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TRPGを作ろう  作者: 宮沢弘
第三章: バグ・フィックス
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バグ・フィックス5

 これまでにも汎用システムについては触れていますが、ここでは原作 (?) を汎用システムに反映することについて考えてみます。


 まず、汎用システムの場合、 “Basics” の全部、 “Primary” の一部、そして判定方法は、どのような世界観でも原則として一定です。あとは、 “Primary” の残り、 “Secondary”、 “Primary Special”、 “Secondary Special” によって、PCに出来ることや使える道具の違いとして、世界観を反映させます。場合によっては、 “Basics” の一部や、 “Primary” の一部のさらに一部が入れ換わったりということもありますが。

 なので、世界観を判定に反映させるということは、基本的にできません。


 汎用システムはオリジナルTRPG、あるいはホーム・ブリューTRPGが原動力となり、たくさん作られましたし、作られています。汎用システムが増えたそもそもの理由は、 “G” から始まる名前のシステムが面倒臭いというところから出発しているかと思います。歴史的には、よりシンプルに汎用システムを実現しようという流れがありました。これはホーム・ブリューデモ商用システムでも同様で、様々な方法が模索されました。


 汎用システムの一番の強みは、様々な世界設定を同一の扱いで再現できることとともに、複数の世界設定を独自に混ぜ合わせ、自前の世界設定を再現できるということです。しかし、そのために膨大な世界設定が開発され、本来は強みのはずの部分が弱点になってしまいました。

 そこで、一時期は、 “Priamry”の残り、 “Secondary”、 “Primary Special”、 “Secondary Special” はなにも設定せず、GMが作るという方向を向いていたこともあります。

 もちろん、これはこれでGMの負荷が増えるわけですが、何冊もの世界設定をひっくり返さなくてもいいという利点がありました。ただし、その汎用システムの理念や方向性を理解している必要はありました。 “Secondary” などをどう設定するかは、その理念や方向性に沿ったものにする必要があったわけです。なにをエンティティとして、なにをエフェクトとするか、あるいはエフェクトの強さ (?) をどう設定するかなどなどについてですが。


 そうこうしているうちに、メタ・システムが現われました。これはシステムを作るためのシステムと言えるもので、 “F” から始まる名前のものが、一応の到達点と言えるでしょう。しかし、これも判定方法の指針は決められており、世界観を判定方法に反映させるのは手間がかかりました。とくに、システムを作るシステムですから、指針に従った上でシステムを作ってからという話になり、正直難しい課題でした。


 その後、あるいはその間に、汎用システムとメタ・システムの間に位置するようなものも現われましたが、やはり世界観を判定方法に反映させるのは難しいか手間がかかるままでした。


 結局のところ、汎用システムが機能することを見ても、判定システムに世界観を反映させるというのは必要のないこだわりであるように思えます。それでもこだわりたいという人もいるかと思いますが、そうとう上手くやらない限り、無駄な努力になることを理解しておく必要があるかと思います。

 世の中には、汎用システムに反対している人もいます。その理由は、だいたいの場合、その世界観のための判定方法になっていないからというもののようです。

 世界観を反映しているという場合、 “Basics” などに含まれるエンティティの名前がそれっぽいだけという場合があります。細部が重要という話もあるかもしれません。本当に重要な細部であるなら、そうも言えるでしょうが、そうではない場合も多々あります。

 では考えてみましょう。判定方法の一番の機能はなんでしょうか? それはもちろん、バランスよく成功/失敗という結果を示すことです。世界観を反映しているかどうかは、二義的、あるいはそれ以降の問題のはずです。どれだけ世界観を反映していても、バランスよく成功/失敗という結果を示せなければ、そもそも判定方法として機能していないのですから。

 つまり、根本的には、あらゆるTRPGの判定システムは汎用なのです。そこから外れる場合には相当の理由と、相当の検討が必要になります。


 ということは、あるTRPGを作ったなら、そこから適切に要素を選びだせば、自然と汎用システムになるとも言えます。

 複数の原作 (?) を持っている人の場合、それぞれの原作 (?) についてTRPGを作ることを考えているかもしれません。しかし、もしかしたらそれは無駄な労力かもしれません。適切に分析されたTRPGを、さらに適切に分析すれば、汎用システムとして使えるかもしれません。

 ただ一つのTRPGを作るための分析だけではなく、応用できないかを見据えて分析してみるのも無駄ではないでしょう。

 むしろ、複数の原作 (?) があるということは、なにを “Basics” とするかなどなどについての複数の資料があるわけで、汎用システムを作る際の強みになるとも言えます。これを別々のものとして作るとなったら、正直、無駄な労力が必要になるとも言えるでしょう。


 個人の好みではありますが、汎用システムを視野に入れるかどうかも、バグ・フィックスの早い段階では考慮に値するかと思います。また、この際に汎用システムを用いたTRPGをいくつか眺めてみるのも無駄ではないでしょう。うまい具合に、アルファベット一文字+数字2桁というシステムが、今は結構幅を効かせていたりしますし。


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