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TRPGを作ろう  作者: 宮沢弘
第三章: バグ・フィックス
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バグ・フィックス7

 さて、バグ・フィックスにおいて、あるいはそれ以外に普通にTRPGを遊ぶ場合でも気付いていることがあるかと思います。

 というのは、 “Basics”、あるいは “Primary” の一部において、よく使われるエンティティが存在することです。

 具体的には、知覚関係の “Basics” あるいは “Primary” の残りの使用頻度は他のものより高く、かつその成功/失敗がその後のPCの行動にも強く影響します。たとえば隠し扉を見付けるのにはなにか知覚系のものを使うでしょうし、見付けられるか見付けられないかでPCの行動は大きく違ってきたりするはずです。

 この例に限らず、とかく知覚関係のものは使われる頻度と結果の行動への影響が高いでしょう。もしかしたら作っているTRPGにおいては他のものが同じような問題を持っているかもしれません。システム上では同列にあるはずのエンティティが、運用面においては重要さに大きな違いがあるという問題です。

 これはTRPGの歴史の当初からある問題で、正直な話、現在でも解決されていない問題です。

 単純な解決方法はいくつか試されています。その方法は簡単で、知覚関係の “Basics” や “Primary” の残りのものを分割するというものです。「視力」、「聴覚」に分けるなんていうのもありますし、さらに「魔法関係の知覚」も分けるなどの方法です。

 しかし、知覚関係のものが重要であるという点はまったく改善できておらず、分割した分、運用がちょっと面倒になるだけだったりします。

 これの上手い解決方法を見付けられれば、画期的なTRPGになるでしょうし、その部分だけを取ってみても他のTRPGに影響を与えられるでしょう。


 知覚関係とは別の種類の問題もあります。

 その一つは、交渉系の “Basics” や “Primary” の残りのものです。判定だけで済ませてしまうのは味気ない。かといって、どのような条件なりなんなりを付ければどれくらいの修正が (それがあるとして) かかるというのは、条件が多岐に亘ることもあり、ルールあるいはシステム化しにくい部分でもあります。

 交渉系も知覚系と同じく分割するという方法もありますが、基本的にこれという解決策はありません。分割しても、やはり条件を宣言してというところが残るためです。

 だいたいの場合、プレイヤーが「どういう方向で攻める」かを宣言し、GMの最良で修正 (それがあればですが) を与えるという解決策が取られています。


 交渉系と同じような問題があるのが、知識系の “Basics” や “Primary” の残りです。現実ベースの知識系のそれらであれば、プレイヤーも適切な条件を付けられるでしょうが、そうでない場合とかリアルでの専門知識関係であれば、どういう条件を付けたらいいのかがプレイヤーにわからなかったりします。

 もちろん、知識系も、ただ判定だけで済ませることもできます。ですがやはりそれでは味気ない。

 知識系についても、分割するという方法は取れますが、やっぱり条件を宣言してというところが残ります。


 古くから残っている大きな問題は、基本的にはこの3つかと思います。他の “Basics” などなどはテストプレイでバランスを取って行くことができるのですが、すくなくともこの3つは、正直な話、バランスの取りようがないのです。

 バランスが取り難いというのは、使用される頻度もですし、そのエフェクトについてもです。しかも、どこを見るかとか、どういう方向で攻めるかとかは、プレイヤーのTRPGの知識や経験、リアルの知識や経験が反映されます。

 TRPGを作っている人は、プロも含めて、このあたりをどうにかしようとしています。いろいろな解決策が試されています。上では分割する方法を述べましたが、逆にいろいろ一纏めにする方向での解決策も試されています。一つには、普通に言う「能力値」の数を少なくしたり、「スキル」の数を少なくしたりなど統合してしまうわけです。

 ですが、結局のところ知覚系の行動をする頻度はやはり高めになりますし、根本的な解決には至っていません。


 このあたりについて上手い解決方法を思い付くことができればいいのですが、正直な話、それは難しいでしょう。このような点については、妥協するか、これまでもそういうものであったと納得するしかないかもしれません。

 考え出すと一歩も進めなくなるので、まぁとりあえず妥協しておくしかないというのが実状でしょうか。

 ですが、なにかいい方法を見付けたなら、ぜひその方法を公開して欲しいと思います。


 バグ・フィックスについてはこのあたりでしょうか。

 先に一度質問に答えていますが、なにかあれば質問をお寄せください。

 とくに質問がなければ、次回はライセンスと公開後の対応について触れて、この連載を終えたいと思います。


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