因縁 外伝 ヴィヴィアンナの憂鬱
本編と全然関係なく
読まなくても支障ない
しんどい話が続いた時に
息抜きで会話だけ作った物を肉付け
毒を飲んでみたら良い
を言わせたかっただけ
実際、こういう絡みをする方は数人居そうですよね
新年の夜会の為に、王都へと向かっていたミハエル達が、早々に帰ってきた。
2週間弱の不在で、往復を考えれば、3泊しただけだ。
ミシェール達が養子となって、初めての王都の社交界への参加だった。
夏の終わりに養子になったので、明らかに少ない。
大公城でも、秋の収穫を祝う夜会を開いただけだった。帰ってきた二人は、疲れた顔をしていて、挨拶もそこそこに二人は休んだ。
その翌日、ミハエルは部屋から出てこず、ミシェールとエルバルトは、ヴィヴィアンナの部屋へと招かれた。
長椅子に横たわるヴィヴィアンナに、向かい側のソファーに二人で座って、ミシェールが声を掛ける。
「お疲れのようですね」
「もう、大変よ?私のせいで、閣下が王籍から外れたんだと、責められるんですもの。だから、向こうに長く居ると面倒なのよ」
ヴィヴィアンナがゆっくりと身体を起こし、侍女長がクッションを幾つも置いて、彼女はそれに凭れかかった。
短い不在は、ミハエルの社交界嫌いが理由かと思ったが、ヴィヴィアンナも絡まれて迷惑を被っているようだと知り、王都行きに連れて行かれなかった理由は、無理な行程に、二人を巻き込まない為なのだと悟った。
出発前の説明では、変なのが押しかけて来るかも知れないと、言われていた。どちらが理由だろうと、自分達の為に、気を使ってくれたのだとは分かった。
ヴィヴィアンナの愚痴は続く。
「あの人達は、私がお気に召さないのよ。ユーモンド殿下と婚約していた頃から、不満はあったの。主に王子妃を狙っていた方々と、その親に。そして、大公妃になったら、さらに不満は増えたわ。冗談じゃないわよね」
「お義母様、悪く、ない」
肩を竦めたヴィヴィアンナの言葉に、エルバルトがなんとか声を絞り出し、ミシェールも頷いた。
ユーモンドとの婚約は政略的な物で、ミハエルとの結婚だって自ら望んだものではない。
ミハエルとの結婚か、皇帝パドトワロの不遇の側室となるか、パドトワロによって暗殺されるかの三択しかなかったのだ。
そうなったのは、ミシェール達の母親のせいなのだ。申し訳ないとは思うが、ミシェールは母親の罪と自分を切り離せるようにしている。申し訳ないと勝手に落ち込むのは、ミシェールの自己満足でしかない。
辟易したように、ヴィヴィアンナは口を開く。
「それでも、羨ましいて言われたのよ。そんなに羨ましいのなら、毒を飲んでみれば良いと思っていたわ」
「それはまた」
あまりの言い方に、さすがにミシェールも突っ込んでしまった。
ヴィヴィアンナが首を横に振る。
「言った事はないわよ?けど、王子と婚約していて、白紙となったと思ったら、皇帝陛下の側室の話しを蹴って、大公様と結婚だなんて羨ましいて、まるで私が権力者ばかり選んでるみたいに言われていたのよ。で、ミル様が王籍から離れたからと、その原因は私だと押し付けて、憤慨しているのよ。いい気味だと思いながらもね。将来、修道院行きだと、影では笑われているもの知っているわ」
なんとも腹黒い社交界の様子に、そんな所にエルバルトが行くのは大丈夫なのだろうか?と、数年先の事が、ミシェールは心配になってしまった。
エルバルトが黒板に文字を書く。
『僕がその人達に怒る』
随分と頼もしい言葉に、ヴィヴィアンナが微笑む。
「その必要はないわ。どうせ社交界でしか会わないのだもの。ここに来てまで文句言う気概はないのよ。それに、私だって大人しく修道院に行くつもりはないの。しっかり稼いでるのだから、エルバルトが成人する頃には家でも買って、鼻を明かしてみせるわ」
ヴィヴィアンナの綺麗すぎる笑顔に、侍女長が深く頷いた。




