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TRPGを作ろう  作者: 宮沢弘
第二章: 仕様分析
13/39

仕様分析5

 では判定器です。ですが、その前にこれまでのことを簡単に整理しておきましょう。


- ゲーム内世界に存在するものは、すべてエンティティである

- エンティティは集まって、別のエンティティを構成できる

- エンティティは、それ自体にできることや、それ自体の状態を持つ

- エンティティにできることの結果はエフェクトと呼ぶ

- エンティティ、とくにキャラクターにできることを、次の4つに分類する

  - Primary: あらゆるキャラクターが、あるいはほぼあらゆるキャラクター

       が持ち得るもの

  - Secondary: あらゆるキャラクターが、あるいはほぼあらゆるキャラク

       ターが潜在的に持つもの、あるいは潜在的に持ち得るもの

  - Primary Special: ある種のキャラクターが普通に持ち得るもの

  - Secondary Special: ある種のキャラクターが潜在的に持ち得るもの

- この4つのうち、とくに “Primary” から、とくにキャラクターを表現する

なにかを取り出す

  - 取り出されたものは、「能力値」かもしれない

  - 「基本技能」かもしれない

  - “Life Path” などのようなものかもしれない

- “Primary”、 “Secondary”、 “Primary Special”、 “Secondary

Special” は、その実行のしやすさおよびエフェクトの大きさについて、そ

れぞれ次の5つに分類する

  - Terrible: 効果は非常に弱い or 条件やコストは非常に緩い

  - Poor: 効果は弱い or 条件やコストは緩い

  - Average: 普通にありえる効果 or 普通だと思える条件やコスト

  - Good: 普通というには強い効果 or 条件やコストはきつい

  - Great: 普通というにはあまりに強い効果 or 条件やコストは非常にき

      つい

- できやすさについては、次のいずれであるかを検討する

  - 持っていればできる (取り易さが違う)

    - 取得のための確率の違い

    - 取得のためのポイントの違い

    - 取得のためのレベルなどの制限の違い

  - 判定への修正などの条件の違い

  - 使える状況による制限 (特定の状況・シチュエーションでないと使えな

   いなど)

- 効果については、次のいずれであるかを検討する

  - それ自体での効果

  - 判定結果に対する修正


 エンティティそのものはゲーム内世界の存在ですが、ここで挙げたようなことがらは、ゲームとゲーム内世界とを繋ぐAPIのようなもので、ゲームとゲーム内世界の両方に存在するか、橋渡しをします。

 それに対して、「判定器」はゲーム内世界には存在しません。では、判定器の役割とはどういうものでしょうか? APIを通し/あるいは通さずに、エンティティの情報を用い/あるいは用いずに、出来事の成否を判定するものです。

 では、それをどう実現するのでしょう? 「最初に考えること」に書いたものを整理して再掲します。

1. 数値を使わず、ランダムな要素もない

  - 純粋な記述型システム

  - 記述されたシステム上は判定器という要素は存在せず、GMの一存として

   もいい

    - この場合、判定器はGMの内部に存在する

2. 数値を使わず、ランダムな要素はある

  - トランプのスート

  - タロット

  - ほとんどは記述型システムとなる

3. 数値を使い、ランダムな要素はない

  - 能力値などが存在する

  - それらから直に結果がわかる

4. 数値を使い、ランダムな要素もある

  - よく見るTRPGのシステムはこれでしょう


 さて、この 1. から 4. のどれなのかを、まずは決める必要があるのでしょうか? それも可能ではありますが、当然上の方に書いたこと、とくに「できやすさについて」と「効果」についてと勘案する必要があります。


 ところで、汎用システムというものが存在します。これは、一見すると「世界設定とシステムは分離できる」という考えに見えるかもしれません。しかし実際には、「世界設定と、エンティティのAPIおよび判定器は分離できる」と解釈する方が適切です。要は、「なにがあるのか」と「どうやるのか」を分離できるわけです。


 また、システム、つまりここではAPIと判定器ですが、それをどれほど複雑に/あるいは単純にするかも考えましょう。この点については、次の4つの可能性を考えてみましょう:

- APIと判定器は単純で、エンティティそのものも単純

- APIと判定器は単純だが、エンティティそのものは複雑

- APIと判定器は複雑だが、エンティティそのものは単純

- APIと判定器は複雑で、エンティティそのものも複雑


 まぁ単純に考えて、4つめは避けたいところです。カードなどの補助的な小道具を使うことで、なんとか処理できる範囲に収めることはできますが。


 また、ランダムな要素があるのであれば、それはどういう性質もので、どう表現/実現するかも考えてみましょう。

 エンティティ側の「できやすさ」が一様でしょうか? それともランダムな要素をもたらすものの性質として一様でしょうか?

 これも整理してみましょう:

- できやすさは一様で、ランダムの性質も一様

- できやすさは一様で、ランダムの性質は正規分布などに則る

- できやすさは正規分布などに則り、ランダムの性質は一様

- できやすさは正規分布などに則り、ランダムの性質も正規分布などに則る


 すこし意外かもしれませんが、できやすさの性質としては、2番めと3番めは同じ性質になります。4つめは、できやすさの真中あたりがそれなりに/あるいはかなり強調されたものになります。1つめは、まぁランダムです。


 以上のとおりですが、ここでは具体的にどうするという話はしません。それは、これを読んでいる人が決めることだからです。


 次回から仕様分析の2巡めに入ります。基本的には判定器を通した後のエフェクトの処理に関係した話が中心になります。


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