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TRPGを作ろう  作者: 宮沢弘
第二章: 仕様分析
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仕様分析9

 前回、「再現できる範囲と汎用性」と書きましたが、その前にちょっと考えておかないといけないことがあるのを忘れていました。今回はその話です。

 「その話」というのは大きさなど、スケールの話です。

 今回は具体的な話にした方がわかりやすいので、仮のではありますが具体的なものを使います。


 スケールの話がなぜ必要なのかということですが、ダメージの話を例にしましょう。そして、普通の人間と普通の巨人との戦闘を考えます。「普通の巨人」がどの程度の大きさなのかは決めませんが、普通の人間と普通の巨人との戦闘が可能な範囲ではあるとします。

 この場合、普通の人間が普通の巨人に与えられるダメージは、普通の巨人にとってはそれほど大きなものではないかもしれません。対して、普通の巨人が普通の人間に与えられるダメージは、普通の人間にとっては大きなものかもしれません。


 これを処理するために、それぞれの「基本ダメージ」みたいなものが設定されており、普通の人間と普通の巨人とでは、その基本ダメージが違うかもしれません。

 さて、ここで判定器による結果とエフェクト (あるいはエフェクトの結果) をダメージに反映させたいと考えたとします。この場合、「基本ダメージ + エフェクトによる追加ダメージ」とするとしましょう。

 さらに、普通の人間の基本ダメージは “1” とし、また普通の人間のいわゆるヒットポイントは “100” とします。普通の巨人の基本ダメージは “50” とし、普通の巨人のいわゆるヒットポイントは “150” とします。また、エフェクトによって得られる追加ダメージは、 “0 〜 10” とします。

 すると、普通の人間が与えられるダメージは “1 〜 10” となり、普通の巨人が与えられるダメージは “50 〜 6” となります。


 これにより、普通の人間が与えられるダメージは、普通の巨人が与えられるダメージより小さいということは表わせます。ですが、“1 〜 10” と “50 〜 60” という範囲は妥当でしょうか? たとえば、基本ダメージが違うなら、追加ダメージもそれに応じたものになった方がいいという解釈はできないでしょうか。もちろん、それでかまわないと考えてもかまいません。ですが、そうは考えていない例もいろいろあります。

 そうは考えない例において採用されているのが、スケールというアイディアです。


 ここでは例のものをスケールに対応させて考えましょう。実際のところ 5段階では足りないのですが、まぁとりあえず。:

  - Terrible: -2

  - Poor: -1

  - Average: 0

  - Good: 1

  - Great: 2


 ここで、普通の人間のスケールは “Average: 0” とし、普通の巨人のスケールは “Good: 1” だとします。スケールを採用しているものの場合、スケールが1つ大きくなると、それが現わすものは 1.5倍になるとしてるものがそれなりに目立ちます。逆にスケールが1つ小さくなると1.5の逆数である 1 / 1.5 = 0.7くらいになるわけです。実際にどういう範囲のものがあるかと言えば、スケールが1つ大きくなると、それが現わすものは 1.2倍 〜 2倍に收まっているようです。

 ここでは 1.5倍としましょう。


 基本ダメージは固定だとします。そして判定器から返って来たエフェクト (あるいはエフェクトの結果) に、スケールが適用されるとします。すると、エフェクトによって得られるのは “0 〜 10” としたので、巨人の追加ダメージはその 1.5倍、つまり "0 〜 15” となります。

 たとえばですが、普通の巨人の基本ダメージは “50” ですので、最終的なダメージの最大値と比べると、スケールを使わない場合 10 / 60 = 0.17 ほどなのに対して、スケールを使うと 15 / 65 = 0.23 ほどとなります。ですので、相対的に 1。38倍 ほどスケールを用いた場合には判定器が返したエフェクトの影響が大きくなっています。

 あるいは、最終的なダメージをいわゆるヒットポイントと比べると、スケールを使わない場合 60 / 150 = 0.4 ほどとなり、スケールを使った場合には 65 / 150 = 0.43 ほどと、相対的に 1.08 倍ほどに影響に違いがでることになります。 

 

 今回用いた数値はあくまでたとえのためです。

 また、やはりたとえばですが、俊敏さでも筋力でもかまいませんが、そういう能力値があったとします。人並み外れすぎた俊敏さとか筋力を持つ存在の場合、能力値にそのままそれが反映されるとする場合もありますが、当然その方法では ——どういう判定器かにもよりますが——、判定器が破綻する場合もあるでしょう。

 たとえば、 1d10 が能力値以下になれば成功という判定器があったとします。この場合、20という能力値は判定に意味を持たず、判定器に破綻をもたらすことになります。


 このあたりを、なんらかのエンティティのエフェクトとして処理することも可能ではありますが、スケールを採用するかしないかを検討してみるのもいいでしょう。そもそもスケールを用いる必要がない場合もあります。


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