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ダンジョンが出来た世界で幼馴染が勇者(自爆魔法特化型)になったので、遊び人の俺は寄生しようと思う  作者: 秋月静流


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第59話 再臨ウイッチ


 誰だ、と確認するまでもない。

 腰先まで伸びた艶のある黒髪。

 フレームレスの眼鏡から覗く切れ長の眼。

 美人だがどことなく酷薄な印象を受ける容貌。

 即ち――魔女こと御神レイカさんであった。

 今日はダンジョン省の職員でなく魔鍛師ブラックスミスとしての務めなのだろう。

 前に治療院で見たスーツでなく、いつもの黒ドレス姿だ。

 周囲の人垣が彼女が歩むたびに割れていく。

 皆が赤ら顔で道を譲る姿はまるで大海を割ったモーゼっぽい。

 まあ傍から見れば妖麗でミステリアスな美女にしか見えないからな。

 喋るとドSチックでレジスト不可能な毒を吐くスキュラだけど。

 俺の内心の声を聞いたわけじゃないのだろう。

 しかしレイカさんは俺の前に来ると怪訝そうに眉を顰める。


「今――何か不穏なことを考えなかった?」

「いえいえ。

 そんな事は滅相もございません」

「そう? ならばいいけど……

 でも――精々気を付ける事ね」

「? 何がです?」

「こんな可愛い娘を二人も仲間にしてるんですもの……

 やっかまれるわよ。

 特に貴方達はこのタガジョウダンジョンでは見慣れない新人。

 何かしら悪辣な苛めのターゲットにされなけないわ」

「あ、こっちってそういうゲスな奴がいるんですか。

 赦せませんね、そういう奴――」

「ええ、目の前に」

「アンタかよ!」

「まあ全て冗談よ……多分」

「確証を以てそこは断言してくださいよ、頼むから」


 俺の懇願に赤い舌を覗かせるレイカさん。

 やっぱ魔性の女っぽい。

 彼女はびっくり顔で俺達の動向を窺っていた二人を改めて見回す。


「ようこそ、タガジョウダンジョンへ。

 改めて歓迎するわ」

「あ、はい……お久しぶりです」

「またよろしくお願いします」

「俺には言ってくれないんですね……」

「男に用はないわ」


 きっぱり断言後、愛おしそうにコノハとミズキを見渡すレイカさん。

 ある意味本当にブレないお人である。

 ただ疑問に思ったのか、ミズキが尋ねる。

 そういえば彼女がここへ赴任になる事は詳しくは話してなかったか。


「レイカさん、こちら(タガジョウダンジョン)の配属に?」

「ええ、現在出向中よ。

 アオバダンジョンが誰かさんたちのお陰で無くなってしまったの。

 危うく失業し掛けたわ」

「すみません……」

「ご、ごめんなさい!」

「あら? 何を謝る必要があるの?

 貴女達は当然の事をしたまで。

 褒められはすれ、謝罪する事はまったくないわ。

 悪いのは――コアを砕いたどこかの馬鹿よ」

「……すっげーディスられてる気がするんですけど」

「それは心に疚しいことがあるからでしょ?

 ま、いいわ。

 再開の挨拶はこの辺にしておいて――」

「これが挨拶とか――」

「うるさいわよ、そこ。

 男が細かい事をグチグチ言わない」

「都合のいい時だけ男扱い……」

「黙りなさい。

 ――捻り潰すわよ?」

「こわっ!」

「はい、モブの話は置いておいて……

 貴女達がこっちに来たのなら渡す物があるわ。

 前回破損した装備の数々。

 ボーナス特典じゃないけど行政側でも色々用意したわ。

 受領しに来てちょうだい」


 クルっと方向転換後、自らが構える商店――工房へ歩みだすレイカさん。

 俺達は顔を見合わせ苦笑すると、その後をアヒルの子よろしく連いていく。

 まったく探索初日だというのに……初っ端から前途多難だな(溜息)。





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