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ダンジョンが出来た世界で幼馴染が勇者(自爆魔法特化型)になったので、遊び人の俺は寄生しようと思う  作者: 秋月静流


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第39話 溜息クエイク


 習得する特技は個人によって差が出る。

 同じ職業の同じ特技でも、本人の特性により変容していくのだ。

 たとえば武闘家の【正拳突き】。

 これは文字通り正拳を突くだけの特技である。

 しかし本人の志向によりその効果が異なっていく。

 基本的な消費MP、威力の向上は変わらないものの、本人が特技に望む思い入れにより、速さや命中率に特化したり会心の一撃クリティカルヒットが出やすくなったりと様々だ。

 この法則は勿論、魔法にも適用される。

 同じ閃光呪文ギラでもノックバックさせる衝撃を与えるものや、一点に焦点を合わせレーザーのような貫通力を持たせる事が出来るのだ。

 だからこそこの半月間、コノハにはフィジカル的なトレーニングのみならずその自爆呪文の習熟を特訓させた。

 ダンジョン内は服装などでも判るように思い込みの力強く作用する。

 ならば威力こそ申し分はないものの、広範囲を巻き添えにし、使いどころが難しいコノハの自爆呪文を改善していこうと思ったのだ。

 その成果がこの指向性自爆呪文クレイモアである。

 通常は爆心地であるコノハを中心に放射状に広がっていく爆発を、一方向へ収束し解き放つ。

 いまだコノハの前方にしか放てないという制約はあるも、無差別に広がる爆発力を収束させたその威力はさらに上昇しており、本来破壊する事が難しいダンジョン内の建造物崩壊を可能とした。

 これならやっていけるな。

 その成果を再認識した俺は、倒れ伏しているミズキに向かい手を伸ばす。


「大丈夫だったか?」


 下手な男よりも漢らしいミズキだが、さすがに怖かったのだろう。

 俺の手を取り立ち上がった瞬間、安堵からかよろけて俺にもたれかかってくる。

 慌てて俺はその身体が再び倒れないよう支えた。

 業魔の返り血と汗にまみれた均整の取れた肢体。

 伝わってくる激しい鼓動に思わず動揺する。

 例のビキニアーマーも大分ボロボロでさらに肌が露わとなっており、正直目のやり場に困る。


「ミズキ……?」


 安否の問いかけに応じる声は無く、アーモンドのような瞳からは涙が次々と零れ落ちていく。

 凛々しい顔立ちは憂いを帯び上気し、まるでヒロイックサーガに出てくる姫騎士のようだ。

 お礼の言葉か何かを口にしようとしてるみたいだが……感情が高まって声にならない。

 大切な何かを目で訴え様としてるのに応じられず、困り果てる俺。

 だから俺は――率直な感想を告げることにした。


「相変わらず凄い恰好だな。

 まるでオークに襲われたみたいだぞ」


 その言葉を聞いた瞬間――

 気弱な表情は瞬時に消え失せ、いつもの強気なミズキが戻ってきた。


「うるさいぞ、馬鹿!

 せっかく恥ずかしいのを堪えて礼を言おうとしたのに……

 雰囲気が台無しじゃないか!」

「はは。

 礼なんていいよ、別に。

 ミズキ達が無事なのが何よりさ。

 それにしょぼくれているミズキの姿なんて見たくないしな。

 やっぱお前に怒鳴られるくらいじゃないと……何かこう、ピンとこない」

「まったく貴様という奴は……

 っというか、今更だが貴様は何故ここに現れた?

 ここは最下層だし、よく私たちが窮地に陥っていると分かったな」

「ウルカさんの持つ魔道具のお陰だよ。

 あれの力でお前たちがピンチなのを知ったウルカさんが俺達を派遣したんだ」

「あっ……なるほど。

 前に渡されたこれの力か。

 試作段階という事もあり効果を疑っていたが……助けられたな」


 胸元から宝珠を取り出すミズキ。

 あれがウルカさんの言っていた端末とやらなのだろう。

 ちなみに取り出す時に何か見てはいけないものがチラ見えした気がするが――

 理性を総動員し、強引に意識を切り替える。


「ま、まあ……なんにせよ間に合って良かったよ。

 二度とミズキの怒り顔を見れなかったらさ、絶対後悔してた」

「な、なんだと。

 それは――私の事が心配だったと言うのか?

 だから危険を承知で助けに来た――と」

「――? 当たり前だろ?」

「め、迷惑じゃないのか?」

「俺とお前の仲で今更そんなことを言うなよ。

 ミズキの危機とあれば最優先で俺は救出に向かうに決まってるだろ」

「そ、それはもしかして――」

「――ところで。

 いったいいつまで引っ付いてるの、二人とも?」


 ジト目で呟くコノハの冷静な指摘。

 間近で顔を見合わせた俺達。

 いつの間にか見つめあっていたらしい。

 慌てて身体を離し距離を取る。

 そんな俺達の様子をどこか面白くなそうに眺めるコノハだったが、溜息と共に小声で囁くのが聴こえた。


「ショウちゃんのバカ。

 天然なのは昔からだけど――最近ますます酷くなってきているし」


 ――はて?

 俺は何やらコノハを傷つけてしまったらしい。

 意味が良く分からんが……あとで確認してみることにしよう。

 事情を分かってなそうな俺の顔を見て再度盛大に溜息をもらすコノハだったが、マントを外すと倒れ伏している双子に掛けてやっている。

 ミズキの後輩で――確か、ミアとミイだったか?

 どうやら精神力を限界まで振り絞った事によるMP枯渇状態らしい。

 こうなると高価なハイポーションでもすぐには回復しない。

 肉体的な損傷はともかくMPの自然回復を待ってからの覚醒となる。

 コノハにハイポーションを飲ませるよう指示しつつ、気を取り直した俺はミズキにもハイポーションを勧めながら訊いてみる。


「いったい何があったんだ、ミズキ。

 お前たちほどのパーティが壊滅し掛けるなんて」

「私達にも正直良く分からない。

 見たこともない業魔に遭遇したら次々眷属を召喚してきたんだ。

 あれはもしかして――」


 何かを言い掛けたミズキだったが、その言葉を言い終えるより早く――

 耳を震わす大音響と共にダンジョンが揺れた。

 

 



 仕事場での更新は無謀なので止めようと思います(まる)

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