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獣人のよろずやさん  作者: 京衛武百十
第一部
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叱ることさえ

そういえば軍での訓練について、徹底的に訓練生を罵ってイジメ抜いてという方法論が一般的だった時期も昔はあったそうですが、私達の時はそのようなことはありませんでした。


少なくとも教官が罵倒したり、戦闘訓練以外で殴ったり蹴ったりということもしません。


むしろ普段はとても穏やかに接してくれるのが普通でした。


ただし、実際の訓練自体は、命こそ守られているものの肉体と精神の限界を超えることを目的にした内容だったりします。


それを、罵って強要してやらせるのではなく、本人が望んで挑むように持っていくのです。強要しなければ自分を律することもできないような性根の人間などそもそも軍には不要ということですね。


だから訓練をサボろうとするような者は叱ることさえせず、


「いいから荷物をまとめて家に帰りなさい」


と、笑顔で送り出してくれます。


かつては訓練生を痛罵して無理矢理やらせたことで事件に至ったということもあったと聞きます。それではせっかくの人材を無駄に損耗するばかりで何の意味もないでしょう。


再度申し上げますが、軍では、罵倒して強要しなければ自身の役目も理解できないような自覚の足りない人材などそもそも必要としていないのです。そんな人間よりはロボットの方が遥かに役に立ちます。


自覚と責任感こそが軍人には求められるのですから。


その点で言えば相堂(しょうどう)伍長が採用されたのは本当に謎です。


確かに彼の身体能力は余人には代えようのないものでしょうが、過酷な訓練も難なくこなしたのかもしれませんが、単に戦闘能力で言えば、これもロボットの方が圧倒的に上です。彼がゴリラ並みの力を持っていても、戦闘用のロボットの前では、大人を前にした赤ん坊よりも非力なのが現実なのです。


この辺りについては、当時の軍の人事の考えは、単なる一兵士に過ぎなかった私には分からないことなのかもしれません。


ですが、いまだに納得できないというのも事実なのです。


なんてことを考えてても今さらですし、オムツを替えた赤ん坊をノーラに抱かせると、赤ん坊はすぐさま自分でノーラのおっぱいに吸い付きました。ノーラも特に嫌がるでもなく赤ん坊の好きにさせています。


精神的に安定したことで受け入れられるようになったのでしょう。


それが大事なのだと感じます。


ようやく落ち着いたところで店の方を見ると、メイミィが不安そうに覗き込んでいました。


「ごめんね。もう大丈夫だから」


声を掛けるとホッとした様子で私を見ます。彼女もレミニィのことでいろいろ心配があったりして、他人事じゃないのでしょうね。



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