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超次元勇士ゾーンG(グレート)ロボ  作者: 道化師
ティル・ナ・ノーグ編
26/36

お昼は皆でバーベキュー☆

「……はぁ、生きた心地がしなかったぜ」


和菓子屋《波音堂》を後にし、タケルは何度も後ろを振り返りながら、ようやく浜辺近くの宿泊エリアへと戻ってきた。頭の中では、斑鳩美璃のあの獰猛な笑顔と、(てのひら)に残るあの、神社でしたかたなく掴んだ柔らかな感触がぐちゃぐちゃに混ざり合っている。


「タケル、顔が引きつってるよ。そんなにあの斑鳩美璃さんのことが怖いのかい?」


ケンが眼鏡をクイと押し上げながら、冷静な分析を口にする。


「別に、怖いとかじゃねーよ! あんなのと関わってみろ、俺の平和な夏休みが木っ端微塵だ。……いいか、二人とも。今日のことは愛先輩と愛先輩のお母さんには絶対内緒だからな」

「わかってる、わかってるって」

「うんうん!それよりも早く、お肉が食べたいな〜♪」


モンタが能天気に"ぐぅう〜"と、お腹を鳴らした所で、三人の視線の先に予約していた専用コテージが見えてきた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


潮風が吹き抜ける高台のコテージ。テラス席では、すでにリゾートの従業員が手際よくコンロの炭に火を起こしており、赤々とおこった炭がパチパチとはぜる小気味よい音を立てていた。


「あ、タケルくん達! おかえりなさーい!」


買い物袋を整理していた愛先輩が、三人の姿を見つけて大きく手を振った。太陽の光を浴びてキラキラと輝く海を背にした愛先輩の笑顔は眩しかった。


「愛先輩、ただいま戻りました! 準備、手伝います!」


モンタはそう言い、いそいそとコンロの側へと駆け寄った。


「ふふ、ありがとう。ちょうど今、お母さんと食材を並べ終えたところなの。見て、このお肉! 地元のブランド牛なんだって」


愛先輩がクーラーボックスから取り出したのは、美しいサシの入った厚切りの牛肉。それを見たモンタは「うおぉーっ!」と野獣のような声を上げ、ケンも「これは……ビタミンB1とタンパク質の宝庫だね」と眼鏡を光らせた。


「さあ、男の子たちは焼くのを手伝って頂戴。火加減はバッチリよ」


キッチンから野菜の盛り合わせを運んできた愛先輩のお母さん、翠さんが、テラスのテーブルに大皿を置いた。彩り豊かなパプリカ、トウモロコシ、そして瑞々しい極太のアスパラガス。


「タケルくん、よかったら、焼き担当お願いしてもいい。焦がさないように気をつけね」

「はい!任せで下さい。肉を最高の状態に仕上げて見せるぜ!」


タケルはトングを握りしめ、網の上に肉を並べ始めた。


ジュワァァァッ!!


脂が炭に落ち、香ばしい煙が立ち上る。その匂いだけで、三人の空腹感は限界を突破した。


「はい、愛先輩。肉、良い感じに焼き上がッてるぜ!にひひ♪」


タケルは一番形の良い肉を、愛の取り皿へと丁重に運んだ。


「わぁ、ありがとう! じゃあ、いただきまーす♪……んんっ、おいしい! 柔らかくて、お口の中でとろけちゃう〜!」


頬を押さえて幸せそうに悶える愛先輩。


「タケル、僕の分は? あ、ついでに焼きおにぎりも忘れないでよ」

「僕はソーセージ! 大きい方のやつ!」 

「はいはい、順番だっつーの!たくっ……ん?何で焼きおにぎりがあんだ?」


そんな疑問が残るもタケルは忙しなくトングを動かし、ケンが野菜の焼き加減をチェックし、モンタがひたすら口を動かす。翠さんと愛先輩は、そんな三人の様子を微笑ましく眺めながら、冷えた麦茶で乾杯した。


「それにしても、この島は本当に空気が綺麗ね。商店街の方はどうだった? あ、そうそうここに来る途中でね、カメラを持った人と若い高校生ぐらいの女の子三人が何かの撮影?のような事をしてたみたいだけど」


翠さんの何気ない問いに、タケルの肩がビクッと跳ねた。


「えッ??あ、あぁ〜…そ、そうなんだ〜。俺たちはここに来る前に三人で団子食ってたんで、あはは…」

「そう……? タケルくん、なんだか落ち着きがないわね。お肉、自分の分も忘れないでね」

「だ、大丈夫です!ほら、自分の分の肉もしっかり確保してますから。パク!もぐもぐ…ゴックン。ん〜〜このお肉も最高だぜ!」


必死に食らいつくタケルを、愛先輩が少し不思議そうな、けれど優しい目で見守っていた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


皆でBBQ(バーベキュー)を楽しんでからお昼時間が過ぎていき――時刻は午後の13時15分。


宴も中盤に差し掛かり、皆のお腹が落ち着いてきた頃。愛先輩が「あ、そうだ!」と思い出したようにコテージの中へ入り、小さな紙袋を三つ持って戻ってきた。


「みんな、実は商店街で買い物をしている時に、三人にぴったりなものを見つけたの。これ、今日のお土産!」

「えっ、お土産!?」

タケル、ケン、モンタの三人は顔を見合わせた。自分たちが団子を食べている間に、愛先輩は自分たちのことを考えてくれていたのだ。


「はい、これはタケル君に」

手渡されたのは、青い海をイメージしたガラス細工のキーホルダーだった。中には小さな銀色の剣のモチーフが封じ込められている。


「タケル君、いつも二人やクラスの皆の為にを守ろうといつも身体を張って頑張ってるから、勇者の剣みたいでかっこいいなと思って、それにしたんだ」


「愛先輩、ありがとうございます!大切にするぜ!えへへ♪」


タケルは心の底から嬉しかった。

愛先輩にくれたキーホルダーを大切に握りしめる。


「ケン君には、星砂の入った砂時計。読書や勉強の合間に使ってね。モンタ君には、この島名物のラッキーモチーフが彫られた木彫りのストラップだよ」

「ありがとう。わぁー綺麗だ…!」

「やったー! 愛先輩、一生大事にします!」


三人はそれぞれのプレゼントを手に、満面の笑みを浮かべた。

翠さんがその光景を見て、満足げに頷く。


「三人とも良かったわね。あ、ほら、タケルくん。お礼代わりに最後の一枚の特上カルビ、愛ちゃんに焼いてあげなさい」

「はい!」

タケルはトングを再び握り、今度はかつてないほどの集中力で肉を見つめた。


(よーし!)


炭火の熱と、BBQ(バーベキュー)で賑わっている空気に包まれたコテージ。



――しかし…。


そんなタケルたち皆がBBQ(バーベキュー)を楽しむ中、海岸線沿いの道路には、数台のロケ車がゆっくりと近づいて来ていた。


「えーと、次のロケ地はあの、コテージの下の浜辺ですよね?」

「ああ、最高のロケーションだ。斑鳩君、準備はいいですか?」


(アイツ、一回別れてから、また、商店街の方に戻って来てみたけれど…結局、あのお団子屋にはもう、いなかったわねぇ…)


「オッケー」


(―まぁ、流石にこの辺がいたら、嬉しんだけどねぇ〜…)


プロデューサーの問に返した後、内心そう思いながら美璃は不敵な笑みをする。だが…美璃はタケル達がいる事すらまだ知らずにコテージの方へと足を歩む。

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