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魔王とドールの地下生活⑤ 魔法の入り口

どうぞおたのしみください


 魔王掘った場所の仕上げ中……


 ふう、地面や壁も大分きれいになったな。まあこんなものか。後は土を埋め立てるだけだな。

 「だいぶ疲れていらっしゃいますね。大丈夫ですか?」

 ああ……さっきのが応えているのかもしれんな。あまり慣れぬ体で慣れないことをするものではないな……。だが、これしき魔王にとっては少し休憩すれば済むものよ、ハッハッハ!

 さあドールよ! 今度こそ、この地に土を埋め立てるのだ!

 「かしこまりました」


 ドール埋め立て中……


 「終わりました。ですが……」

 土が足りないか。後でまた取って来るとしよう。

 今はあるだけの土に種を埋めよう。

 「あるのは小松菜、人参、二十日大根、そのたもろもろです」

 ふむ、ならば、その三つを全て蒔いてしまおう。

 小松菜と二十日大根は特に育てやすい野菜だな。

 「この程度で、マナの増量に役立つのでしょうか」

 見れば、機械人形3000式おまえのマナの効率はかなりいい。数か月もあれば、この地下においては十分な量が溜まるだろう。

 なに、足りなければ増やせばいい。その都度その都度だ。

 「では、作業も終わった事ですし、お食事にいたしますか?」

 丁度腹も減ってきた所だし、そうするか。

 「では、今回も温野菜と卵スープを用意いたしますね」

 なんと!

 ……ではその間に、俺は追加の土を持って来よう。


 「お帰りなさいませ、フズリナ様」

 お迎えご苦労だ、ドールよ。追加の土を持ってきたぞ。あと裁縫道具と糸あるか?

 「随分とまた、大きな音がしたのですが」

 麻袋がかなり破れてしまった。それと服もかなり損傷してしま……あれ、服は意外と大丈夫だったな。体は普通に痛いのだが……まあ、それだけこの俺の服が優秀だったまでよ! フーハッハッハ!

 「では、フズリナ様がお食事をしている間に直しておきますね。あと土の埋め立てもついでにやっておきます」

 それでは頼む。

 「お食事は既にテーブルに出しておりますので。では」


 卵スープと温野菜。簡素な料理ながら、それだけに料理人の技量がダイレクトに試される。

 スープの入った皿に手を添え、まずその温度を楽しむ。

 次に顔を近づけ、香りを楽しむ。

 ……うーむ。素晴らしい香りだ。これほどのものを作り出す腕前とは……ドールのやつめ、伊達に3000式ではないという事か。

 スプーンを手にして、スープをすくう。

 それを口につける。

 最後に、ゆっくりと流し込む。

 ……ふう。

 思わずため息が出てしまう。

 いやはや、まさか、これほどとは思わなんだ。

 あの骨主人どもは、毎日このようなものを食していたと言うのか。

 もしや、ドールが機能停止してこれが食べられなくなったために、口惜しさで死に至ったのかもしれんってぐらいに美味い。

 気づけば、俺はテーブルにある全ての料理を平らげていた。

 口の中にはじんわりとスープの後味が残り、腹は確かな満足感で満ちていた。

 「フズリナ様、お食事中失礼いたします」

 丁度食べ終わったところだ。どうした?

 「麻袋の修復が終わりましたので、丁度ご主人様も食べ終わった頃だと思って、お代わりと一緒にお持ちしました」

 なんと!!!

 気遣いの境地も、ここまでくれば未来予知すら可能となるか。

 「伊達にハイスペックやっていないので。では、こちらお代わりです」

 ふむ、では遠慮せずにいただこう。

 これを食べ終わったら、続きのマナの話でもしようか。

 「では、私は畑の手入れをしてきますね」

 

 よし、では、今度は室内農園から採って来たほうれん草(もとからあったヤツ)を、先ほどブルーボタニアのマナを抽出したあの機械に入れるとしよう。高性能な機械だ。かなりのマナの収集率が見込める。

 「これで少しは余裕ができますかね」

 どうだかな。この一室のマナの濃度がそもそも低すぎるからな……期待はできん。そもそも、この機械は空気中のマナの濃度を保つための機械ではないだろう。

 「本来外界では余るほどのマナがありますしね」

 ほうれん草は少し多めに採ってきたから、一回普通にマナを抽出し、それを空気中に蒸発させる実験をしてみよう。(ちなみに前回のブルーボタニアのマナは既に蒸発させた)

 「タンクには……前回よりは溜まっていないですね」

 前回のブルーボタニアと違ってただのほうれん草だからな。ブルーボタニアは見た所そもそもそのマナの生成に特化している花だった。だがこれでも普通に比べれば十分に多い。ドールよ、タンクを取り出してくれ。

 「はい」

 液体となったマナは高濃度に圧縮された状態だ。水が水蒸気の状態と液体の状態では体積が何十倍も違うのと似たようなものだ。

 「それで、どのように蒸発させるのですか?」

 放っておけば普通に蒸発するが、これから他の実験もやるので他の入れ物に移して放置で良いだろう。マナは基本空気中に漂っているものだから、すぐに蒸発するだろう。

 その間に、他の実験を行おう。液体のマナを他の入れ物に移したら、タンクを戻してくれ。

 「かしこまりました」

 よーし、それでは次だ。今度はこの抽出したマナを使い、とある術式に通す。どうなるかはお楽しみだ。

 それではドールよ、筆記用具を。

 「常備しています」

 フッハッハ! 流石は高性能機械人形ハイスペックオートマタだ!

 よし、基本の術式だからな。それほど難解ではない。この術式は、マナを操り四大元素を操るものとしての入り口の術式だ。

 「四大元素を操る……私も魔法使いになれる……終焉の劫火」

 いきなりどうした……? なんぞ終焉の劫火って? 四大元素に親でも殺されたか?

 「いえ、それと同じぐらいに、許し難い存在を思い出してしまいまして…………」

 言動がよく分からん。あと悩みがあったらいつでも相談するがいいぞ。

「いえ……あんな下賤の者如きにフズリナ様のお手を煩わせる必要はありません。私が終焉の劫火を手にした暁には、瞬で、この世から灰すら残さず消しつくして見せましょう」

 お、おう。誰もそんな魔法が手に入るとは言っとらんが、それは言わぬが吉か。

 「それで、その術式とは何ですか?」

 見ておれ。紙に術式を描いて、と……。これをあと十枚ほど用意する。

 そしてこれをタンクの上まで持ってこれば……そら来た。

 「わ! これは……」

 抽出したマナが紙に向かって引き寄せられる、何とも摩訶不思議な光景だろう?

 「液体のマナが、紙を覆ってしまいましたが……ついでに紙を持っているフズリナ様の手も」

 うわっと(悪寒)

 俺はマナと不仲なのでな……まあこの程度ならどうってことはない。

 「操れるとか言ってませんでしたっけ」

 仲がいいとは言っとらん。

 さあ、そのままよく見ておれ、ドールよ。

 これは簡単な術式と言ったが、複雑な術式と言われる部類の中で、最も簡単な術式だ。

 「言葉が難しいですね」

 なんと言えばいいのか。まあ複雑な事象(魔法)を起こすために、何個かの術式の重ね合わせになっているが、難しいものではないのだ。

 そしてまた不思議な事に、この程度の術式では考えられないような結果が得られる。それは……

 「これは……本?」

 そうだ。一定のマナと術式があれば、全てのマナから作ることができる。

 植物ボタニアを通してマナを操るボタニア式魔術の始まりの本、『レキシカボタニア』だ。

 「なんとも、摩訶不思議な……データベースにも、こんなものは」

 ハッハッハ! いいリアクションだ! このレキシカボタニアがあれば、そうそう難しい事はない。マナに必要な、ほぼ全てが書いてある。

人類のために光の神あたりが定義でもしたのか、ごく詳細まで、人間ができるように記してある。

 「ですが、私は魔導人形です。今までに魔導人形が魔術を使えたという記録はデータベースには」

 それなら、データベースを更新しておけ。お前が魔術を使える魔導人形第一号だ。

 誇らしげに思うがいい! クアーッハッハッハ!!

 「! ……かしこまりました。僭越ながら、精進させていただきます」

 うむ、その意気だ! 

一から設定見直して、設定集を書き足し&書き直しました。

遅れたいいわけではないです(汗)


それではまた次回

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