第14話 籠城
さて、どうしたものかとレオナは民家の一室の窓から死人が蔓延る夜なのに街頭もつかない薄暗い大通りを眺めていた。
ミサはレオナを助けるために飛行能力の多様で魔力の消耗が激しく寝込んでいる状態、暫くはこの民家に籠城しなければならない様子だった。
「た、隊長……やはり私を置いていって下さい……」
か細い声でかなり辛そうにレオナに伝えるミサ、無論そんな事はする筈がなかった。
「隊員を無事に返すのが隊長の務めと俺は思っている、今は休め」
「隊長……」
レオナの言葉を聞き安心したのかミサは目を閉じ眠った。
しかしああは言ったものの武器はジルスから貰った10発入の小銃とナイフのみ、ジルスとハリスも大して弾は残っていないようだった。
籠城と言っても明日になれば嫌でも誰か外に出なくてはならない状況だった、食料が本当に微量しかないのだ。
扉を閉めてリビングに移動すると机の上に武器を置いてくつろぐハリスと相変わらずピリピリとしているジルスが居た。
「ミサは寝たか?」
レオナが来たのを確認してゆっくりと起き上がるハリス、相変わらずのタメ口にジルスは少し顔を顰めていた。
「一応な、それで決まったか?」
「はい、食料調達の件は私が行かせてもらいます」
「ジルスか、それじゃあ夜明けに出発だ、それまで各々休息を取っておけ……」
そう言いリビングを後にし、ミサが眠っている部屋とはまた別の部屋に入るとレオナは布団に飛び込んだ。
疲れたーーーー
今日1日で様々な事が起こりすぎた、一度死に、そして死にかけた……それに気になる事がかなりあった。
国王マリストネ5世を殺した奴ら、頭を撃たれ記憶が曖昧だがリーダー格のライナス、それにナジルと言う男……そしてセレナ。
1人はレオナが始末した筈だが若しかしたら一命を取り留めているかも知れない……どちらにせよ生きていると言う事を悟られない為にも慎重になる必要があった。
そしてもう一つ、誰も信じなかったが言葉を喋る死人の存在。
声を聞いた訳では無いが確かに口がパクパクと動いていた気がした……刑務所に居た特別種の存在を考えると尚更不自然では無かった。
額に腕を当てて天井を見つめるレオナ、微かに漂ってくる汗の様な臭い……そう言えば最後に風呂に入ったのはいつだろうか。
少し考えてみるが、よく考えればまだ任務開始から1日しか経っていない、と言うことはつまりお風呂は1日前に入った筈だった。
「はぁ……水出るかな」
ゆっくりと布団から起き上がると風呂場へと向かった。
風呂場へと行く途中リビングを通るが、ジャンケンか何かで負けたのだろうか不服そうな顔でハリスがソファーの上で眠っていた。
本当に皆生きて帰れるのか……今更ながら心配になっていた。
刑務所の時に話していた1回の任務で生き残れる可能性は5%、今の所は大丈夫だが今後が心配だった。
そんな事を考えながらもレオナは風呂に入り寝る事にした。
目を覚ますともう既に朝、窓から陽の光が差しリビングからはジルスとハリスの話し声が聞こえてきた。
髪をしっかり乾かして無かった為か首元辺りまで伸びていた男にしては長い髪はかなりボサボサに跳ねていた。
「お前ら起きるのが早いな……」
目を擦りながらかなり眠そうにリビングに来たレオナを見てハリスは勿論あまり笑わないジルスまでレオナの髪の毛を見た笑っていた。
「お前その髪の毛なんだよ!」
爆笑しながら言うハリス、寝起きでは無いのかかなりテンションが高く見えた、しかしそれは空元気と言う事に気づくのはそう時間はかからなかった。
「うるさいなー、今から整えてくるよ……」
そう言って洗面所に行くレオナ、帰ってくる迄に15分かかり髪の毛を切ろうかと本気で悩んだ。
「それじゃあ準備出来たな」
ジルスに弾薬やその他諸々の確認をとる、全て揃っているのが確認するとレオナはジルスと共に裏口から外に出た。
「帰ってくる五分前に無線機で連絡する、それじゃミサの事頼んだ」
「おう、お前らも無傷で帰って来いよ」
お互い一旦の別れを告げるとレオナは道が分かるジルスを先頭に大通りへと慎重に出た。




