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TRPGを作ろう  作者: 宮沢弘
第四章: 公開と公開後
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公開と公開後

 公開についてですが、まず問題となるのは媒体かもしれません。

 今どき、ePUBなどでの電子書籍ということも考えるかもしれません。ですが、やりかたがないわけではありませんが、これだけはできるだけ避けましょう。というのも、ルール・ブックの場合、普通に小説を読むのとは違い、個々のルール、設定、データをセッション中に頻繁に、それもあちこちを参照する必要があるためです。電子書籍の場合、絶対にできないとは言いませんが、作る方も読む方もだいたい不便になります。私自身が自分のもので試してみたことがありますが、いや、これがもう使い難いのなんの……(笑。

 インデックスをしっかり作り込むとか、ページ数が少ない場合であれば、取れない方法ではありませんが。


 公開は、ただのHTMLにするか、PDFにするか、あるいは場合によってはただのtxtファイルだとかMarkdown記法のテキストという方法がいいでしょう。要は印刷できることが重要です。なお、PDFにするのであれば、フォント埋め込みにすることをお勧めします。これは上記とは逆の話で、印刷することによって個々のルール、設定、データへのアクセスが容易になるからです。

 ePUBでもプリント・アウトができる環境もありますが、たぶんあまり一般的とは言えないだろうと思います。

 こういう、「あれはこのあたりにある」という厚みや内容の感覚を「テキストの風景」と呼ぶらしいですが、「このあたり」という感覚でさっとアクセスできるというのは、電子書籍にはない大きな利点です。


 では、印刷したものを頒布する際というのはどうでしょうか? その余裕があれば、別段この方法を選ばない理由はありません。まぁ、余裕があればというのがネックではありますが。それでも即売会などでの頒布を意識しているのであれば、これが一番の選択肢になるでしょう。

 または、印刷しなくても、ページのURLやURLのQRコード、加えてパスワードなどの頒布、あるいはPDF形式のルールブックを入れたUSBでの頒布という方法も、それが認められている場合であればありでしょう。サイトによっては、「リンクを知っている場合のみ閲覧可」という設定もできますので、その場合はURLを印刷したカードだけを頒布するということもできるかと思います。


 ライセンスについてはなんやかんや今どきは面倒です。加えて、現在、さらに面倒になりそうです。昔は、ネットで公開する場合でも “(C) 名前, 年” を書いておくだけで済ませていたりしましたが。これは、悪意のある人の方が間違いなく少ないという前提での方法でもありました。

 TRPG関連ということであれば、結構昔のことですが、私のサイトというかページ群が丸ごとコピーされ、公開されていたことがありました。著者名の書き換えが行なわれていたかまでは覚えていませんが。私自身は動かなかったのですが、私のそっち関係での周囲からなんかあったということで、いつの間にか消えたようです。そういう、良識の範囲で行動してくれる知り合いというのは、作っておいて絶対に損はないかと思います。その分、こちらもその知り合いのための行動を対価として提供するのは当然のことです。

 それはそれとして、現在、いくつかTRPGのルール・ブックなどに使えるライセンス、あるいはそのテンプレートのようなものがあります。そのうちのどれがいいのかというのは一概には言えません。

 それでも一つ挙げるとしたら、 “CC” なんかがいいかと思います。どういうライセンスなのかを簡単な記述のみで済ませられるというのが一番の利点かと思います。あるいは、TRPGという限定された世界の話であれば “Open なんとかかんとか” も有望でしょう。

 このあたりはいくつかそういうものに当たって、選んでもらうのが一番でしょう。


 さて、公開後に質問が寄せられたりということもあります。このような場合にはどう対処したらいいでしょうか?

 第一段階としては、エラッタやFAQのページを用意することでしょう。

 第二段階として、それらが溜まったり、あるいは致命的なミスがあったりという場合には改訂ということになります。この際、必ずしもバージョンだとか版の番号を上げる必要はないかもしれません。 “Revised” とすることも、商用のものでもよく見ます。

 エラッタにせよバージョンを上げるにせよ、その新しい情報をいかにユーザに行き渡らせるかというのは結構大きな問題です。

 このあたり、電子書籍だと版を上げるとデータがユーザの端末に自動配信されるところもあります。ただしこの場合、どこが変わったのかの確認ができなかったりということもあるので、問題ではあります。

 WWWは基本的にはプル型のメディアです。つまり、ユーザがデータを取りに行かなければ、そのデータに到達できません。そこを補完する方法としてはメーリング・リストなんかもありますが、登録作業やなんやかやの手間がかかります。ツイッターなども現在では活用できるかと思います。ただなんにせよ登録してくれるかとかフォローしてくれるかとかがないと、更新情報は届きません。

 このあたりは商業TRPGでも同じで、結局これという方法はないのかもしれません。唯一の方法は電子書籍にすることですが、それはメディアの特性からそもそも避けたいということは上述のとおりです。このあたりは、メディアの特性と更新を確実にしたいかのどちらを重視するかという問題なのだと思います。


 なお、エラッタやFAQ、版を上げる場合のどれでも、改めてテスト・プレイが必要になります。誤字程度のエラッタならその必要はないのですが、どういう形であれ判定がかかわるような場合にはテスト・プレイを避けられません。

 「テスト・プレイはもう嫌だ」となっているかもしれませんが、そこは頑張ってください。

 なお最終手段として、「開発終了」、「開発一時停止」という対処もあります。そうなるのは無責任という声もあるかと思いますが、キャパを越えてたりすればそうせざるを得なかったりします。


 理由はなんにせよ、ずっと開発やメンテを続けることはできません。どこかで打ち切らざるをえません。少なくとも、手間を軽減する対応はどこかで行なわなければなりません。

 ここは気持の問題として難しいと感じる人もいるでしょう。それはそれで構わないのですが、次の作品の制作に移るなら、前の作品にかかる手間は軽減したいところです。このあたりの気持だとか、ずっとユーザに受けがいいとかいろいろ難しい問題はあるでしょう。ですが、次に移るなら、英断が必要です。


 以上で、「TRPGを作ろう」は完結とします。ただし、質問が寄せられれば、追加するかもしれません。

 これまでお付き合いいただき、ありがとうございました。


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