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佐伯悠馬の恋愛事情  作者: 雪森蓮


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第七部 第二話 ~噂は固定される~

恋愛カテゴリで始めたけど悠馬君が全然恋愛してくれないのでカテゴリ詐欺かとおもい、結局またその他にw

翌週から、空気が少しだけ変わった。

大きくは変わらない。

業務は通常通り。会議も滞りなく進む。


悠馬もいつも通りに処理し、

いつも通りに頷き、

いつも通りに席にいる。


それなのに。


「……佐伯さんさ」


休憩室で、

誰かが小さく言った。


「最近、静かじゃない?」


別の誰かが笑う。


「元から静かでしょ」


「そうじゃなくて」


声が落ちる。


「なんか、“考えてる”感じ」


考えている。

その言葉は、妙に正確で、妙に違った。

悠馬は普段から、考えていないわけではない。


ただ、それを外に出していないだけだ。


ーーーーーーーーーーー


噂は、最初は曖昧だった。


「凛さん結婚するらしいよ」


「アメリカで定住だって」


「相手、ジェシカさんの部下なんだってさ」


そこまでは事実だった。

そこから先が、人の手で増殖する。


「じゃあさ」


「悠馬さんは?」


その一言で、噂は別の形を持ち始めた。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「いや、でも」


「佐伯さんってほら」


「有能嫁探してるって言われてたし」


「結局、独身だし」


「そろそろじゃない?」


そろそろ、というのは何のそろそろなのか。

誰も定義しないまま、空気だけが先に決める。


ーーーーーーーーーーーーーーー


昼過ぎ。


秘書課から回ってきた資料を受け取りながら、

悠馬は淡々と確認を進める。


「佐伯さん」


声をかけてきたのは、別部署の女性だった。


「この件、助かりました」


「いえ」


礼儀正しく頭を下げる。

それだけ。

それだけなのに。


背中に、視線が刺さる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「見た?」


「今の」


「話しかけられてた」


「……動いてる?」


動いている。

何が。

悠馬は何も動かしていない。

業務しか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


噂は、

いつの間にか形を変えていた。


「佐伯さん、探してるらしいよ」


「え、何を?」


「結婚相手」


笑い声。


「必死じゃん」


必死。

その単語が、妙に軽く、妙に残酷だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


悠馬は、

コピー機の前で紙を揃えながら、

ふと立ち止まる。


「探している」

「必死」

「結婚相手」


どれも、

自分の中に存在しない言葉だった。

存在しないのに、外側では確定していく。


ーーーーーーーーーーーーーーー


ノアが、

遅れてその噂を拾ってきたのは夕方だった。


「兄さん」


「はい」


「……変な話、聞いた」


悠馬は顔を上げる。


「佐伯さんが結婚相手を探してるって」


一拍。

悠馬は瞬きをした。


「探していません」


即答。

ノアは苦笑した。


「ですよね」


「ただ」


ノアは少しだけ声を落とす。


「世界が勝手にそういう形にしてる」


悠馬は答えなかった。

否定すればするほど、

噂は別の形で補強される。

沈黙すれば、肯定になる。


どちらにしても、

本人の意志は関係ない。


ここまで何度も、嫌というほど経験したことだった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


戻る場所はある。

仕事もある。

役割もある。


それなのに。


”居場所”だけが、

相変わらず未確認のまま。


そして世界は、

その空白を噂で埋めていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


「兄さん」


ノアがぽつりと言う。


「凛姉さん、帰ってくるって」


悠馬の手が一瞬だけ止まった。


「……そうですか」


「はい」


ノアは言った。


「きっと、直接言うと思うよ」


何を。

悠馬は聞かなかった。

分かっている。


凛は、曖昧にしない。

決めたことを、決めたまま置く。


そして、人の目を見て言う。


ーーーーーーーーーーーーーー


噂は続く。


業務も続く。


問いも続く。


悠馬だけが、更新されないままそこにいた。



AIアシスト作品です。

対人耐性0、恋愛耐性0、人との距離感が終わっている悠馬君のコイバナ?になるんだろうか?な、話です。一応コメディです。たぶん。

前回の「佐伯悠馬は胃が痛い」を読んでいなくてもわかるように頑張ってみました。

一言でもいいので感想をくださるとうれしいです。


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