自律
「明日は私の好きな人たちが来るから絶対におとなしく演技してなさいよね!」
そう、とても同年齢とは思えない幼女体形の高飛車裏切り者(疑惑)に命令された次の日、ザルフはテイラーに鷲掴みにされ起きた。
「むにゃ。どうしたの?乱暴な。」
眠たげな眼をこすりながらテイラーを見上げる。
「夢が俺の制御を離れた。」
「へー。それはまた何で。」
にやにやと笑いながらテイラーへとといかける。そんなザルフを睨みつけながらテイラーは屋根の上を駆ける。
「とことでどこ向かってるの?」
「俺が最後に検知できた場所だ。せめて何か手掛かりがないか探す。」
「ふーん、こんなことは初めて?」
「あったりまえだ。何か知ってるならさっさと吐け。」
「いや?残念ながら僕は知らないねぇ?」
にやにやとのけぞるザルフに何だこいつとは思うものの今は追及できない。確かに魔術は特別であり意思を持つがあくまで主人には忠実なものが多く自分勝手に、しかも自由意思で動くことなどありえない。なのに動いた。
(何故だ?)
思考する。
考えられるのは俺が無意識に指令を出した、しか考えられない。
「嫌になる。」
「はっはっはー。僕もお腹がすいて嫌になるね。」
「ここだ。」
うざい言動を繰り返すザルフを無視しテイラーがたどり着いたのは一見の古びた小屋である。スラム街の端にあるこの小屋は一見すると瓦礫に見えるがきちんと戸があり中を開くとそこはほとんど光がなかった。
「・・・・、本当にここであってる?」
「あってる。お前にはわからんだろうが俺にはわかるんだよ。魔術独特の残り香がな。」
「ふ~ん。」
胡散臭げにテイラーをザルフは見つめる。
「飛び回るな!鬱陶しい。行くぞ。この辺りを捜索する。」
そういって小屋から出て行くテイラーにザルフが一言。
「ミネルヴァの言ってたこと覚えてる?」
「あ」
テイラーが固まった。
「もしかして、忘れてたの?うわー、恥ずかしい」
「ダッシュ!」
テイラーが全力疾走でその場から消え去る。その姿を見てザルフは目を細める。
「そのくらい、神が見えないはずないよ。」
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