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とある魔族のウルトラママン

挿絵(By みてみん)

※「とある死にたがりのカンスト少女」登場キャラ

「さあ今日も張り切って人間どもを恐怖に陥れるぞ!」


魔族は意気揚々と声を上げると、

力強く足を一歩踏み出した。


そして――


頭上から落下してきた隕石に打たれ絶命する。



======================



(ここは・・・どこだ?)


暗い闇の中。絶命したはずの魔族の意識が揺れる。


『なんということだ。この星の生命を殺してしまうなんて』


(だ・・・誰だ?)


闇に聞こえた声に疑問符を浮かべる。


魔族の問いに闇の声が答えた。


『私は宇宙パトロール隊。この星に漂流した怪獣を追ってきた』


(宇宙パトロール隊だと?)


『ぢゅわ!』


(ぢゅわ?)


『名前はウルトラママン』


(ママンとな?)


『宇宙に住まう全ての生命のママンだ』


(・・・分からん)


『だが追ってきた怪獣に反撃を受け、私はこの星に不時着、

君を殺してしまうことになった』


(俺はやはり・・・死んだのか?)


『安心して良い。私の命を君に授けて君を蘇らせよう』


(そんなことができるのか?)


『感謝しろ』


(加害者のくせに恩着せがましぞ)


『そして君はこれからウルトラママンとして

怪獣と戦い、この星の平和を守るのだ』



======================



魔族が目を覚ますと、

そこは先程までいた森の中であった。


「夢だったのか?」


だがふと手元を見る。

いつの間にか右手に

ペン型の物体が握られていた。



するとその時――



「みぎゃああああああああああああああああああ!」


突如奇声が周囲に響き渡った。


慌てて声に振り返る。

するとそこには周囲の樹々よりも

遥かに大きな怪獣がいた。


「こいつが――ウルトラママンの言っていた怪獣か!?」


怪獣が暴れている近くから

人間の悲鳴が聞こえてくる。

怪獣に襲われているのだろう。


当然ながら魔族としては人間を守る義理などない。

だがこのまま怪獣に暴れられては

世界征服を目論んでいる魔族の沽券にかかわる。


「おのれ怪獣め! この世界は魔族のものだ!

貴様の好きにはさせないぞ!」


魔族は無意識のうちにペン型の物体を掲げる。

するとペンの先から眩い光が放たれて――



「ぢゅわ!」



魔族はウルトラママンに変身した。



ズズズゥウウウウウウウン!



怪獣と同じだけ大きくなったウルトラママンが

地響きを鳴らして地面に降り立つ。


怪獣の近くにいた村人たちが

ウルトラママンの登場に騒めいた。


「なんだ、あのブサイクな奴は!?」


「銀色で目がチカチカするし気持ち悪いぞ!」


「怪獣よりもまずあのきもい奴に石を投げろ!」


村人から石が投げつけられる。

当然ながら巨大化したウルトラママンには

村人が投げる石などで痛みを感じはしないが――


(ぐ・・・殺す!)


唾を吐きかけている村人達に内心でそう吐き捨てる。


だが村人よりもまずは怪獣だ。


ウルトラママンに敵対的な視線を向ける怪獣。

ウルトラママンは大きく足を踏み出すと

ズシーーーン!ズシーーーン!ズシーーーン!と

重量感たっぷりに走り出した。


すると――


巨人らしくスローに動いているウルトラママンを他所に、

怪獣が機敏に動いてウルトラママンにラリアットをかました。


「ぢゅわあああああ!」


ウルトラママンが背中から地面に転倒する。

その動きも巨人らしくスローだ。


だがやはり怪獣はサクサクと動いて、

倒れたウルトラママンを軽快に何度も踏みつけた。


「ぢゅわ!ぢゅわ!ぢゅわ!」


ウルトラママンの右腕を掴んで、

怪獣が捻じりながら腕挫十字固を決める。


「ぢゅわ!ぢゅわわわわわわ!」


怪獣の腕を何度もタップする。


怪獣がぱっと腕を離したところで、

ウルトラママンはゴロゴロと転がって

怪獣から距離を空けた。



『何をしている!? さっさと怪獣を倒せ!』


ここで脳裏に声が鳴り響く。

闇の中から聞こえてきた声だ。

何やら苛立っているその声に、

ウルトラママンに変身した魔族は非難の声を上げた。


(こっちだって必死に戦ってんだ!と言うか何だ!?

俺の動きはなんでこんなにスローなんだ!?)


『でかいキャラは動きがゆっくりなのがベターだ!

重量感たっぷりでなんか強そうだろうが!』


(それじゃあ怪獣は何であんなに機敏なんだ!?)


『そういう演出を無視するタイプなんだろ!

協調性のない今どきの若者と言った感じだな!

私が若い頃はもっと年長者を敬い――』


(黙れ老害! とにかく何とかしろ!

このままでは負けてしまうぞ!)


『安心しろ! スッペシウム光線という必殺技がある!

この技を使えばどんな劣勢だろうと逆転できる!

まるでクイズバラエティーの最終問題のごとく!』


(最後は――1兆点です! ってやつか!?)


『ってやつだ!』


(ならさっさとその技を教えろ!)


『それはまだ早い! 私はこの星では三分しか活動できない!

二分経ったら胸にあるタイマーが点滅するゆえ、

その時に必殺技を教える!』


(なんでだ!? 三分しか活動できないなら

なおのこと早めに倒すべきだろ!)


『早く倒しても尺が足りないだろ!』


(何の話だ!?)


『いいからそれまで耐えろ! そら怪獣が来たぞ!』


脳裏で言い合いをしている間に、

怪獣がいつのまにか接近していた。


すぐにファイティングポーズを取ろうとするも

スローな動きではまるで間に合わず、

機敏に動く怪獣にタコ殴りにされる。


格闘技経験者なのか

テコンドーの技である

トルリョチャギやらネリチャギやらを

怪獣が次々と決めてくる。


魔族は何の抵抗もできずに

ボコボコに殴られながら

ただひたすら二分が経過するのを待った。


そして――

胸元にあるタイマーが点滅する。


(点滅したぞ!)


腫れあがった顔面を輝かせる魔族に、

脳裏の声が大仰に頷く。


『いいだろう! スッペシウム光線を授けよう!

感謝してむせび泣け!』


(だから恩着せがましいわ!)


『敵に向けて腕を十時にクロスするんだ!』


ウルトラママンに変身した魔族はぎらりと瞳を輝かせ――


「ぢゅわ!」


怪獣に向けて腕を十時にクロスした。


だが――


何も起こらない。


(・・・どういうことだ?)


『腕の角度が5度違う』


(うおい!)


脳裏の声に全力でツッコむ。


(そんな事細かくポーズが決まっているのか!?)


『当たり前だ! 必殺技だぞ!?

一番の見所なんだから拘って当然だろ!』


(誰向けの拘りなんだ!)


『いいから早く再チャレンジするんだ!

活動時間がもう30秒もないぞ!』


(つくづくもっと早く必殺技を教えろ!)


愚痴をこぼしながらも

怪獣に向けて何度も腕をクロスする。


だがスッペシウム光線なる

必殺技が放たれる様子はない。


怪獣が徐々に近づいてくる。

胸のタイマーが高らかに鳴り響く。


迫りくる二つの危機。


ウルトラママンに変身した魔族は

遮二無二になり腕を何度もクロスする。


怪獣が目の前に立ち、

腰だめに拳を構えた。


もはや怪獣の攻撃を受けるだけの

体力は残されていない。


ウルトラママンに変身した魔族は

内心悲鳴を上げながら腕をクロスした。


するとここで――

クロスした腕から光線が放たれる。


光線を受けた怪獣が爆裂四散する。

スッペシウム光線が成功したのだ。

しばし呆然とするウルトラママン。

だが徐々に勝利の実感が湧いて――


「ぢゅうううううううううううわ!」


握りこぶしを空に突き上げた。



そしてちょうどその時――

点滅していた胸のタイマーが沈黙した。







ぢゅわ!


ブックマークと評価一件につき、10+2話書いてみたいと思います。

もう少し延長させてやろうという方、

よければブックマークと評価をいただけるとありがたいです。


ブックマークつけるか迷ったときはつけてみましょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] やった、最新話に追いつきましたよ! ほのぼのからダークまでいろいろありますが、私が好きなのはこんな感じです。 「とある大魔王と老人ホームの職員」 老人ホームの職員さんが強気なのがいいですよ…
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