてねえな」

「フッフッフッフ、いや、感服したぞ。お前を起用し続けた薫の手柄だな」

「おっ、どした。嫌味にキレがねえぞ?」

「水時計が3つ沈んだのでな」


 オシリスは、3本立てた指を僕に向けた。


「目的の文字が消せるのだよ。すなわち、N、R、そしてSをな」


 勝ち誇った様子で指を折り曲げていくが、意外なチョイスだ。


「てっきり僕は、ゼロを指定するかと」

「折角タイルも1つ削ったことだしな。サービスだ」


 仏心? ――なわけないか。そもそも神様だし。


「では、最終問題の前に、現在の天秤を正確な傾きに戻しておくか」


 オシリスが指を鳴らすと、心臓の上皿がガクンと落下した。


「ぴゃっ? ととと……」

「だ、大丈夫、千桜さん?」

「んっ、だいじょぶ菊知くん! そ、それよりも……」


 地面スレスレになった上皿から、お嬢様は反対側を仰ぎ見た。


「上がったわね~」

「そうだね。でもこれで、解析班の人たちが動いてくれるハズ」


 早速、コメントで教えてくれた。



ツール使用:番人からの攻撃を防ぐタイル数は、あと15枚です!

解析ツール有:残15ッス

【視覚強化】で確認:最低15コだよ、頑張ってー!



「おー、こりゃ15枚だな~……って待て!? キツすぎんだろ!」

「ナメクジさん? 4問目のボーナスがまだよ」

「それでも、最低10枚だろ……? もう、母音5個のうち1個しかねえから、最後はトートの答え当てるのが絶対だな」


 僕らが選べるのは、実質「辞書」のみ。ラストは無数にある単語の中から、知恵の神と真っ向勝負。


 ――難易度、SSSで済むかな?


「オ~ッホッホッホ!」


 赤の女王様が、重苦しい空気を吹き飛ばした。


「なーんだ、それなら楽勝・・ね、菊知くん! 答えが分かればOKだし、ダメでもエレベーターで帰れるもの!」

「あはは……。うん、そうだね」


 千桜さんの言うとおり、問題が始まってからも撤退は可能である。――誰か・・が天秤に乗っていれば、だが。

 全員でエレベーターに戻ると、勝負から降りたとみなされ、番人との強制戦闘に入ってしまう。ゆえに、490だと、誰か1人は「残る覚悟」、他のメンバーは「帰る覚悟」が必要とされていた。


 ――千桜さんは、一ヶ月前に自分が帰った側だっていう負い目があるんだろうな。


 動画の中で、千桜さんたちのチームは必死にあらがっていた。番人に激しく追い込まれ、最後は泣きじゃくっていた。

 笑顔だったのは、天秤に乗ったパイロットの人だけだった。


「千桜さん。僕らももうちょい頑張るよ」

「――ん。期待してる」

「フッフッフッフ、麗しいパーティー愛だな。では、5問目の後半も用意しておくか。紹介しよう、最強の番人、メジェドだ!」


 オシリスが指を鳴らすと、トート神の背後が淡く光りだした。そこからフワ~ッと、白い布をかぶったオバケのような存在が実体化する。


「すでに攻略法も知っているな? そう、メジェドのレベルが15以下なら、一撃食らうまでは君らに手を出さない。――もっとも、メジェドは打たれ強いからな。カウンターによる反撃で、何十人も倒してきたぞ?」



※:うわ出た、つよつよオバQ!w

※:足がグンバツのオバケ

※:中の人などいない!

※:メジェドQ太郎vsナメクジQ次郎、ふぁい!(瞬コロPart2



 トート神は、手で僕を示した。


「薫チーム、文字の封印がまだですね。3つ選んでください」

「あ、はい」


 本当にマイペースだよね、知恵の神様って……あれ?


 ――そっか。注目すべきは「時間」だ。


 わざわざ促されたってことは、ここだけなんだ。


 んー、とすると……。あとはみんなとの話し合いだね。


「ジニー。まだ【精神感応テレパシー】は使える?」

「――のお、薫」


 ゆっくりと白帽を脱いだ4才児は、弱々しい微笑を浮かべた。


「すまぬ……、もはやワシは打ち止めじゃ。ここにおるのは、ただのスーパー美幼女じゃて」

「――うん、今までありがとう。あとはエレベーターで休んでて」


 ここからは、思考をフルオープンで挑戦だ。


 ジニーをQ次郎に任せた僕らは、天秤の傍らで文字の選定にかかった。


「まずは最終問題の確認だけど。タイルが5個以上に伸ばせるのって、『辞書』以外にないよね」

「ええ。他は全滅扱いでいいわ」

「ほぇ? 2人とも、可能性だけならまだあるわよ?」

「ないのよ、シィポン。かなめのタイルをあの・・オシリスが封じてきたから。そもそも、母音5つにTNRSでしょ? 『目的の文字が消せる』とも言ってたし、カバーされきったと見なすべきね」

「あー、答え知ってるからこそのプレイね。じゃあコッチは、影響少なめの数字消しましょ。123で決まりよ、オホホ」

「――いえ。消すのは9、8、5にしましょう」

「ふぇ? ミルニャン、これも逆から?」

「ええ。ベンフォードの法則っていうんだけど、一番大きなケタに1が来る確率は、30%もあるの。で、2、3……ってなるごとに下がっていって、9が一番少ないのよ。より選択肢を広げるなら、小さな数字は残すべきね」

「へ~。じゃあ985だわ」

「……ん。待って、猪尾さん」


 僕は手で制した。


「この3つを封じたとき、トート神に勝てる単語って浮かんでる?」

「ないわ。菊知くんは?」

「僕もダメだった。さっきは、『神話』って意味のMYTHミスを考えてて、0が残るなら神話学ミソロジーに賭けてたんだけど」

「フッフッフッフ」


 オシリスは得意げにTのポーズをやっていた。


「9文字もある単語か、薫? これはトートも危ういな」


 はいはい、MY「T」HOLOGY……。Tの封印でボツだ。


「で、僕から提案だけど。逆に、0を消すのはどうかな」

「――菊知くん? 私たち、『母音抜き』で4文字だったのよ?」

「うん、だけど猪尾さんも疑問だったでしょ? 『なんでオシリスは0を残したんだろう』って」

「それは……そうだけど」

「フル活用したかったんだよ、トート神の知恵を」


 僕は0を指差した。


「使える文字が多いほど、トート神の記す単語は長くなる。そんな神様でも、『母音抜き』だと6文字だったんだ。あれから更に使える文字は消えたから、0さえ消せば、おそらく最長は5文字。僕らが必要な文字数に、実は十分なんだよ」

「なるほどね……。のタイミングなら、こっちもかなめを封じて良かったってわけ」

「うん。今、この時ならね」


 ――こういった、心理の裏をつくような発想が、僕は苦手だった。

 だから、そんな裏ワザみたいな方法を学ばせてもらった。今戻ってきたQ次郎から。


「うぃ~っす、ジニーさんを運んできたぜ。そんで、どうなった?」

「僕らは0を封じようかなって」

「おぉー、いいアイディアだな。緑の顔が、一瞬マジになってたからよ」


 Qは、心理の読み合いに滅法強い。微妙なニュアンスから隠された意図を見抜いたのち、対戦相手を痛快に転がすのだ。――やり過ぎて、大炎上したほどに。


「フッフッフッフ、バレてしまったか」


 オシリスは優雅に拍手した。


「しかし忘れているな。君らの制限時間はたったの60秒だ。熟慮をするには短すぎるだろう」

「へっ、おじいちゃんこそ忘れてるぜ」

「――なに?」


 オシリスの顔から笑みが消えた。


「Q次郎……。考える余裕などないハズだが」

「おいおい、たっぷりあるだろ? 封じる文字を選ぶ、まさに。だよなあ、相棒?」


 ――本当に、意図をよくんでくれる。


「パピルス見ろよ。問題選択と解答こそ60秒縛りだが、文字封印ココだけは無制限なんだぜ?」

「――あっ!」

「理解したかい? ルールにうといせいで全然活用できてない、オシリスおじいちゃ~ん?」


 親指と人差し指でゼロを作ったQは、その穴からのぞきこんだ。


オウを削った薫たちが、ビーワイあたりから単語をローラーすりゃあ、5文字ぐらいスグ見つけ出すだろ。そしたらジジイはジエンドだぜ」

「――ま、待て待て待て待て!!」


 オシリスがQ次郎に詰め寄った。


「今、考えるだと? その前に常識を考えろ!」

「ハァ? いきなりアルファベットにした口でよく言うよなー。――おーっと、薫たちの邪魔はすんなよ? 今からクソジジイは、俺とコラボ配信の刑だ。気になるテーマだが……そりゃあもう、『厚塗りのリズム』だよな~ァ?」

「黙れ、小僧ォー!!」

視聴者コメント

※:これはウゼェーッ!!w

※:思考の引っかき回しに定評のあるクズ

※:ナメクジの見事な活用法だと感心はするがどこもおかしくはないな

※:暴力イクナイ領域だとナメクジ排除もできんくて草

※:実際どう? 薫子様がゼロを封印しても5文字残ってる?

※:ちゃんとあった >五文字

※:最長が5文字

※:おー

※:いい読みしてるわ

※:時間かければ薫子様か聖女様のどっちかが気付くと思う

※:はぁ~、頑張ってる薫子様にリンパマッサージしてぇわ~

※:うんうん

※:ピグミーマーモセットみたいでカワヨ

※:せやな

※:わ・か・る・マ・ン(象形文字で

※:――いやいや、検閲抜けねえって!w

※:唐突に何を言い出したかと思ったら

※:あー、ヒントね

※:トートウォールを超えてる気配ねえよなあ

※:あかんかー

※:↑ならば何度もやるまでよ

※:ダメでもリスクゼロ、リターンは極大だしな

※:分のいい賭けはキライじゃない

※:フツーにオイシイ賭けで草

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